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2010/01/11 (Mon) お菓子の家 ? 機能不全家族 ?

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正月の準備で、私が担当したのは黒豆煮と雑煮。

雑煮は、祖母が毎年作ってきた。その味なしでは新年を迎えられない。
祖母が亡くなってから、彼女の雑煮の味を再現できたのは私だけだったので、以後私が担当になった。

祖母は九州生まれで、私の両親も九州生まれ。
私は関西で生まれたが、九州式の味で育ってきた。

私がもし誰かと結婚することがあるのなら、私が新年に作る雑煮は間違いなく祖母の雑煮だ。
美味い。とにかく美味い。何よりも、私たちはずっとこれを食べて1年1年を越してきた。舌が覚えている。

祖母が残したもの、両親が受け継いだもの、私が引き継がねばならないものは、数限りない。料理の味付けは勿論、物理的なもの精神的なもの習慣的なもの、様々だ。虐待の歴史も勿論含まれる。私の病気も、引きこもりの弟も、両親それぞれの問題も、東京の弟の行き方も。
正の遺産と負の遺産、そしてどちらでもないありふれた遺産が混在している。
その中から私は注意深く、私の意志でもって、私の望む生き方に適うものだけ取捨選択しなければならない。


一方で、私が新しく創り出すものもある。
おせち料理で余った2切れのハムを家族5人分の一品にできないかと考えた。正月3日のことだ。
思いつきで冷蔵庫にあるものを組み合わせて作った。それが写真の小さなオードブル。

材料は、以下。
ハム(ブラックペッパー)・クリームチーズ・ローズソルト・青リンゴの薄切り・黒豆・三つ葉・ブルーベリージャム

想定外に美味かった。気負ってやるよりも、失敗も楽しみのうちと適当にやるほうが案外出来が良いらしい。

黒豆の味付けも私がやったが、私の好みは祖母とは全く違う。祖母は甘いものが好きで柔らかいものが好きだった。私は、豆の香りを殺さない薄甘くて煮すぎないアルデンテの黒豆を作る。
両親は、祖母の黒豆とは違ってお前の黒豆もそれはそれで美味いと言った。来年も同じでいいらしい。少しずつ、我が家の正月のスタイルも変わっていくだろう。


引きこもりの弟は、悪化していた。引きこもりは勿論のこと、強迫性障害が悪化している。両足は過酷な生活のせいで壊死を起こしかけていた。足首は以前の2倍に腫れ、赤黒くぱんぱんに皮膚が張って、表面は白く乾いて剥がれ掛けている。少なくとも2,3年は入浴していないため、強烈な臭気を放ち、長年日に当たらないために青白く、洗いすぎた手は荒れ放題だ。
更にはコミュニケーションが取れない。彼は日本語の使い方を忘れ去りつつある。

最も最悪なのは、不潔恐怖のために外出できないので通院は勿論、手当ても受けられないこと。一般家庭で引きこもって生活していて、足が壊死して腐りかけるなんて想像もしなかったが、現実になろうとしている。


そんな弟の惨状も、実家では日常に溶け込んでしまって、実家はさながら童話の世界のようだ。
お菓子の家は幸せそうだが、影には魔女が潜んでいる。満腹になって眠る幸せと、殺され食われる恐怖が平然と同居している。


私は、どっちへ行けばいいのだろう。
道は決まっているのに、実家で心が彷徨った。
新年の陽気な番組や家族との話題で、あははと笑っているときも常に精神が虚ろだった。

私は混沌にのまれて死ぬわけにはいかない。正の遺産と負の遺産をきっちり分けて生きていく。
しかし、負の遺産にのまれ、脱する必要すら自覚していない人間が目の前にいる。弟だ。
彼を見捨てるのか。私にできることは本当にもうないのか。出来るとしたら何だ。出来ないとしたら何故だ。
考えが自然浮かんでは堂々巡りした。

それでも楽しいこともたくさんあった。いつもそうだ。いつもこうだった。
我が家は混沌としている。どの家庭もそんなものなのだろうか。ホラー映画の序幕のように、惨劇の前にはわざとらしいまでに幸せな日常シーンがお決まりなのか。


機能不全家族の生活は、恐ろしいシーンが待ち受ける童話そっくりで空恐ろしい。
登場人物たちは、後に何が待っているかなど毛頭知らず、懐かしい祖母の雑煮を味わい、両親が作ったつきたての餅を食べ、旨い酒に舌鼓を打ち、土産話に花を咲かせて笑いあう。
その隣で、死神さながらに人生の半分を引きこもったまま朽ちて行きつつある人間が、耐え難い臭気を放ちながら突っ立って足を腐らせかけている。


楽しいことも嘘じゃないし、惨劇も嘘じゃない。
怒りも嘘じゃないし、血の繋がりも嘘じゃない。

単純でない現実の羅列に、実家滞在中はずっと沈思黙考していた。


ただ、来年も私は祖母の味と全く同じ雑煮を作るし、しかし黒豆は踏襲することなく私流で煮る。
思いつきで両親は決して作らない類の料理も作る。

たったこれしか明晰でない。しかし、明晰であることには違いない。
この掴みどころのない恐怖と、相反する自分の確かさの同居を、うまく言葉にできないでいる。


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受け継ぐもの 

美鳥さん、こんにちは。
久々に美鳥さんらしい記事を読ませて頂きました。
>引きこもりの弟も、両親それぞれの問題も、東京の弟の行き方も・・・
知って見て見ぬフリをするのか、介入するのか。機能不全家族の中で「気づけた人間」としてどう振る舞うか。。。この闇をどうにかするのか、しないのか。。。重く感じました。。。私が「気づき」を得る前、「機能不全家族」と言う言葉すら知らなかったけれど、自分の力で何とかなると信じていたし、何とかしようとしていたこと、思い出します。結局どうにもできなくて、自分がCPTSDを発症してしまった。そして自分が負うべき問題ではないと知ることになり手放し、今に至ります。
私が美鳥さんと「私と違うわぁ」「美鳥さん、すごぃわぁ」と思う(単純です・汗)のは、ご両親とご実家でお正月を過ごされていること。今の私には考えられないし永遠にないと思う風景がそこにあります。美鳥さんが受け継いだお祖母さんの味。深い深いものを感じました。この先どうなるか解らないし、どうなるかと言って心配ばかりでは進めない。あるがまま、自分を生きる。今年も美鳥さんの潔さを見せて頂いた気がします。ありがとう。
体調、よくなると良いね。お大事にね。

2010/01/11 17:17 | エコペン [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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