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2007/11/27 (Tue) 深海に月

PB250012.jpg


満月の下、思いつくまま歩いた。
昼の温度を一切失い、夜の冷気が支配する。
誰もいない。
音もない。
深海のような、夜。
あてもないまま遊泳する。
白い息を吐く。
冷えた深海魚。


アスファルトに足を投げ出して座り、
向こうの道路を時々走る車と、
交差点の信号機が青、黄、赤と
音もなく繰り返し変わるのを見ていた。


そういえば、
誰もいない真夜中の道を、
恋人と、手を繋いで何度も歩いた。

いつも冷えている私の指先とは反対に、
恋人の手は、どんなときも大きくて温かく、
私の手をすっぽり包んでくれた。
甘ったるい幸福感に、
このまま浸りきって、
どうか死なせて。
他には、何にもいらない。
別れの言葉も。
恋人の声も。
私の命も。
次の瞬間も。
なんにもいらない。
なんにもいらない。

お願いします。
神様。
神様。



夜が冷たければ冷たいほど、
恋人の体温が生々しく、
私の頭の芯は鈍く熱を帯びる。
恋人の優しすぎる手のぬくもりは、
すぐに焦れったさに変わる。


足りない。
足りない。
神様、全然足りません。
殺されても、足りません。
全て失っても、足りません。
いとしすぎて、足りません。


お願い。
壊して。崩して。
切り裂いて。
踏みつけて。
刻みつけて。
突き刺して。


恋人の熱い体。
奥深くまで貫かれる瞬間。
体が自動的に刻まれた記憶を反芻し、
あまりの浅ましさに目が眩む。
溺れまいと恋人の手につかまって、
恋人に悟られないよう、
熟んだ息をひそやかに押し殺し、
静謐な夜を歩いた。
世界に二人だけの足音が、
夜を微かに震わせた。



これは、いつの記憶だろう。

曖昧な記憶と、明瞭な夜の冷気。

記憶の底から見上げる月は、
深海に届く光に似て、
遠くにあって、闇を濁す。





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2007/11/27 16:58 | [ 編集 ]


この文章読んで・・・ 

条件反射的に、昔の記憶が蘇りました。

僕が学生から社会人になる頃のことだったかな。
当時、付き合っていた彼女がいました。
僕は自宅で、彼女は下宿、東北から上京してきてた子でした。
僕が大学2年の頃から社会人になるくらいの頃まで、週末はほとんど彼女の下宿に入り浸ってたような、付き合いをしていました。

だけど、僕は、社会人になるあたりのころから、彼女から遠ざかってしまいました。

その後、秋ごろだったかな、彼女と一度だけ再会したことがありました。
その時、見せられたのは、彼女の両手首の傷跡でした。だけど、彼女は、僕の事をあまり責めなかったと思います。

当時、僕は、彼女のその姿を、多分、自分に都合よく消化しちゃったと思います。
だけど、多分、今だったら、都合よく消化することはしないばかりか、彼女をそういう姿にすることはなかったと思います。

今だから思えることでしょうが、何故、当時、彼女の事を、もう少しちゃんと考えてあげられなかったのか?

後悔するのは簡単だけど、当時、彼女がどういう気持ちでいたのか、考えられることができなかったのが、情けないというか、なんともいえない気持ちにさせます。

多分、僕の手の温もりを、彼女はものすごく大事にしてたんだろうな。


話しは変わるけど、美鳥さん、多分、ものすごく繊細なんだろうね。
美鳥さんの言っていること、少しずつわが身におきかえてみています。

断片的であろうかとは思いますが、多分、少しずつ言葉がでてくると思います。

またね・・・

2007/11/27 21:29 | チュン太郎 [ 編集 ]


>>チュン太郎さん<自傷行為> 

私も、相手を引き止めたくて自らを傷つけたことがあります。
また逆に、別れた相手に再会したとき、切ったという手首を見せられたこともあります。チュン太郎さんと似たような経験です。

両者の経験から、私は自傷とは何だろう?と、繰り返し考えてきました。

自傷行為の傷跡に限って言えば、それは、自分と他者、誰彼になく向けられた、センセーショナルでシンプルな破壊衝動だと思います。
見せられた者が全く見知らぬ人間であっても、人の手首の傷というものは、息をのませる迫力があります。
目にした者の心の奥深く、一瞬で鋭く切りこみ、相手の感情を巻き込み、ひととき破壊します。
自傷者は、一切の言葉も涙も叫びも必要とせず、相手の心の本能的な部分に真っ直ぐに切り込むことができます。
無言の傷跡は、無類の威力を持つと思うのです。

けれど、自傷する人間が自分の腕にナイフを突き立てる瞬間、その瞬間には、本人以外、世界には誰もいないのではないかと思います。
自分と自分が対話をし、対話に疲れ、思考を止め、世界に絶望し、自分以外誰もいなくなり、自分しかいないので自分にナイフを突き立てる。


私自身、恋人をそうして何度も傷つけました。
時が経ち、治療がすすむにつれ私が思うことは、
たとえ恋人同士であっても、
人と人は互いを支えあうことは出来ても、
相手を背負い、相手に背負われ生きていくことは不可能だということです。

境界例の患者を恋人に持つ方が、
相手の無謀な自傷行為に大変傷ついていらっしゃる話をよく聞きます。トラウマになってしまう方、巻き込まれ自身も鬱になってしまわれる方、本来ならば持たなくても済んだ罪悪感を持たれる方。
私自身が患者ですので、語れた立場ではありませんが、自傷は救済を求めるメッセージでもあると同時に、自傷者本人の、一人では生きていけないという未熟さが横たわっています。
一人で生きられない、背負えない、導けないからといって、誰も何ひとつ、ミスを犯したわけではないと思います。

自傷について、いつかきちんと書き綴ってみたいと思っていました。
コメント欄で限られていますので、また機会を変えて書いてみます。

なぜ、あなたが私のような者のブログに通います、と言ってくださり、文鳥以外の記事まで読んでくださるのか、その疑問が私の最近の関心事のひとつでした。
コメントを頂き、答えの断片を一つ拾えたように感じます。

2007/11/28 00:45 | 美鳥 [ 編集 ]


はじめまして 

こんばんは。akatokikudachiと申します。
先日はありがとうございました。

恋人の大きなあたたかい手。
随分と長い間、そういったものと縁がないですが、
温かい手。私は好きでした。どこの部分よりも、手が好きで。
手をつないでいる。なんとなく触っている。それで安心。
でも。私は相手を思い続ける事が出来ないみたいです。
2,3年は続きます。その時はとっても一途に思っていますが、
急に嫌になる時がくるのです。自分でも驚くほど急に。
今でも、何故だろうかと思うのですが、
それが怖くて、つき合う事も嫌だと思ってしまいます。
相手にしてみれば、急すぎて訳が分からなかったろうと。
申し訳ない事を、していると。ひどく傷つけたことでしょう。
そんな、自分が一番信用なりません。

はじめてお邪魔して、何を書いているのでしょう、私は。
つい、こんな事を思い出しまして…。

2007/11/28 02:37 | akatokikudachi [ 編集 ]


>>akatokikudachiさん 

コメント、ありがとうございます。
誰かの足跡だけでも勇気付けられるのですが、来ていただいた上に、
言葉を残して頂けるのは本当に光栄です。

私は、私の内側から言葉を書くことしか出来ません。
そんな独り言のような私のブログですが、
ふと何かを思い出し、
思うままの言葉を頂けるのは、幸せです。
akatokikudachiさんしか知らない思い出。
私しか知らない思い出。
どちらも詳細を知ることは出来ませんが、
それでも確かに大切な何かが交錯する瞬間が
私はとても好きです。

私は、相手によっては最短数十時間で
わけもなく失望し、恋が冷めます。
akatokikudachiさんと同じく、自分を信用していません。
人格障害という病の一端だとは思いますが、
恋していたことは確かなのに、
恋心の消失もまた確かなんです。
なんて不義理な人間だろうと、
長年自分を嫌悪してきました。

最近、少し考えが変わりました。
恋愛には、喜びと悲しみ、期待と失望、
情熱と倦怠、いろんなものがミックスされて、
継続されていくものだと思います。
何より一番ミックスされ境界が曖昧になるのは、
相手と自分そのものだと思います。
だから、とても分かりにくいけれど。
自分の至らなさもあれば、相手の至らなさもある。
愛情もあれば、失望もある。
対等に、どんな罪も傷も痛みわけ。
最近そんなふうに感じています。

とはいえ、私も恋愛から離れがちです。
怖い、というakatokikudachiさんの気持ち、
とても共感します。
恐れが私の中にも、あります。

でも、傷つき、傷つけ合い、私から別れた恋人ですが、
私の記憶に残るあたたかい彼の手は、
不思議なことに、まだ変わらず温かいのです。

大切な思い出をコメントいただき、
本当にありがとうございます。
また、いつでも遊びに来てください。
私も、遊びにいきます。


2007/11/28 11:17 | 美鳥 [ 編集 ]


>>管理人のみ閲覧できます 様 

感激しました。
ありがとうございます。
私だけの宝物として、
大切に読ませていただきました。

あなたが閲覧制限をかけたのは、
主に私のブログへのご配慮と感じました。
お気遣い、ありがとうございます。

こんな形でのコメントを頂くのは初めてです。
サプライズなプレゼントって、嬉しいですね。
ありがとうございます。

2007/11/28 11:24 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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