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2007/11/28 (Wed) 万能ごっこ

2007.11.28_diary.jpg


<カウンセリング 2007.11.22> 後編
 ※「言葉が媚びれば私が消える」の続きです


私にとって、SMとは何なのか?
虐待の経験によって埋め込まれた異常性なのか?
それとも、自発的に養ってきた感性なのか?

果たして生育暦なのか、生まれつきなのか、
絶えず疑問を抱いてきた。
答えを求め、私はSMに限らず、
ありとあらゆる性倒錯に関する情報を集めてきた。
性倒錯者と何人も会話し、共通項を探した。
アルゴラグニー(疼痛性愛)に関する心理学、
特に発達心理学の論文などを幾つも読んだ。
カウンセラーの養成所にも通った。
当事者と学者の両方から、分析材料を得て、
自分なりに納得できる答えを欲した。

どれも私のことのようであり、でもどこか違和感があった。


私は、カウンセリングの数度に一度は、
カウンセラーに質問する。

私がSMを必要とするのは、
私の生育暦から来る病でしょうか?
それとも、私が生まれつき持っている感性でしょうか?


今日、また同じ問いをした。
これまでより、もう一歩踏み込んだ質問をした。
「先生は、SMに関する論文を読んだことがありますか?
私は、書かれているどれに該当すると思っていますか?」


先生は、論文は読んでいる、と答えた。
それから、私を見て、
「でも、論文を読んでも意味がない」
と言った。
私は、カウンセラーの言う言葉とは思えず、
一瞬言葉に詰まった。

カウンセラーとして長い訓練を受け、幾多の論文を読み、
勉強し、あらゆる症例のクライアントと出会ってきた先生が、
まさか、いわば心理学の一端を否定するような言葉を発するとは
思ってもみなかった。

先生は、続けた。
「だって、あなたは論文なんかに当てはまらないから」
と言った。
それから、例えばSMに対する思いひとつとっても、
私の思考が0か100かという
極端な論理に陥りやすいことを指摘された。



「人は、そんなに単純じゃない。
生育暦か、感性か、どっちか片方というわけでもない。
まだ、はっきりとは分からない。
でも、確かにいえることは、
カウンセリングの目的は、過去を追及するためではなく、
今や未来のために、何が居心地が良く安心できるのか、
内省することで見つけていくことなのよ」


「あなたが知りたいことは、あなたの中にある。
論文でも統計学でもない、あなたの外に答えはない」
そう、先生は言った。


カウンセラーとしてではなく、
K先生の人間性に心打たれた。
私という人間は、
なんてひよっこで浅はかなんだろうと思った。
私の人間認識の甘さを痛感した。


人間と接するプロが、プロたる由縁は、
どんなに知識を得ても、情報を得ても、時間をかけても、
「人間の全ては分からない」という、
とても謙虚で敬虔な姿勢に尽きるのだと思う。

他者を尊重するということは、
どこまでいってもあなたには私の知らない深みがある、と
温かで自立した眼差しを持つことなのだと思う。


確かに私は、0か100かの観念が強い。
精神科医に言わせると、強迫性人格障害が強いらしい。
以前に比べて、遥かに寛解したが、
少しの忠告を受けても全否定に感じ、パニックを起こす、
少しの好意を示されれば、全て寄りかかる、
繰り返しだった。


人の多面性を見出すことは、大好きなのに、
自分の持つ多面体は、面の全てに接合点がなく
全て脆くてばらばらで、
掴んだ端から、崩れて拡散していく。
不安で不安で、たまらない。
自分がどこにも見つからないから、
何かの拍子に、
そのうちのひとかけらを拾えたならば、
それで世界は全てなんだと思いたがる。
未知の世界は怖いから、
全てはこれで全部なんだと安心したい。


そんな私は、自分に対して、人に対して、
とても傲慢なんじゃないだろうか。
K先生に接していると、そんなふうに思う。
私は、生まれたばかりの幼児のよう。
実際の幼少期に持ち得なかった万能感を、
治療を通して今やっと持ち始めた。
ようやく目が少し開くようになり、
あたりが見えはじめた。
とても未発達な五感で、
目に入るもの、口にするもの、耳にするもの、
それだけが、世界の全てだと錯覚したがる。
発達心理学でいわれる、赤ん坊の万能感に似ている。


立ち上がっては転び、
一歩踏み出しては転びを繰り返して、
赤ん坊は、裸足の足で
地面の温度と確かさと、不安定さを知っていく。
一歩ずつ。一歩ずつ。

世界は、決して万能ではないのだと、
万能でなくても美しいのだと、
知るための一歩ずつ。


私はまだ、世界のほんの片隅しか知らない。
今日やっと一歩、前に進めた。




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こんばんわ 

「なぜ、あなたが私のような者のブログに通います、と言ってくださり、文鳥以外の記事まで読んでくださるのか、その疑問が私の最近の関心事のひとつでした。 」
という言葉に、答えていかなくてはいけませんね。


ブログ始める前、いろんなジャンルのブログを訪ねてみました。
いろんな人たちがいて、いろんなことを語っています。
そのほとんどが、今までの僕には、未体験のゾーンでした。
多分、ある程度の匿名性の故か、皆さん自分自身について、かなり正直に赤裸々に語られているからでしょうね。
それほど、個々人の本当の内面に触れた事って、僕自身、今まで関わった人たちの中で、片手の人数がいるかどうかだと思います。

それが、ブログという世界を通じて、一気にひろがったって感じです。

そういったなかで、たまたまですが、美鳥さんにお会いしました。
全てではないですが、ブログを読ませていただいているうちに、これほど正直に自分の内面をだしていることに驚き、そして、関心を抱くようになりました。

関心とはつまり、私にあまりない部分(=そこまで自分を掘り下げてみつめてみること)がたくさんあることです。
なんとなく、僕というものはわかっているつもりですが、美鳥さんが自分を見つめなおすほど深く、僕自身のことを考えた事はありません。

もしかしたら、美鳥さんの言葉は、僕が僕自身を見つめなおすきっかけなのかも知れません。
昨日の言葉で、自傷行為をした以前の彼女の事を思い出したように・・・。

そういえば、他のブログの方に「これからも通います」ってコメントした記憶はありません。大概、また、来ます、ですよね。
それだけ、今申し上げたなにかを、美鳥さんから感じたのかもしれません。

美鳥さんに対するここでのコメントのような言葉は、多分、自分のブログでは綴らないと思います。

これが、僕の内面の一部分だと思います。

ちょっと訳分かりませんが、億劫がらないで付き合ってください。

2007/11/28 22:15 | チュン太郎 [ 編集 ]


 

こんばんは。
先日の記事のコメントに、とても丁寧なお返事をいただけて感激しています。他のブログの方がテキトウな返事だとか、そういうことではないのですが、なんだか自分では深く掘り下げたことのない部分まで教えていただいて、そうなんだ。ってうなずけたり。また、「また来てくださいね。」って言葉が、とてもうれしくて、また来てしまいました。

今の自分は、昔の自分が信じられないほど、臆病になってしまったように思います。今の自分の感じる、触れている世界がすべてだと思いたいくらいです。ちゃんと外の世界にも出ないといけない、と頭では理解しているつもりですが、ココロがついていかないです。
「世界は万能ではないけれど美しい」
とても惹かれる言葉です。
先生にも今日、言われてきました。
「転んだら、またゆっくり起き上がれば良いんですよ。
 起き上がれます。」
閉じこもったままの世界で、今は安心ですけれど、
一歩を踏み出して、美しい世界を感じられるように。
転んでは、起き上がって、進んでいけるように、なりたいと思います。

また、長々と自分の事を書いてしまってごめんなさい。

2007/11/28 23:36 | akatokikudachi [ 編集 ]


 

この記事を見てはっとした。僕は今まで自分がどんな病名にカテゴライズされるのかばかりを気にしていましたが、「あなたが知りたいことはあなたの中にある」という言葉に衝撃を受けました。

今まで生きてきて培ってきた自分らしさ、人間性。それを見つめなおすことで、多面性というもののかけらの一部を紡いでいく事で見えてくるものもある。見つけていくことができる。そう感じさせてもらいました。

美鳥さんのブログはいつも赤裸々な言葉で綴られていて、それでいて深く共感できる部分もあれば、逆に教えられる部分もあります。


これからもありのままのあなたが語る詩を参考にさせてもらいます。
それでは

2007/11/29 10:13 | FAT-A [ 編集 ]


>>チュン太郎さん 

いつもコメント、ありがとうございます。
「なぜ、あなたが私のような者のブログに通います、と言ってくださり、文鳥以外の記事まで読んでくださるのか、その疑問が私の最近の関心事のひとつでした。 」
と書いた理由のひとつは、人とは鏡ではないのかと日ごろ感じるからでした。
カテゴリーAlgolagniaを、もしお読み頂けたのでしたら、お分かりだと思いますが、私はSMというある種倒錯した行為を通して人を見ることがあります。
人とは鏡だと思うのは、特にそんな瞬間です。
相手を見ているようで、実は相手に映した自分を見ている。人という生き物の、とても不思議な仕組みに、私は楽しさと愛しさを覚えます。
私の場合、相手を知りたいと思ったとき、本当に知りたいのは自分自身なのです。
チュン太郎さんからコメントを頂いた当初から、私という鏡の上に映る画像を、あなたが見ているのだと思ってきました。過去の思い出をこちらに書いてくださったのは、私美鳥にあてながら、しかし一番その画像を手に取り眺めたかったのは、あなた本人なのだろうと。
私もそんなふうに、チュン太郎さんのブログや、その他の方のブログを読ませて頂いています。

鏡にも、よく磨かれた鏡と、うまく映らない鏡があります。
少しでも、チュン太郎さんの何かが、私という存在の上に映しだされるのならば、書き手冥利に尽きます。
光栄です。
いつも本当に、ありがとうございます。


2007/11/29 11:37 | 美鳥 [ 編集 ]


>>akatokikudachiさん 

コメント、ありがとうございます。
また来て頂いて、本当に嬉しいです。
感激です。

akatokikudachiさんのブログ、読ませていただいてます。私に頂けるコメントも含め、とても真摯に生きていらっしゃる方なのだと感じます。

落ち込んだら這い上がらなければ、と以前の私は思っていました。苦しいし、生死がかかっているという理由もありますが、何だか強烈に「落ちたら上がらねばならない」と考えていました。
生きるということは、泣き言ではなく、嘘でもいいから希望を口にして上を向いて歩くことだと。
現に、そんなふうに血反吐を吐きながらも、病気の方もそうでない方も、自分の人生を必死に生きてらっしゃるのだと思います。

このブログは、実は半月前に始めました。
本当は3ヶ月も前から書いていたのですが、書き溜まっていく記事を客観的に眺めるにつれ、こんな落ちっぱなしのブログを読んで、誰が快く思うだろうか、と感じ、公開する勇気を持てませんでした。
でも心のどこかに、明るい太陽だけが美しいものではない、上を向くだけが眼差しではない、底なしの漆黒に魅入られることもあれば、陽が届かない闇だからこそ、自分の輪郭や内側に触れることができる、少なくとも今の私は、そんなことからしか始めることができない、
諦観と、勢いで公開に踏み切りました。
やっちゃったよ、と数日随分後悔しました。
見事に体調は悪化し、パニック発作を起こしてダウン。しばらくは、自分自身への意地で記事を書いていました。

そんな経緯で存在するブログです。
コメントを頂けるようになり、こんな私のブログを訪れて何かを感じて頂けるなんて、不思議で嬉しくてなりません。
ありがとうございます。

私の方こそ、akatokikudachiさんが来ていただき、思うままにコメントして頂けて、どれだけ勇気づけられているか分かりません。

心の病気は様々あって、苦しむときは一人ですが、
少しでも共感で繋がれるのなら、病気も悪いばかりじゃないと感じるとしたら、罰当たりでしょうか。
欠点も病気も弱さも恐れも抱える、不完全な私も誰かも美しいと信じたい、そんな気持ちです。

いつでも足を運んでやってください。
お待ちしてます。

2007/11/29 12:10 | 美鳥 [ 編集 ]


>>FAT-Aさん 

こんばんは。
コメントありがとうございました。

私も病名や自分が属するカテゴリーが何なのか、常に気に懸かります。心の病気は、自身のアイデンティティーに関わる事が多いからなのでしょう。
カテゴライズされることは、投薬治療を受ける上では必要だと思います。
でも、自分自身を知るには、病気など氷山の一角でしかないのだと、カウンセリングが進むにつれ感じるようになりました。
それでも忘れがちな私に、先生の一言は衝撃でした。一度分かったと思ったことでも、自分の一部に成るまでには、私の場合時間が必要なようです。

この記事を書いてから、FAT-Aさんのブログを拝見しました。
最新記事にFAT-Aさんの多面性を見せて頂いた気がしました。病気と共に、人生を高めていけることも出来ますよね。
また後で、FAT-Aさんのブログに遊びに行きます。最新記事がとても興味深く、拝見してからずっと色んな思いが湧いてきています。

赤裸々ということは、嫌悪と紙一重です。
その点、非常に危なっかしいブログにも関わらず、いつも温かい目で見て頂いて、ありがとうございます。
私の方こそ「FAT-A氏に深い感謝を」です。


2007/11/30 21:18 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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