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2008/09/11 (Thu) ネコを撮る 岩合光昭

私は、大のネコ好きだ。
しかし私が持っているネコの写真集は、岩合光昭氏のものだけだ。
以前書いたこともあるが◇俄然ネコぼけ、他のカメラマンが撮ったネコには興味が持てない。

違いは何なのだと訊かれると、うまく言葉に出来なかったのだが、この程、買ったまま自身の本棚の未読コーナーに並べてあった岩合氏の本を読みきって、ようやく腑に落ちた。

ネコを撮る (朝日新書 33) (朝日新書 33)ネコを撮る (朝日新書 33) (朝日新書 33)
(2007/03/13)
岩合 光昭

商品詳細を見る



タイトル通り、まさにネコの撮り方が書かれた本だ。しかし、読み終えてみれば、ネコを撮るというよりも、ネコの自然な表情を引き出すネコとの接し方が書かれてあった。

接し方によって、ここまで変わるのかというほど、岩合氏が撮るネコの写真は、実に表情豊かだ。
私のようなド素人は、ネコを見るなり駆け寄り、最近はそれは避けているが、はやる心抑えがたく、ネコへの関心で全身むらむらさせている。私のようなストイックさに欠ける女は、どのネコを撮っても同じ表情しか撮れない。薄々気づいてはいたが、これはカメラの技術ではなく、被写体であるネコとの関わり方に問題があるのだった。

犬やネコの写真を撮って「可愛い」と言わせることは、簡単だ。犬ネコそのものが既に可愛いからだ。
こう撮ればうけが良いという黄金率も存在する。
アイドル写真のように、駅長帽をかぶらされたネコとか、魚眼レンズで頭でっかちに撮られたネコだとか、分かりやすいあどけなさだけが売りの子猫だとかが、その類だろう。

岩合氏の写真は、ネコも人間と同じ数だけ喜怒哀楽があり、表情と表情の一瞬の移ろいまで捉えている。ネコが、ネコくさく映し出されていて何ともいえない味がある。
他のネコ写真集と彼の写真が一線を画して見えるのは、どうやらその点が大きいのだなと感じた。


映像関係の仕事をしている友人に、一度野良猫を前に一眼レフで撮るやり方を習ったことがある。彼曰く、動く動物のもといる場所に焦点を合わせていても、一向に撮れるわけがないという。
なるほど、だからいつもぶれるのか、と阿呆のように得心した。
レンズを覗き込んだときに相手が別個の意志と感情をもった生き物であることを忘れがちな自分に気づいた。

ネコのあとからカメラでついていっても間に合わない、行く先を読んで、あらかじめそこにレンズを向けて待っていろ、ということで、その日私は、ちゃらけたワンピースなぞ着ていたのだけどネコを撮りたいあまり地面に腹ばいになり、カメラを向けること数十分。
理屈では理解できても、これがネコという生き物は、こっちに来るだろうという予測と必ず反対方向に歩くのだった。
ワンピースで腹ばいになって天下の往来で恥をかいている割に、一向に報われない。

試行錯誤の末、もはやネコ様の気紛れに頼るのみで何回もシャッターを切った。
友人は、猫の扱いがうまく、さすが動物に慣れていると豪語するだけあった。うまく誘導してくれるのだが、肝心な私は、シャッターチャンスを逃し続けて、もう露出も混乱してきて白飛びしたり大変だった。
最終的には友人は、遠巻きであった。道行く人にこいつとは知人じゃないと言いたげにも見えたが、単に私に付き合うのに飽きたのかもしれない。かなりの長時間一匹のネコを撮り続けた。
指導してもらった甲斐があり、2枚だけ満足がいくネコ写真が撮れた。


満足といっても、岩合氏の写真と見比べてみれば、私が撮ったネコの表情って、何を考えているのか全く読めない。何というかネコが心閉ざしている、もしくは私を冷静に眺め返しているように見える。それはそれでネコ好きの私は構わないのだが、写真としては面白みに欠ける。仏頂面で一辺倒の表情のネコしか私は撮っていないのだ、と岩合氏の写真を見ると思い知る。


岩合氏を前にして、特にオスネコは自分の格好良さや渋さを見せつけたがるらしい。「格好良いね」「いいよ?」などと声をかけ褒めると、更にネコはのってきて、ポーズを決めるのだという。オスネコとは、どの国でもそうだと岩合氏は言う。実に羨ましい話だ。


岩合氏のネコ写真の魅力は、表現の多彩さにある。
渋いオッサン、まどろむばぁちゃん、若気の至りの子供、獰猛なオス盛りの若者、色香漂うメス、失敗したときの顔、笑ったときの顔、得意げな顔、何にも考えてない顔、眠いだけの顔、睨みつける顔、どれも味がある。居酒屋でよく見かけるサラリーマンのような顔をしたネコがいれば、縁側に座って煎茶をのんでいるおばあちゃんのような顔をしたネコもいる。
ネコとして生まれた誇りを感じさせる表情あり、哀愁あり、生きる喜びや人間と触れあい満面の笑顔で笑っているネコもいる。
背中にも味がある。
ネコ科の動物というのは、体の一部が見えているだけで味のある写真になるという氏の言葉が印象的だった。尻尾や耳、背中、模様、確かに何がしかを語りかける。


「分からないから生まれる面白さ」についても、彼は本作中で書いている。
人間の目線で、ネコという生き物を決め付けて見ないことにしている、と。
それは、人と対するときにも似ていると、私は読みながら感じた。
分からないから、関わりたいと思う。分からない部分があるから、次も話してみたいと思う。分からない、あなたと私は別個の人間であるという感覚が、尊重へ繋がるのだと思う。


本書を読むまで、岩合氏は人間臭いネコがすきなのだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
ネコが、もともと持っている千も万もの表情を引き出せる彼が、ネコに魅了されているのだ。彼自身が書いているが、ネコがいると聞けば世界中どこへでも行ってしまう、まさに「ネコバカ」なのだった。


ネコと出会えば挨拶を欠かさず、ネコの気分を害しないようにさりげなく接し、温かみと敬意をもって撮らせてもらう彼のスタイルや信条を活字で読んでいると、カメラマンとしてではなく岩合氏自身の人間性にとても心惹かれた。話してみたい、会ってみたいと思う。それは、もしかしたらネコにしても同じなのかもしれない。岩合氏にこそネコが見せる表情が、ファインダーの中におさめられている。
カラー写真数点と、文中に何枚も白黒写真が登場するが、どれも最高に味がある。白黒写真でここまで満足できるネコ写真は、いまだ見たことがない。

カメラを持たない人にも、ぜひおすすめする一冊だ。
文字は人なり。文は人なり。という言葉があるが、写真も人なり。
ネコと、ネコに魅了された岩合氏の人間性に触れ、温かくゆるやかな気持ちになれる。


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◇猫って。
◇駅に住む猫

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来たよーーー! 

うふっ、ちょっと復活したです!
ネコ大好きだよ、私もー。
犬飼ってるじゃん!と突っ込まれるだろうが
ネコは実家に居た時に、餌をあげて
別宅に認定してもらいました。
写真、撮れないね、ネコの行動って
予測不可能に近いと思うのよ。
気まぐれだもんね。
一生懸命、道で腹這いになって撮影している姿を
思い浮かべたよ。
私も一緒に腹這いになって、楽しむけどな~(笑)
本当に読んでみたい一冊だな。
ネコと出会わないんだよね・・・しょうがないか。

2008/09/12 00:10 | あおぞら [ 編集 ]


おはようございます 

今日も健康的な生活を送る元気印のたにゃです。

ワンピースで数十分・・・なんともお疲れ様でした。猫愛をビシバシ感じます。猫はふいに動くのでついていくのが大変ですね。

特に、わたしのように古いデジカメしか持っていないと・・・起動時間とかシャッタースピードとか、用意を終えたときには既に猫は撮りたいシーンから外れている・・・ということが多々。多々。
結果、似たような写真ばかりになってしまうのでした。何枚も取る意味あるのか?という。
・・・可愛いからいいんですけど(結局のろけ)。

一眼レフも扱いが難しそうだから、シャッターチャンスに関しては共通点があるかもしれないな~と思いました。
猫を取るには、まず反応速度が速いカメラ、これにつきるかもしれません。

2008/09/12 07:43 | たにゃ [ 編集 ]


>>あおぞらさん 

>来たよーーー!

来よったーーーー!w

ちょっと復活してよかった。湿疹大丈夫?内臓が関係あるときあるから、そういうときはえらい痒いもんね。私は、特定の薬に反応して、なぜか足の裏だけに出たりしてたよ。足の裏っていうのも、ひどい場所だぜ・・・・。

ネコ好き仲間だね~。ネコは本当に気紛れ。と思うけど、岩合さんにはベタ惚れしてるように見えるんだけど、それは私が本を読んで岩合さんに個人的にベタ惚れしたことによる投影なのだろうか(笑)

本当にね、腹ばいにならなきゃ撮れないっていうから腹ばいになったんだけど、N氏ちょっと引いてたね。自分、仕事柄やってるくせにね。引いてたw
「みとりさん・・もう子供来たし、子供にネコ貸してあげよう」とか言って、切り上げられたのでした・・・。

味のある一冊です。
可愛いアイドルネコとか好きじゃなくて、そこらのオッチャンおばちゃんみたいなネコがすきなんだよね。そういう庶民ネコ、庶民だけど誇り高いネコがいっぱい出てくる本だよ。おすすめ!

2008/09/19 20:38 | 美鳥 [ 編集 ]


>>たにゃさん 

元気印のたにゃさん こんばんは。
キラッキラ目が光ってるスフィンクスの夢を見そうで、毎晩怯えているみとり(←改名してないよw)ですw 

ネコ愛にかけては、たにゃさんに負けず劣らずと思いますが、記事を拝見していると、自信がぐらつきますw

ネコって、ふいに現れますね。そのとき何を着てるかとか関係なく出現しますね。私は、パンツルックは年に2,3回。はいてると「どうした!?」と友人に訊かれるくらいにスカートしかはかないので、いつでもワンピースで腹ばいなる構えで町を歩いています。

一緒にいた友人N氏が、やたらネコに好かれる男で、ネコ、くねっくね媚びてまして、撮るのが大変でした。ネコって嬉しいと身を捩りますねぇ。ああいうのもまた、たまらん要素です。苛々してるときの、尻尾をぱしぱしやるのもまた、たまらん要素です。ああっ・・・ネコがいらいらしている・・・っと、ときめいてしまうのです。重度のネコ好き、末期かと思われます。

写真撮るの難しいですね。もうやけっぱちでシャッターを切って、偶然に祈るしかありません。
一眼レフは、ちょっとした光線の変化で変わるから、ネコの動き+光線の計算とかしていると、もうパニックになってきます。煽るかのように、ネコがくねっくね腹を見せてくねっくねするもんですから、ああああっくねくねしている・・可愛いハァハァ・・・!としている間に、また動かれてしまう。

>猫を取るには、まず反応速度が速いカメラ、これにつきるかもしれません。

いいですね~!連写機能とかで、ネコ撮りまくりたいですね。
また、たにゃさんの霊験あらたかなネコ様の写真、ぜひアップしてください。垂涎ものです。じゅるり。

また来てね~☆


2008/09/19 20:50 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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