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2008/07/27 (Sun) 途上の人 10th day

昨日は、初対面のブロ友と品川駅で待ち合わせた。
憧れの原美術館で<アート・スコープ 存在を見つめて>という展覧会をやると知って、どうしても行きたかった。

初対面だけれど、私は一切緊張しなかった。
ノーリスク・ハイリターン、今までブログを通じて交流してきて、どんな私を読んでも読み続けてきてくださって、尚且つ私と会いたいと思ってくださる方、私も安心して信頼して会おうと思える方としか会わない、と大阪を出発する前から決めて来た。

相手の方は緊張していると言っていたけれど、私はやっぱり最初から違和感がなかった。彼女はブログを持っていないから、コメントだとかメールだとかで交流してきた。それにしても、ちょっと変わった出会いだったから、印象深い人でもあった。大切に関係を培っていこうと常日頃意識していた人でもあった。

美術館までの道を、色んな話をしながら歩いた。楽しかった。ときどき私がまだ知らない彼女の一面が見えたりした。そんなときは私は話しながらじっと考えて、新たな面を噛み砕いて消化したりしていた。知っているようで知らない関係なのだ。

美術館に着くと丁度お昼だったから、館内のレストランでランチを食べた。
美しい真っ白な壁の回廊と、同じく美しくカーブしたガラス張りの壁は、緑と光が溢れる中庭が見えて抜群の開放感だった。外国人客が何人もいて、日本ではない気がした。
サラダと一緒に頼んだカクテルで、会えた喜びの乾杯をした。昼から味わう冷えたカクテルは、極上の味だった。それからデザートとコーヒーを頼んで、思いつくままに互いのことを話した。話は尽きなかった。笑ったり、共感したり、考えたり、また笑ったりした。
話が弾みすぎて、ラストオーダーですがとボーイに告げられ、閉館30分前だということに気づいた。

慌てて展示を見に行った。

エヴァ・テッペというアーティストのヴィデオアートが素晴らしかった。
真っ暗な小部屋に大きなスクリーンがあって、映像と音が流れる。
自分から期待一杯に足を踏み入れたのに、作品に縛り付けられて、私はエヴァ・テッペによって小部屋に閉じ込められたのだと直感した。動けなくなった私の脳を、ぎゅうぎゅうと圧迫し、捏ね回し、たまらない感覚になった。恐怖とも違う。慄然として動けなかった。
感受性が強い友人は、気分を悪くしてしまった。私も、次の展示室がまたエヴァ・テッペだと知って、思わず立ちすくんで入れなくなる位、一つ目の作品で打ちのめされてしまった。
二つ目の作品でも、私たちは動けなくなった。物凄い力を持った作品だった。

加藤泉の彫刻には、見惚れた。このアーティストには、人間はこんな造形に見えるのか、と最初は衝撃を受けたが、その場にずっと留まって作品とたたずんでいたら、自分の骨格だとかの造形がよく分からなくなってきた。思わず手で触れて、自分の顔を確認したほどだ。
友人は、男と女と子供が並んだ加藤泉の作品を、別の客が「あ、親子だね」と言った言葉に衝撃を受けていた。彼女には、親子だという発想が全くなかったのだという。

トラウマや過去の堆積によって存在している私たちは、同じものを見ていても解釈が違ったりする。
力ある作品は、作家の意図しないものまで見る者から引きずり出す。
私から何が引きずり出されるのか、それが楽しみで最近、私はインスタレーションアートのような、体感型の展覧会ばかり訪ねるのかもしれない。

常設展示の一つは、私の心を鷲づかみにしてくれた。
密かなる廃墟マニアである私は、崩れたコンクリートや、そこからむき出しになったコード類、錆びた鉄、静かに湛えられた水、暗闇と光が混在するその作品に惚れこんだ。一度見て通り過ぎ、帰りにまた寄った。

途中、私が突然派手にすっ転んで倒れて、友達を仰天させた。物凄く心配をかけてしまった。美術館のスタッフまで駆けつけてきて、軽い騒ぎになった。散らばったバッグの中身をかき集めてくれて立たせてくれた友人に感謝。体力もないのに10センチピンヒールとか、アホがやることかもしれない。申し訳なかった。

その瞬間あたりから少し解離して、私はしばらく自分がよく分からなかった。体が夜まで痛んだのだけど、痛くない気もして放置していた。解離している状態で、自分の不調を相手に伝えるのは凄く難しい。外側から見える私は、変わらず元気だったと思う。

美術館を出て、品川駅まで写真を撮ったりしながらエヴァ・テッペの作品の話を何度もした。色々した。互いの感じたものを言語化するのは難しいけれど、喋りあった。面白かった。
品川駅前のワイナリーショップで、お茶することにした。
酒好きの友達は、ランチに次いで、またもアルコールを迷いなくチョイスし、サングリラを飲んだ。私は、熱いカフェオレを頼んだ。

ガラス張りの2F席からは、すぐ下の交差点が見えた。
誰かを待つ人、外国人、浴衣姿の女性、親子連れ、サラリーマン、ビーチサンダルの男、老人、あらゆる人で混雑している。
家路に急ぐのか、どこかへ出かけるのか、信号が変わる度に、向こう側とこちら側から群集が塊になって交差して混ざり合い、横断歩道上は一瞬で混沌となる。
友人との会話の合間合間にそんな光景を見て、昼間に見たエヴァ・テッペの作品を連想した。


友人との話は、尽きなかった。語り尽くせないことばかりで困ったけれど、きっと言葉にできない一番肝心なものは、もう無言で語り終えている気もした。
笑ったり、真剣に話したり、思い出したり、相手の言葉から連想ゲームのように自分の内側から記憶や感情を取り出して、私たちは取り留めなく話し続けた。

友人は、強くしなやかで迷いがあった。なのに口にする言葉は輪郭が、はっきりしている。
適度な対人距離かというとそうでもなく、拒絶と信頼が同居しているように見えた。彼女は何かの途上にあるのだと感じて、同じく何かの途上にある私は、彼女が好きだと思った。


晩御飯まで誘ってくれたけど、断腸の思いで別れた。
彼女は私の決断を笑顔で受け入れてくれて、駅で、またね、と笑って手を振って別れた。
楽しくて幸せで、夢のようだと思った。
私は一人で生きてきて、誰かの中にいても常に孤独だった。
孤独じゃないと思った。ここ関東に来て、思い始めている。

ここでの日々も残り数日になって、やり残した肝心なものばかりがカレンダーに残った。
大阪へ帰る日を、ひとつの覚悟を持ってカレンダーに書き込んだ。
あんなに憎んだ新宿も、呪詛のような<逗子>という地も、人ごみもエスカレーターのない駅も、蟻の巣のように入り組んだ地下鉄も含んだこの関東。
帰りたくない、と思い始めている。




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美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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