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2008/05/25 (Sun) あやとやさしい魔女

「あやは、二番目だよ」
愛するひとに言われて、あやは、しっかり頷いた。
奥さんと子供が一番目。
あやは、二番目。
構わないよ。関係ないよ。
あやは、ひとりぼっちで世界で一番いらない子供だったから、
二番目なんて、夢みたい。
あやが、二番目になれた。
愛するひとの、二番目になれた。
誇らしくて、でも少し哀しかったけれど、そんな哀しさを味わったことがないから、
ツキツキ胸が痛くなるのは、何でだろう、と不思議に思っただけだった。
愛されると、みんなこんなふうに胸が痛いのかもしれないと思った。


あやは、何にも望みはなかった。
色々愛するひとが、あやにルールを教えたけれど、
あやは、ひとつひとつ、ちゃんと頭と胸の中におさめた。
いい子だね、と言ってもらえたら、嬉しくて嬉しくて、
にこにこ笑って、笑い声を立てて、
愛するひとのまわりを踊って、ぴょんぴょん跳ねた。


あやは、愛するひとが大好きで大好きで、ひとつになりたいと思うようになった。
でも、あやは2番目だから、お願い事はできない。
でも、どうしてもどうしても言ってみたくなった。

もし、あやが死んだら、あやの体を食べて欲しいのと、愛するひとに打ち明けた。
愛するひとは、同じことを考えてたんだよ、と驚いて、あやを抱き締めた。
愛するひとが死んだときも、あやが食べていい?と、あやは訊いた。
そうならいいな、と愛するひとが言った。
どうやって遺灰を渡せるかなぁ。
バースデープレゼントを渡す計画を立てるみたいに、
あやと愛するひとは、わくわくしながら、ちょっとしんみりしながら話し合った。
愛するひとと一つになれる瞬間の話をしていると、とてもとても幸せ。

あやは、胸のツキツキが塊になって、ぶわーっと膨れてあふれだして、
涙があとからあとから溢れてきて、熱くて苦しくて何にも言わずに泣いた。

愛するひとは、涙の理由を勘違いした。
勘違いしているのが分かったけれど、あやは黙っていた。
あやは、2番目だから、苦しいとか言っちゃいけない。

あやは、2番目だし、2番目なのにきっと、愛するひとが死んでも、
あやに知らされることはなくて、知らせてくれる人もいないことを、
あやは、愛するひとと話しているうちに、分かってしまった。

愛するひとの遺灰を食べることができても、意味なんて半分もなかった。
あやは、2番目のうちに、愛するひとのために死にたかった。
愛するひとに、食べてもらいたかった。
愛するひとの爪や皮膚や体液や髪の毛やヒゲになりたかった。

あやは、愛するひとに嫉妬した。
愛するひとは、あやを食べることができるのに、
あやは、愛するひとを食べることができない。
いいな。
愛するひとが、羨ましいな。

あやは、愛するひとの2番目になれたことで、
全部のお願いごとが叶ってしまった。
童話に出てくる魔女は、いつも突然あらわれて、かわいそうな女の子のために
素敵な魔法をかけてくれるのに、いつも魔法は解けてしまって、
魔法の代償を払わなきゃいけない。

愛するひとが与えてくれるルールは、魔法の代償。
痛くて苦しいことも、黙って胸に秘めて笑っていられたら、
その間は、魔法はほんのちょっと長く続いてくれる。

愛するひとを食べられない予感で、
あやは目の前が真っ暗になったけれど、
魔法のルールって、とてもとても厳しいんだな、と思った。
愛するひととあやは、死んでもひとつになれない。


関連記事(時系列順)

<セックスと。甘いいちごと。どろんこハリー。>
<あやを殺した男>
<赤ちゃんパズル>
<彼女の棺>
<彼女の死亡届け>
<眠っていたい>
<あやの誕生日>
<しましまのバビちゃん>
<記憶の単位>
<靴は はかない>
<名前を返して>
<心臓の血は苦い>



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解離性同一性障害 | comment(2) |


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読んだよ 

今までのあやの記録を読んだよ。
途中、記事がないのがあって、
「あや」という人格が生まれて
育っていくという、初めてしる人格の
育ち方にすごく驚いた。
虐待を受けた人が解離性同一性障害に
なりやすいのは知っていたけど、
生まれる瞬間って、初めて読んだ。
「あや」は、もういないと思ってる。
美鳥ちゃんに吸収されていったんじゃないかな。
人格を生み出さねばならなかった美鳥ちゃん、
私は、ただ美鳥ちゃんの記事を読むことしか
できないよ・・・

2008/05/27 00:43 | あおぞら [ 編集 ]


>>あおぞらさん 

「あや」は不思議な生まれ方をした。
幼児退行なんだと私は受け止めているんだけど、あのときの海だとか、どうして私の心の中には海があるんだろう、最近体験した人格の海は真っ白だったのに、なぜあのときは青い青い海だったんだろうとか、分からないことだらけです。

幼児退行について、殆ど知られていないけれど、あやは良いサンプルだと思う。人間の赤ん坊が育っていく過程をそのままトレースしていく様が、逆に精神年齢が育っていく段階を明確にあらわしていて、カウンセラーが「今○才」「今○才」と特定できたくらい。

>虐待を受けた人が解離性同一性障害に
なりやすいのは知っていたけど、
生まれる瞬間って、初めて読んだ。

そうか。「解離性同一性障害」という病名が、浮かんだり消えたりの治療現場。私は一体何なんだろう、私も期間限定なんだろうか、という恐怖が根底にあるのか、自分らしさや、自分という人格をこの後何十年も保つための長期プランな目標を定めたり、どこかで必死な自分がいる。

>「あや」は、もういないと思ってる。
美鳥ちゃんに吸収されていったんじゃないかな。
人格を生み出さねばならなかった美鳥ちゃん、
私は、ただ美鳥ちゃんの記事を読むことしか
できないよ・・・

そうか。いないのか。姿は見えるけれど、その姿がまた6歳じゃないんだな。何なんだろう。何を考えてるのか、まるで分からない。吸収されたのかな。私は自分の中にあやを含みたくなくて、徹底的に排除しようとしてるけれど、面倒なんて見たくないと思ってるけれど、どうして私が苦しいときに黙って背後に立つのか、分からないことだらけで苛々したりする。
新ブログの方に、今まで避けてきたあやについてのカテゴリーを作ろうとして、さっそく精神的に頓挫したりして、受け入れようとしては失敗するの繰り返し。
病院とカウンセリングに行かなきゃな、と最近暴れた失敗以後、足が遠のいている治療にあらためて行くことにしました。
今からカウンセリングに予約入れるよ。

コメント、ありがとう。


2008/06/10 15:57 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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