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2008/05/18 (Sun) 人格の海

12日は、まるで記憶がない。
これだけは、変わらない。
13日、14日の記憶が、ひとつだけある。

私は、海になっていた。
例え話じゃない。
本当の話だ。
今、こうしてキーボードを打つ私が現実、寝ていて見る私の夢、
それと別に、例えば現実で誰かと話しているときに同時に私の内側に見える誰かの姿、
同時に私だけに聞こえる声、幻覚や幻聴に似た、
現実と夢の狭間に存在する私の内側の世界に、海があった。

どこまでもどこまでも続く、白い海が続いていた。
深くて広い。
正確な深さは分からない、海水が白色だから。

そこに、私が溶けていた。
あやも、溶けていた。
私とあやは一つの液体になって、広い広い白色の海に漂っていた。
私とあやとの仕切りが、なかった。
私は溶けて薄まっていて、意識はぼんやりして、思考は働かなかった。
あやも溶けて薄まっていて、だけど漠然として「寂しい」「孤独」という感情が
混ざり合う私の全体を支配していた。

どうした拍子にか、14日の夜9時くらいから、
私とあやの境界線が再構築されはじめた。
境界線は、ぶよぶよとしたゼラチン質で出来ていて、
普段はある一定の浸透圧を持っていて、
この境界線である壁がどれだけ形を維持するかで、
私の意識や感情や物理的時間に影響を及ぼすのだと思った。

14日の私には、感情がなくて、飛べない老文鳥の移動を手伝ってやらなかった。
数時間後も同じ場所で立って、移動できずに待っているももを見ても、
まだそこにいたのか、と思っただけだった。
14日の、現実世界での記憶だ。
感情がないことは、恐ろしいことだと今になって思う。
最低な私だった。


私とあやとの境界線は曖昧で、あやの感情が流れ込んできて、苛々した。
あやが混じったままの私で、N氏にメールを書いた。
そうしたら、恋愛感情がどうのと思ってもいないことを書いて、誤解を呼んだ。
後日、私がすっかり戻ってきたときに訂正のメールを書いた。
自分が書いたメールを訂正するのに、私が怒っているという、
わけの分からないメールになった。
N氏は、自分が怒られていると感じないでいてくれたらいいのだけれど、と
これもまた、更に自分が戻ってきたときにメールを読み返して思った。

混じり合っている私は、あやに対して自動的に共感するらしく、
15日のカウンセリングに行く直前まで、孤独感が拭えず過食を続けていて、
思うことは、11日にあやが言った「パパとママだ」という言葉の意味だった。

あやは、永遠の「理想のママとパパ」を探してるのかもしれないな、と思い、
涙が止まらなくて泣いた。
あやが不憫でたまらなかった。
いつもは、腹が立って仕方ないのに、15日の午後までは、あやのために泣いた。
カウンセリングに行く道すがら、思った。
あやを切り離さないと厄介だ。
切り離せ。
切り離せ。

カウンセラーから「切り離しておいていい」と言われたことで、
私は、自分とあやの間を隔てる仕切りを再構築できた。
帰りには、過食がすっかりおさまっていた。
「過食は私の症状じゃない。寂しいのは、私じゃなくあやだ」
と言った言葉に、カウンセラーは頷いた。
あやとの仕切りをパキッと作ったことで、過食がぴたりとおさまった。
だから、私は安心した。
私が把握しているシステムは、正しいらしい。
あの海に溶けて漂っていた時間も、無駄ではなかったらしい。

翌16日に病院へ行って、同じ話をした。
医者が「解離性同一性障害に限りなく同じ」という言い方をした。
このスッパリと言い切らない言い方はもっともで、こういうものだ。
診断まで時間をかける。
曖昧な形で私の診断書に現在まで書かれているのは「自我同一性障害」。
けれど、そんな正式名称の病名は存在しない。
医者も、わけていていいのだと言った。
また、海での様子だとか、私とあやの間にある有機的な仕切りだとか、
過食だとか、過食を止める、あやとの境界線を再構築する話だとか、
どれも自身できちんと把握できている、システムを統括しているのは、
今あなただから大丈夫だ、と言われた。

病院へ行く前に一緒に食事した友人N氏と話していて、
11日に私が「人格がずれそうだ」と言った瞬間、その前から、
私の異変に気付いていたことが分かった。
放置していたら、交代したのだろうかとN氏は言ったけど続けて
「そのまま美鳥さんが戻って来れなくなったら、最悪の事態だ」と言ったから、
鳥肌が立ちそうな恐怖に襲われた。
戻ってこなくなるとは、あの海からだろうか。
それとも、どこか別の場所だろうか。
私は行ってしまうのか。
どこへ行って、どこから戻って来れなくなるんだろう。
死への恐怖は、こういうものかもしれない。
私は、一体どこへ消えてしまうんだろうという恐怖。


12日と13日の記憶の空白を、私は埋めることができない。
だからといって、今のところ困っていることは何もない。
ただ、私とあやの境界線が曖昧になると、物凄く苦しいのだと分かった。
孤独や寂しさに漠然と支配されて、ただピンク色の海に漂っているのは嫌だ。
私は、私でいたい。
ただ、あの海に溶けていると、そんな自我まで消えてしまう。
海のような果てしない意識の世界に、私は漂っていた。
寂しさと孤独のぬるま湯がどこまでも広がる世界だった。
ぬるい孤独に、ゆるゆると全てが溶けて、人格も記憶も感情も溶けていた。

あのときが、現実の何日を指すのか分からないけれど、
物理的に私の体はどうなっていたんだろう。
私でもなく、あやでもなく、二人とも溶けていたから、
体には人格は宿らなかったのだろうか。


その後、16日、N氏と病院から私のマンションまで、普通なら15分だろうか。
そこを1時間かけて帰った。
最悪な体調だった。
あやと交代された瞬間が3度。
当の私は、眩暈と頭痛と眩しさで意識が朦朧としていて、
最悪な体調だったのに、暢気なセリフを何だったか言ったのが聞こえた。
「今、美鳥さん?今、誰?」と彼が訊いてるのは、聞こえた。
どうだっていい、そんなこと、とにかく倒れたい、倒れてしまいたい、そう思っていた。
2,3度の瞬間をN氏に確認しようと思う。
自暴自棄な気持ちに似ている。
何か始めるとき、わたしはいつも自暴自棄だ。
そうでもなければ、現実と対峙する勇気は湧いて来ない。



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一緒になるのは? 

人格は、徐々に統合化していく治療をしていくみたいな話を聞いた。そういう段階までもっていくのに、大変みたいだけど。今もこれからも、美鳥ちゃんが自分を支配してくんだよ。人格が入れ替わらなくなるには、素人の私が言うから、変な考えだけど、美鳥ちゃん、『あや』の想いが満たされた時なのかな。

2008/05/18 23:55 | あおぞら [ 編集 ]


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2008/05/19 08:49 | [ 編集 ]


思うに… 

「嘘」は言ってない
でも…
決して「真実」も言ってない

それを分かってるのか
否か…はどうでもいいんだ


今、現実の世界がどう見え
未来がどう見えてるのか



それだけ


私は敵でも味方でもないし
恐くも優しくもない
ましてや上でも下でもない
あくまでも
相手によって変えられてしまうだけ
敢えて言うなら
「等価のカメレオン」だよ
あなた次第…(笑)

2008/05/19 15:56 | マミー [ 編集 ]


初めましてm(_ _)m 

初めまして。私は久我瀬アイザという者です。
以前から、美鳥さんの紡ぐ綺麗な文章に絡め取られるような感覚を覚えて、ずっとROMしていました。
また、美鳥さんは大阪の方という事で、文章にも面白い所があって、ただ綺麗なだけじゃない所も素敵です。

そして、勝手ながら美鳥さんのこのブログを、私のブログのリンクに加えさせていただきました(連絡無用との事ですが、どうしても伝えたくなってしまいまして・・・)。

これからも勝手ながら、今まで通り伺わせていただきますね。
私の口から言うのもなんですが、無理をせず、ご自愛下さい。
12日の記憶、戻るといいですね。

2008/05/19 21:04 | 久我瀬アイザ [ 編集 ]


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2008/05/19 22:11 | [ 編集 ]


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2008/05/20 09:23 | [ 編集 ]


>>あおぞらさんへ 

あおちん こんばんは。
いつもコメント、ありがとう。
半月もお返事が遅れて、ごめんなさい。
コメントのお返事を書くのが大好きな私としては、申し訳なく歯がゆく、本当にコメントありがとう。

人格の統合は聞いたことがあるものの、さっぱり分からないというか、システムというものがあるのかと思って、把握したと思ったら全然違っていたり。

>今もこれからも、美鳥ちゃんが自分を支配してくんだよ。人格が入れ替わらなくなるには、素人の私が言うから、変な考えだけど、美鳥ちゃん、『あや』の想いが満たされた時なのかな。

そうなのか。自分なりに用心してるものの、一緒にいる人や状況によって私と重なったり、私ではない誰かが話す声が聞こえたり。自分を支配していくということが、どういうことなのか、今振り返ってみて、溶け合ってしまうと自分の意識すら持てなかったなぁと思った。
あやの思いって何なのか、その前にどう理解したらいいのか分からない存在。いまだに全然理解できない。というより、そういえばカウンセリングでも去年あたりから苦痛で苦痛であやの話はしてないです。
したほうがいいのか。前回のカウンセリングで、えらい状態になってから、当分行けそうにない感じ。
あおちん元気かな。
ブログにもまた遊びに行くね。メールするねー!

2008/06/07 22:26 | 美鳥 [ 編集 ]


>>久我瀬アイザさん 

アイザさん、あらためて初めまして。メールのお返事、ありがとうございました。大切に何度も拝見しました。
こちらでのお返事が大変遅れて申し訳ありません。コメントくださって、ありがとうございます。以前から読んでくださってたとのことで、感激です。

>また、美鳥さんは大阪の方という事で、文章にも面白い所があって、ただ綺麗なだけじゃない所も素敵です。

ありがとうございます。嬉しい!大阪魂は捨てへんでーといつも思っているもので、ほんまに嬉しいです。アホの誇り、大事です。

>そして、勝手ながら美鳥さんのこのブログを、私のブログのリンクに加えさせていただきました(連絡無用との事ですが、どうしても伝えたくなってしまいまして・・・)。

ありがとうございます!ご連絡頂けると嬉しいです。皆さんそれぞれどこにリンクを貼られるのか、それぞれのポリシーをお持ちだろうと思うと、貼って下さることがとても嬉しいです。
アイザさんのブログは、今半分ほど拝見しています。徐々に遡っているのですがアイザさんがメールで書いてくださったような出来事も書かれてらっしゃるんですね。
何より最近、とても大変な状況に立たされてらっしゃるようで心配しています。環境がいかに大切か、私は自分の身をもって知っているつもりなので何とかならないかと気を揉んでいます。
どんな苦境にあっても永遠に続くものではないと信じます。応援しています。

>これからも勝手ながら、今まで通り伺わせていただきますね。 私の口から言うのもなんですが、無理をせず、ご自愛下さい。
12日の記憶、戻るといいですね。

ありがとうございます。
12日の記憶は、結局戻ってきませんでした。まあいっか、と思ってます。開き直れたと思ったら、今度は過食がやって来ました。苦しみはきっと一つなのに、身体に表れる症状は数限りなく変化していきますね。

アイザさんも、どうぞ無理なさらないでくださいね。お互いに、自分自身を褒めたり休めてやったり遊ばせてやったりが苦手なのかもしれません。どうぞご自愛ください。
いつでもまた、お気軽にコメントください。
色々とお話できること、今後楽しみにしています。
コメントくださって、本当にありがとうございました。


2008/06/07 22:44 | 美鳥 [ 編集 ]


>>鍵コメEさんへ 

メール、ありがとうございました。お返事が書けず、申し訳ないのと、もどかしいのとで、お話したいことがいっぱいです。写真、見ましたよ!かっけ!と叫んでました(笑)多少雑然としていた方が、仕事できそうで素敵っすw凄く嬉しかったです。私も今度何か添付したいな~!何かお送りしますね。お楽しみに☆
色々とお話したいことが溜まりに溜まっております。それだけ、とにかくコメント欄ですがお伝えしたいです。ありがとう。いつも応援してくれて、ありがとう。

>私もよく海に沈むような感覚がする時があります。私の場合は夢の中ではなく、感じている感覚を表現すると光の届かない、音のない、底のない深海へ少しずつ沈んで行くよう、と言う感じなのです。

その海も不思議な海ですね。「夢の中ではなく」という感覚がよく分かります。私もそうでした。少しずつ沈んで行くような感じは、違うですね。どんな感じなんでしょう。苦しみも何もなく、少しずつ沈んで行くのなら、それは癒しのような気もするし、音も光も底もないのなら、何か怖い気もします。でも海って、そもそもそんな存在ですよね。

>どうも、私は理論的な考えができないので、このような表現しかできないのですが。。。海では泳げないのに、なぜ海なのか、不思議に思います。

そういや私も泳げないやw

>美鳥さんの白い海。どんな感じなんだろう。。眩しいのか、それとも境界線のない不気味さがあるのか。。。白い海と言うのがとても象徴的ですね。何か意味があるんじゃないかって気がしてしまいます。

白い海です。記事ですっ飛ばしてしまいましたが、白い海がずーっと続いていて、油絵で描いたような海です。朝焼けなのか夕焼けなのか、ピンク色の日が射しているから、海の一部の表面が淡くピンク色になっていました。不気味さはなかったです。不思議さもなくて、ただただ意識がほとんどないままに、自分とあやが溶け合っている、この海に溶けて薄まっている、ということだけがぼんやり分かりました。

書いてくださったコメントの意味、分かります。中身がないものほど、こんな感じですね。
いつも応援くださって、ありがとう。
教えてくださった新聞記事、感謝です。て、メールで書けよと今思い立ちました(笑)メールしますw

2008/06/09 22:39 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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