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2007/10/24 (Wed) セックスできない 2

カウンセリング 2007.10.24
<セックスできない1>の続き


私は、心理学を知らないわけじゃない。
一年間、カウンセラー養成所に通った。
だからといって、特に何を知っているわけでもない。
臨床心理士、もしくはまともなプロのカウンセラーになるには、
途方もない努力と時間がいる。
たった一年通い、色んな本を読んだところでプロにはかなわない。
そのプロを前に、
半分自己分析紛いの言で自分を語ってみたり、
分析するような目で先生の動作や言葉を聞いているなんて、
とても恥ずかしいことだ。
「転移」だとか「ロジャース」だとか「境界例」だとかなんだとか、
もの知り顔で浅い知識をさらけ出すことほど、
みっともないことはない。
そんな妙な美意識や自意識といった虚勢が、いつも邪魔をする。
先生とストレートに話せない理由の一つだ。


今日はじめて「転移」という言葉を使った。
私は離人症だから転移できないんじゃないか、と。
なんだかこれではじめて、私らしい会話だと思った。
知っていることは、知っていると先生に話せばいい。
間違っていれば正してもらえばいいし、また勉強すればいい。




カウンセリングには、ルールがある。
カウンセラーとクライアントは、
カウンセリングルーム以外の場所で会うことはない。
例外的に、メールや電話や自宅で24時間、
公私の制限なしにカウンセリングする先生もいる。
基本的には、
制限を設けなければカウンセラーとクライアントの関係を、
長期的に続けていくことは難しい。
カウンセラーもクライアントも、感情と生活を持つ人間だからだ。


カウンセラーのプライバシーも原則聞くことは出来ない。
年齢、家族構成、住所、趣味、好きな食べ物に至るまで、
それは全てクライアントとの関係性を位置づけるものであり、
与えた情報がきっかけで、
話題の焦点がクライアントからカウンセラー自身にずれてしまい、
カウンセリング本来の機能が失われる可能性がある。


そんなことを知っていたから、随分と遠回りをした。
先生に対して無知を装い、内心であらゆる考えを巡らせていた。
先生に負担をかけてはならない、
先生に質問をしてはならない、
自分自身のことだけを話さなければならない、
出来るだけカウンセリングのための材料を
先生に与えなければならない、と考え、
果ては、先生を満足させるようなカウンセリング内容を
提供できないものか、まで考えていた。
またあるときは、私の知っているあの技法で
私を陥れ、私が伏せておきたいあの記憶を暴くつもりじゃないかとか、私を先生へ転移させるために、
私を心配する演技をしているんじゃないかとか、
疑心暗鬼の塊になっていた。


対等が基本のカウンセリングで、
私は、カウンセラーに対して警戒し、
警戒している相手に更にサービスをしなければと思っていたのだ。
カウンセリングが進むわけがなかった。
けれど、膠着状態こそが私自身の問題の表象であって、
それも必要な時間だったんだと、今思える。


実際、プライベートを知らないことは、とても奇妙な事だと思う。
約7年も毎週会って話をしてきた。
先生は、カウンセリング開始後の私のほぼ全てを知っている。
治療過程、家庭環境、友人、日常生活、趣味、恋愛、SM、裁判、
最愛の人との出会いから別れ、最中の葛藤、苦しみ、幸福、
私が彼から貰った大切なもの、傷つけられた酷い傷痕、
結婚願望、婚約破棄、私の強さ、弱さ、ほぼ全て。
けれど、私は先生の何も具体的には知らない。
私が知っているのは、先生のドアの閉め方で、
意外と大雑把な性格なんだろうとか、
薬指を見て、結婚しているのだろうとか、
眠そうにしていた頃、子育てが忙しかったのかもしれないとか、
全て事実確認の出来ない事柄ばかりだ。
先生は、
「言われてみれば、おかしいといえばおかしいけど・・・
でもそうは思っていないような」と言った。
なんとなく言いたいことは、分かる。
全く知らないんじゃない。
毎週1時間の先生を私は知っている筈なのだ。


私は、背中を押されるように、もう一歩近づいてみる。
「もし私が、ブログを公表したら、先生の仕事の時間外でも読んでくれるんですか?それとも以前のように、プリントアウトしてここへ持って来なければいけませんか?」と訊いた。
先生は、意外にも「読むよ」と当然のような顔をして答えた。
「時間外でも読むし、時間外でもあなたのことを考える。
読む読まないは私の自由で、
例えば風邪で寝込んでたりしたら読めないけれど、読むよ」
と言った。
私が予想していた答えと違う。
一歩踏み込まなければ、違うことにも気づかなかった。
機械のように感じていた。
先生は、どうやら私と同じ人間らしい。


ここ数ヶ月、
先生が、なぜカウンセラーになったのか?
という理由を、私は知りたがっている。
以前質問すると、「なぜ知りたいの?」と予想通り質問で返ってきた。
すぐに答えが得られない失望に私は消沈しながら答えた。
「最近、仕事についてよく考えるんです。だから、色んな人に今の仕事に就いた動機を聞いてる。先生にも訊きたかっただけです」
と答えた。
先生から、その日、答えを聞くことは出来なかった。
理由を、今日知った。
先生は
「私の身の上話を聞かせていいものか、そんなもん聞きたくなかったと思われるんじゃないかもしれない。仕事への関心以外に、聞きたい本当の理由があるんじゃないの?」と言った。
私は、本心を見透かされた気がして、虚勢を張るのを諦めた。
「確かにそうです。仕事として聞きたいんじゃない。
先生の人としてのバックボーンが知りたい、信用できるか知りたい」
答えた。
先生は言った。
「とても大事な質問だからこそ、答え方を考えたい。
私が怖いのかあなた自身が怖いのかわからないけれど、
それはとても大切な意味を含んでる質問だから」

先生も、私を傷つけるかもしれない、自分が失敗するかもしれない、
そんな人間らしい恐れや不安を持っていて、
思いやりとして慎重に慎重に私に接しようとしてくれているのだ。
そんなこと、考えたこともなかった。
先生は、完璧なテキストを備え、あらゆる場面に対応でき、
クライアントを正しい道へと操縦できる、機械のように感じていた。
むしろ、機械であって欲しいと私が願っていたのだと思う。
自分には分からない部分を持った女性である先生、
不気味でいつ自分を傷つけてくるかもしれない人間の女性より、
ただの機械や処方される薬のように考えていれば、
毎週カウンセリングに足を運ぶことも、さほど苦痛ではなくなる。
でも今日は、
先生が自分と同じ人間だということに安堵と感動を覚えた。
私の心の中、子供の頃からずっとどこか硬く閉じていた部分が、
7年かけてやっと、柔らかく綻んできたのかもしれない。
素直に話してみれば、真実は何てシンプルな事だったんだろう。


ここまで来るのに、なんて遠い遠い道のり。
だけど過ぎた時間を惜しむのはやめよう。
未来が近づき、過去は遠くになったのだ。




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Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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