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2008/03/25 (Tue) 女の功名は十両から

一昨日、日曜日のこと。
記事◇走りたいスイッチを書きながらテレビをつけたら、
偶然NHKの「新日曜美術館」が始まって、
まさに「日展」の歴史を放送していた。

○NHK 新日曜美術館 http://www.nhk.or.jp/nichibi/

壇ふみが出ている。
彼女の存在が、大好きだ。
司馬遼太郎の「功名が辻」がドラマ化される度に見てきたが、
壇ふみを越える「千代」を見たことがない。

以来、壇ふみを見ると、「千代」にしか見えない。
彼女が千代を演じたのは、随分前だと思う。
なのに、今だに忘れられない。
「新日曜美術館」で見たときも、「あ、千代だ」と思った。

大らかで朗らかで知恵と知性に溢れ、
落ち着きと気品と無邪気さ、懐の深さ、落ち着き、女性らしさを
全身から百合の花のように静かに放っている。
あの「千代」がもう一度みたいなぁ、と久しぶりに壇ふみを見て思った。


理想の女性像として「千代」が、常に頭にあるのだけれど、
千代には遠く及ばず、あれもこれもそれも足りない。
言ってみれば、全て足りないのだが、
壇ふみの、変わらぬ朗らかさに触れて、
「功名が辻」を、久しぶりに読んでみることにした。
何回目か分からぬ再読だ。


功名が辻〈1〉 (文春文庫)功名が辻〈1〉 (文春文庫)
(2005/02)
司馬 遼太郎

商品詳細を見る



一番好きなシーンがある。
千代が、夫、一豊のために「竜のような馬」を買うシーンだ。

侍の綺羅は人である。
よき家来、数多くの人数をもつことだ。
美服ではない。
というのが、千代の考えであった。


多くの家来を持っているために、
一豊は具足を作ろうにも困る貧しい身なりをしている。
しかし、竜のような馬を、千代は躊躇いなく「買うべきだわ」と確信し、
夫にすら内緒にして、嫁入りの頃から隠し持っていた黄金十枚全てはたいて
夫にこの馬を買うのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


伊右衛門が黄金十枚で馬を買ったといううわさは、
長浜城下だけでなく、安土城下にもひろまった。
「ほほう、山内伊右衛門とはそれほどの男なのか」
伊右衛門を知る者も知らぬ者も眼をみはった。
もともと平凡な男、という印象しか、家中のものは、もっていない。
このうわさで、人々の心のなかにある伊右衛門像が一ぺんに修正されてしまった。
人が、他人を見ている眼は、するどい一面もあるが、
他愛もないうわさなどで映像をつくってしまうようである。
千代は、そういうことを見ぬいていたようであった。

(省略)

「伊右衛門は、二千石の身上で三千石の身代相応の兵を養い、
なおかつそれほどの財貨をもっていたのか」
非凡、という印象をあたえた。
それがやがて、
内儀が持っていたらしい。といいつたわったとき、
うわさは一そうに感動的なものになった。
「伊右衛門殿は、よい妻女をもたれている」
そういううわさほど、山内家というものの奥行きの深さを印象させるものはない。
織田家の戦闘員は、五万である。
三人ずつの家族をもっているとして、十五万人が伊右衛門のうわさをした。
娯楽のすくないころだから、他人のうわさが、劇、小説などの役目をはたしている。

(省略)

千代は、馬などよりも、その「うわさ」を黄金十枚で買ったといっていい。
馬は死ぬ。うわさは死なないのである。
伊右衛門は、家中で名士になった。


               『功名が辻 (一)』 司馬遼太郎
                 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「馬は死ぬ。うわさは死なないのである。」
の部分が、大好きだ。

人が死ぬとき、どれだけ貯め込んでいても、
お金を持って、あの世に行けるわけではない。
自分の身ひとつ、この心一つしか持って行けない。
死ぬ瞬間のことを考えると、
ペンやノートや服や靴、アクセサリー、パソコン、携帯電話、
通帳、貨幣、本棚、CD、今この瞬間の時間さえ、
全てただの物にしか見えない。

身の豊かさを買うことで、心の豊かさを買えるのならば、
なんて素晴らしいお金の使い方だろうと思う。
そんなふうに、お金も時間も使いたい。

難しい。
果敢な英断と、勇気と、何より、動じない芯の強さ、
揺らがない価値観、多少の犠牲も厭わない大らかさが要る。
そして、この世には男と女しかいない。
女と生まれたからには、男の愚かさ、女の愚かさを笑う前に、
男の長所を磨きあげるような、女の特性を輝かせたいと思う。

千里の道も一歩から。
千代への道も、一歩から。
まずは、司馬遼太郎先生に「才女」の心得を、
再度、ご教授賜ろうと、1ページ目を開いたところ。


追記

千代は、いらない着物の端切れを縫いあわせて
小袖(着物)を縫ったことでも有名だ。
その柄合わせが素晴らしかったことから、
秀吉の妻寧々が大層気に入り、千代の美的・創作センスが知れ渡り、
後に皇居にまで献上することになったとか。
パッチワークの先駆けともいえるかもしれない。
千代紙、とは千代の名を由来とするとも言われている。
彼女らしい自由な発想と創作意欲、無邪気な遊び心が大好きだ。


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2008/03/25 15:43 | [ 編集 ]


うーむ 

いい話だなぁ。深いなぁ。うん。素敵だ。
あまりに心打たれて、なんて言っていいか分からないけれど、“馬は死ぬが噂は死なない”が全てを語っているよね。
うーむ。深い。じつに深い話だ。いい話を読ませていただきました。(感謝)

2008/03/25 16:30 | monokuro [ 編集 ]


理想の女性像かぁ 

>馬は死ぬ。うわさは死なぬ。
千代のお金の遣い方、ほんとにすごいですね~。馬のエピソードはドラマで見ててもうるっと来ました。司馬遼太郎の語り口、ステキだなぁ。

千代といえば、おととしの大河の?仲間ちゃんの千代しか見たことないです。壇ふみさんが演じてたのですね。うん、女性に生まれたからには女性のよさを磨きたいですね。千里の道も一歩から、私も千代殿にあやかりたいものでございます☆

2008/03/25 23:29 | hima [ 編集 ]


 

一豊が立派だったから千代は夫を想ったのか。
それとも立派になって欲しいから労り、想いを
行動に移したのか。
興味深いです。
歴史小説で日本人の心を知る、と言ったら大げさかもしれませんが、読んでみたくなりました。
(数年前まで江戸時代という年号があると思ってました。爆!!)

2008/03/26 09:26 | 土鍋ごはん [ 編集 ]


>>鍵コメUちゃんへ 

お気軽にコメントしてねん(笑)
リンク、ありがとうございました。

Uちゃんのお家を建てたときのお話を読んだときにも、功名が辻を思い出しました。千代のお金の使い方が、私はとても好きなんです。安物買いの銭失い、という言葉もあって、お金をどう使うか、何を買うかは知性が問われる気がします。
私は、失敗も半々で、一向に千代に近づけないけれど(笑)

>>身の豊かさを買うことで、心の豊かさを買えるのならば、
>なんて素晴らしいお金の使い方だろうと思う。
その通りですね。

心は、お金じゃ買えない、なんて言葉がありますが、あれはどうだろうと、これだけ物が溢れる世の中になり、感じます。お金の使い方次第では、楽しい心や、未来へ向かう向上心も結果的に購入することができるのではないか、お金も所詮物ではないかと常々思います。

>>男の長所を磨きあげるような、女の特性を輝かせたいと思う。
ここに、深く共鳴しました。
私も夫のいいところを磨かなければな、と感じました。

もう磨いてる磨いてる(笑)Uちゃんご夫妻は、試行錯誤、悩み、色々あっても、お互いを支えようという強い意志を共有できているように感じます。
愛は変わっていっても、価値観は変わらない。価値観を共有できることはなんて素晴らしいんだろう、とブログを拝見して、学ばせていただいてます。

これからも、どうぞよろしくお願いします。


2008/03/26 22:15 | 美鳥 [ 編集 ]


>>monokuro姐さんへ 

monokuro姐さん おはようございます☆

>いい話だなぁ。深いなぁ。うん。素敵だ。
あまりに心打たれて、なんて言っていいか分からないけれど、“馬は死ぬが噂は死なない”が全てを語っているよね。

そうなのです!
そこが私も一番大好きで、その一言で全てを物語ってるよね!
司馬遼太郎すげぃ(笑)
monokuroさんに伝わってよかった。

>うーむ。深い。じつに深い話だ。いい話を読ませていただきました。(感謝)

姐さん、「深い」ばっかり連発してますぜ(笑)
いい話ですよね~。
女とは、かくあるべきか、と千代を見るにつけ思います。
深い話や~。

2008/03/26 22:17 | 美鳥 [ 編集 ]


>>himaちゃんへ 

>千代のお金の遣い方、ほんとにすごいですね~。馬のエピソードはドラマで見ててもうるっと来ました。司馬遼太郎の語り口、ステキだなぁ。

すごいよねぇ。
実際あった話というから、すごいです。
この出来事から、後の全ての功名が始まったというので象徴的なエピソードのようです。
司馬遼太郎の語り口、私も好きです。
無駄なものがなく、くどくないのに、胸に来る。
不思議な文体だと思います。

>千代といえば、おととしの大河の?仲間ちゃんの千代しか見たことないです。壇ふみさんが演じてたのですね。

私が一番最初に見た「功名が辻」が壇ふみさんのもので、もしかしたらあれが一番最初のテレビドラマ「功名が辻」だったのかもしれません。なんせ、朗らかで無邪気で賢い少女のようでした。
以来、刷り込み現象? 壇ふみ=千代です

>うん、女性に生まれたからには女性のよさを磨きたいですね。千里の道も一歩から、私も千代殿にあやかりたいものでございます☆

あやかりたいねぇ。
磨きに磨いて、ピッカピカになったところで死にたいものです。

2008/03/26 22:21 | 美鳥 [ 編集 ]


 

土鍋ごはんさん こんばんは。

>一豊が立派だったから千代は夫を想ったのか。
それとも立派になって欲しいから労り、想いを
行動に移したのか。
興味深いです。

小説を読まれそうなので、ネタバレになるとアレなので、多くは語れませんが、千代は、おもろい女です。「女」の良いところを磨き、短所も長所に変えて、夫の手綱を握っております。「女」という生物を心得ている女というイメージです。
一豊は、いい人。
よくも悪くも、いい人。
かわいらしいです。

>歴史小説で日本人の心を知る、と言ったら大げさかもしれませんが、読んでみたくなりました。
(数年前まで江戸時代という年号があると思ってました。爆!!)

土鍋ごはんさん読書家ですもんね。
これ、おすすめです!
私、独身ながら、このような妻になりたい、と常日頃思っています。思ってるだけじゃあ、なれやしないのですが、まあ思ってるだけでも良いかしら、と(笑)
江戸時代という年号!
コメント読んで、そういえば、江戸って年号あったかも・・?とちょっと思ってしまった私も、土鍋ごはんさん同じく笑いものっすわ~ありそうだもんね。分かる分かる(笑)

2008/03/26 22:26 | 美鳥 [ 編集 ]


江戸時代、無いよね~ 

時系列に物事を考えるのが苦手、らしいので
これでもか~というくらい歴史に関心ありませんでした。(笑)
映像や文字自体に目を奪われる特性もあるようです。
だからごはんを食べるように字を食べるのです。

でもこうして親しくしてくれるお友達
(わ!照れるぜ!美鳥さんのことお友達と思ってます)が愛読しているとなると、
ん?何々?^^と自然に興味がわきますね~
男性は苦手なほうなのですが、一豊を通して何か学べそうです。

2008/03/27 07:54 | 土鍋ごはん [ 編集 ]


>>土鍋ごはんさんへ 

>江戸時代、無いよね~

うん。無いっすw

>時系列に物事を考えるのが苦手、らしいので
これでもか~というくらい歴史に関心ありませんでした。(笑)

なるほど~!
そうですねぇ私も年代なんかは、めっきり疎いというか、どうでもいいところがあって、ただただ人間ドラマが好きです。地理すら全然分からないです。
子供の頃は、よく歴史上の人物に恋していました。
いまだに、大津皇子が大好きです。お墓参りにいきたいくらい大好きです。大学時代は、毎年通いました。奈良まで。動機が不純なんですよ私の歴史好きは(笑)
その後は、吉原文化にはまったり、十字軍にはまったり、ローマにはまり、エジプトにはまり。あ、そうだhimaちゃんのところで書いたけれど、考古学者になろうと思ってヒエログリフの勉強をしてたのでした。

>映像や文字自体に目を奪われる特性もあるようです。 だからごはんを食べるように字を食べるのです。

いいですね。好きな表現だ。
字を食べる。
いいな~!
視覚情報に強いとはよく聞きますよね。
土鍋ごはんさんの読書家ぶりには頭が下がります。
私も読まねばなぁ。
字を食べねばなりませんね。

>でもこうして親しくしてくれるお友達
(わ!照れるぜ!美鳥さんのことお友達と思ってます)が愛読しているとなると、
ん?何々?^^と自然に興味がわきますね~

いやん。
照れるじゃないっすか~。
私も、土鍋ごはんさんのこと、すっかりお友達だと、とうの昔に思っておりますょ。。。
私も、土鍋ごはんさんの読書記録を見ると、読みたくなります。エイミー女王様のを久しぶりに再読する気になってきました。

>男性は苦手なほうなのですが、一豊を通して何か学べそうです。

タイトル「功名が辻」は、確かに功名を立てるのは夫の一豊なんですが、私にはどうも「千代の功名」にしか見えないんですよねぇ。司馬遼太郎も、そんなふうに描いています。一豊にどんな才能があっても、才能も使いよう、で、千代が夫を導いていくんですね。しかも、出しゃばらず、夫を立てつつ、自分が目立つとすぐに下がる。
千代のお話として私は読みました。
男性が苦手な土鍋ごはんさんでも、十分楽しめる小説だと思います。
機会があれば、どうぞ読んでみてください。
その際はまた、レビューお待ちしてます。


2008/03/27 12:57 | 美鳥 [ 編集 ]


ありがとうございます。^^ 

こうして夢中になったことを教えてもらうのって好きなんです。子供みたいだけど。
エジプトの文字、ヒエログラフっていうんですね。
功名が辻、ブックマークします。^^

2008/03/28 16:16 | 土鍋ごはん [ 編集 ]


>>土鍋ごはんさんへ 

土鍋ごはんさん こんばんは。
コメントいつもありがとうございます。

>こうして夢中になったことを教えてもらうのって好きなんです。子供みたいだけど。

本当ですか!嬉しいです。
子供みたいな大人、大好きです(笑)

>エジプトの文字、ヒエログラフっていうんですね。

微妙に、ちゃいます(笑)
ヒエログリフ、といいます。
ヒエログリフ辞典というものが出てまして、当時買って勉強しようかと思ったのですが、確か本が一冊数万円いたしました。
貴重なヒエログリフ辞典。
土鍋ごはんさん、書店でお見かけの際は、是非お手にとってみてください。

>功名が辻、ブックマークします。^^

わ~い!
嬉しいです。おすすめです。


2008/03/29 23:16 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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