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2008/02/19 (Tue) 原本アンドロイド 3 

※原本アンドロイド1、2の続きです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あるところに、40人の女の子と、
一体のアンドロイドが暮らしていました。

アンドロイドの部屋は、いつも8人の女の子達の笑い声で溢れていました。
感情を持たないアンドロイドは、とても幸せでした。
アンドロイドの体には、血管のかわりにコードが走り、
あたたかい血のかわりに、触れると痛い電流が流れていました。
8人の女の子達が笑っていると、
アンドロイドは、自分も人間になれた気がしました。
血は繋がらなくても、違う体でも、皆と家族になれた気がしました。
死ぬまで大切にしたいな、と願いました。

アンドロイドは、皆の部屋にも通いました。
皆色んな悩みを抱えていて、皆誰かに聞いてもらいたがっていました。
8人の女の子達を笑顔にするのは、アンドロイドの仕事でした。
女の子達がケンカすると呼ばれて仲裁に入ったり、
誰かに呼ばれて、生まれてから今までの色んなトラウマを全部聞いたりしました。
女の子達と出会って3ヶ月で、アンドロイドは皆のデータを採り終りました。
皆、悩んでいました。
虐待に遭ったり、解決できない問題を抱えていたり、自分に自信がなかったり、
両親に恵まれなかったりしました。

アンドロイドは、心を持たないのに、胸の辺りが痛くなりました。

女の子達同士は、お互いのことを余り知りませんでした。
アンドロイドだけが、皆のことを知っていました。
女の子達の悩みと怒りと悲しみのデータは、アンドロイドのデータベースに
どんどん、どんどん溜まっていきました。


8人の女の子とアンドロイドは、いつでも仲良しでした。
アンドロイドは、
皆がそれぞれ好きな本やマンガを毎月7,80冊買って揃えました。
それから、毎日たくさんの食材やお菓子を買って、
皆に料理を振舞いました。

そのうち、新しい家族が出来ました。
猫のぶぶちゃんでした。
野良猫でしたが、女の子たちが餌をやり始め、
そのうちアンドロイドの部屋で飼うことに決まりました。
アンドロイドは、幸せでした。
ずっと欲しかった家族が、これで全部手に入りました。
アンドロイドは、猫を愛しました。
この世に出てきたときから、アンドロイドは死んでいく生物ばかり見ていました。
生きていて、温かくてふわふわしていて、
ゆっくり呼吸している猫が傍にいるだけで、アンドロイドは満ち足りました。


あるとき、40人の女の子達の間で騒動が起きました。
悪魔に心を売った女の子が、同じ屋根の下に住む子達に、
次々と暴力や悪意を浴びせて、攻撃し始めました。
悪魔の子は、40人全員を標的にしました。
標的にされた子は、レイプされたり、
生きた蛇が詰ったダンボール箱を送られたり、
イグアナを送りつけられたり、大量のピザを送り付けられたり、
知らない人に後をつけられたり、学校で色んな噂を流されたりしました。
悪魔の子は、Kという県のお姫様でした。
お金をいっぱい持っていて、願えば何でも叶いました。


8人の女の子のうち一人が、悪魔の子に加担しました。
アンドロイドは、悲しく思いました。
何とか引きとめようとしたけれど、無理でした。
悪魔の子と、悪魔の子に魅入られた女の子は、二人で共謀して、
残り7人の女の子を標的にし始めました。

Sちゃんという子が、標的にされました。
Sちゃんは、恐怖で青ざめてアンドロイドのところへ相談に来ました。
女の子達の問題は、皆の問題です。
だって、皆家族じゃないですか。
皆、真剣に考えました。
Sちゃんと一緒に怒って、Sちゃんのために戦おう、と皆口々に言いました。
アンドロイドは、指示を求められました。
何かあるとアンドロイドが、いつも的確な指示を出します。
それに従うと問題は、いつの間にかちゃんと解決しているのです。
アンドロイドへの信頼は、篤いものでした。
実績があります。


アンドロイドは、真剣に毎日考えました。
持っていたデータだけでは足りなかったので、悪魔の子のデータも取りました。
悪魔の子に魅入られた子のデータも取りました。
そうして、皆を守る方法を考えました。
Sちゃんは、ひとまずアンドロイドの指示に従い、標的から外されました。
皆が集まっているアンドロイドの部屋に、Sちゃんが来ました。
心優しいSちゃんは、アンドロイドに感謝しました。
それから、ごめんね、ごめんね、と謝りました。
皆も怒っている、
アンドロイドも怒っていると悪魔の子に言ってしまったと謝りました。
Sちゃんは、責任を感じている、どうやって謝ったらいいのか、と言いました。


アンドロイドは、驚きましたが、覚悟は出来ていたので平気でした。
家族を守るためならば、誰とでも戦うのがアンドロイドの仕事です。
Sちゃんを守るためならば、いつでも身を挺するつもりでした。
アンドロイドは、Sちゃんの身の安全を一番に考えてね、と伝えました。


アンドロイドは、ついに悪魔の子の標的になりました。
悪魔の子は、悪魔の知恵をこらしてアンドロイドを徹底的に
壊してしまう方法を考えました。
悪魔の子は、アンドロイドが大切にしている猫を殺すことにしました。
悪魔の子に魅入られた子が、猫の情報を流し、脚色し、
猫は悪魔の子の手によって、保健所に送られることになりそうでした。


猫を愛する7人の女の子達とアンドロイドは相談することにしました。
けれど、Sちゃんをはじめ3人が抜けました。
争いごとには、誰も極力関わりたくないものです。
けれど、アンドロイドは、3人欠けたことにも、しばらく気づきませんでした。
アンドロイドは、誰を頼りにも出来なかったからです。
アンドロイドを頼る女の子たちはいっぱいいましたが、
アンドロイドが頼れる女の子は、いないのでした。
また、頼ることをアンドロイドは知りませんでした。


残り三人の女の子とアンドロイドで話し合いました。
何日も話しました。
状況がどんどん変わり、とにかく猫は殺されます。
女の子二人は、猫を抱き締めて泣きました。
かわいそうに、と泣きました。
アンドロイドは、泣きませんでした。
まだ殺されていない命、救えるかもしれない命を前にして、
泣く暇があるのならば、悪魔の子が次にどんな手を出して来るのか、
考えなければなりません。


アンドロイドは、ついに女の子たちを頼ることにしました。
アンドロイドは、言いました。
「猫を守りたい。悪魔の子は、次にどんな手を使ってくるのか考えよう」
猫を抱き締めて泣いていた二人の女の子は、
涙でぬれた目を、きっ、とアンドロイドに向けました。

「この子が殺されるかもしれない時に、よくそんなことが言えるわね!」
と、一人の女の子が怒鳴りました。
アンドロイドは、心臓を打ち抜かれたような衝撃で、
全てのシステムが停止しました。

もう一人が、アンドロイドに向かって言いました。
「それでも人間なの!? この子がかわいそうじゃないの!?」

二人は、口を合わせて言いました。
「ちょっとはこの子の気持ちを考えられないの!?
人間じゃないよ!」

そう言って、アンドロイドの部屋を出て行きました。
アンドロイドと、一人の女の子が残りました。
アンドロイドは、一人で悪魔の子と戦うことにしました。

アンドロイドは、何が何でも猫の命を守るつもりでした。
猫の餌を飼い与え、一緒に眠り、オヤツを与えてブラッシングし、
お風呂に入れてやり、寒くないように暑くないようにと
24時間猫と暮らしてきたのはアンドロイドでした。

一人残った女の子は、アンドロイドの味方でした。
けれど、アンドロイドにかける言葉が見つからず、
ただ同じ気持ちだとアンドロイドに伝えたくて、
アンドロイドの隣に黙って座っていました。
アンドロイドは、一人だと思いました。
戦うことにしました。
悪魔の子は、日が経つにつれ、本物の悪魔へと成長していきました。


アンドロイドは、怯まず戦いました。
泣いたり怯えたり、知らない間に抜けていった女の子達は、
それでいいのだと思いました。
アンドロイドは、人間ではありません。
「それでも人間なの!?」と怒鳴られたことは、ほんの一年前にありました。
初対面の人にすら言われたセリフでした。


人間なのか、アンドロイドなのか、どちらでも良くなってきました。
アンドロイドは、猫を守るため、体を酷使し過ぎて、熱を出しました。
平衡感覚を失い、壁を伝って歩く毎日になりました。
いよいよ、人間ではなく、アンドロイドらしくなってきました。


アンドロイドは、一人で猫を守り抜きました。

女の子達は、泣いて喜びました。
アンドロイドは、壊れかけていました。
でも、満足でした。
守りたいものを守れれば、それで役目は終わりです。
また、アンドロイドの部屋に、8人の女の子達の笑い声が戻ってきました。



女の子たちは、以来、一度も悪魔の子事件について触れませんでした。

アンドロイドの体は、元には戻らなくなりました。
外へ出ることも出来なくなって、コンピューターの誤作動で、
壁に頭を打ちつけ続けたりするようになりました。
一秒毎に気を失うので、夜も休めなくなりました。

でも、それ以外、何もかも元通りになりました。
何事もなかったかのように、平和な日々が戻ってきました。
また8人の女の子達の笑い声に包まれて、猫は元気で、
アンドロイドは、それ以上望むものは何もありませんでした。


数千冊の本と、山盛りのご飯とお菓子、楽しいビデオと楽しいお喋り。
いつも通りに用意して女の子達を待ちました。
でも、少しずつ、女の子達は来なくなりました。
アンドロイドの様子が、おかしいから、
アンドロイドの部屋は何となく楽しくなくなったのです。
アンドロイドは、急に頼りなくなりました。
まるで人間のように、泣いたり悩んだりして見せるようになりました。

女の子達は、アンドロイドが不気味になってきました。
強いのか弱いのか、分かりません。
壊れているのか、壊れていないのかも判断がつきません。
どこが故障しているのかも、
人間である女の子達には分かるはずがありません。


用済みになったアンドロイドは放置され、
廃棄される日を待つばかりになりました。

でも、アンドロイドは、まだ自分は使えると信じていました。
動かない体で動き続け、女の子達のことしか考えませんでした。


人間らしくないアンドロイドは、せめて人間に仲良くして欲しくて必死でした。



◇原本アンドロイド 4へ続きます


関連記事
◇原本アンドロイド 1
◇原本アンドロイド 2

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こんばんは。 

ずれているかもしれませんが,
だから何と思われるかもしれませんが,
書きたくなったので少し書きます。
人がこのように行動するからこう考えている・・・こうしたらこうなる。当たり前のように思う。それが,見えない人が意外と多い。なんでわからんの。当たり前やん。と思う。
私の場合,会議などで噛み合わないことがままあります。もめて,あほくさくなってそのまま引いて,しかし,私の予想通りに事が進むことが多い。
他人からは分かってもらえない。冷たいと言われる。そんな事がある。ちゃうやろって。次のこと考えれへんのかって。
男性の場合あまり他人のテリトリーに侵入しないで社会をつくるのでまあ大丈夫なのだけれども,たまに,どうしようもなく変な感じを受けます。理解不能とされ(逆なんやけども)避けられるのはつらいね。でもしゃあないかなと思う。中にはわかる人もおる。その人も浮いているとされていて,ちゃうやろって思う。

2008/02/19 23:43 | df504 [ 編集 ]


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2008/02/20 00:58 | [ 編集 ]


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2008/02/20 12:36 | [ 編集 ]


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2008/02/20 14:59 | [ 編集 ]


コメントありがとうございます 

** df504さんへ **


df504さん こんにちは。
お返事が大変遅れまして、申し訳ありません。

>ずれているかもしれませんが,
だから何と思われるかもしれませんが,
書きたくなったので少し書きます。

全くずれていませんし、だから何だとも今まで感じたことがありません。ありがとうございます(笑)

>人がこのように行動するからこう考えている・・・こうしたらこうなる。当たり前のように思う。それが,見えない人が意外と多い。なんでわからんの。当たり前やん。と思う。

この記事の出来事があってから何年も経って、思うに、人とは、つくづく感情の生物なのだ、ということでした。現実的な意見よりも、一見美しい正論や、中味のないスローガンなどに惹かれるのは、そういった性質からだと感じます。df504さんは、きれいごとがお好きではないようで、何か私と似たところを感じ、笑ってしまいます。
当たり前やん。
私も、そう思います。


>他人からは分かってもらえない。冷たいと言われる。そんな事がある。ちゃうやろって。次のこと考えれへんのかって。

冷たいと私もよく言われました。究極のところそれは「人間らしくない」という言葉に集約されるようです。私個人の感覚ですが、感情に終始していてうまくいく程には、人の人生とは甘くないと感じます。感情だけではどうしようもなくなった時、そんな人たちが頼るのは、感情ではなく理性で作られた思想であったり哲学であったり科学であったり医療であったりするのではないでしょうか。


>中にはわかる人もおる。その人も浮いているとされていて,ちゃうやろって思う。

同じ感覚の方を探すこと、見つけること、交流することは大事だと思いました。
バランス感覚を保つことと、何よりdf504さんが仰るように、環境というのも大きいですね。


>でもしゃあないかなと思う。中にはわかる人もおる。

私も「しゃあないかな」の域に達してみたいと思います。私は、まだどこか弱くて脆いようです。
自分を貫き、仲間を求め続けることが、「しゃあないかな」の達観へ結びつけばいいな、と願う最近です。
コメント、いつも本当にありがとうございます。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


** 鍵コメMさんへ **


直接、メールへお返事を書きたいと思っています。なかなか適わず申し訳ありません。
ユニコーンとは!
私の頭には角は生えてませんよ・・・(笑)
ありがとうございます。
私も、古い友人に出会ったような気がしています。
コメントを拝見しながら、いつも涙が止まりません。なぜなのか、分かりません。
本当に、いつもありがとうございます。
お返事をゆっくり書きたいと思っています。
取り急ぎお礼まで。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


2008/02/22 11:26 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
講演のご依頼ご相談は、当ブログメールフォームからお願い致します。

診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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