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2008/01/09 (Wed) The Rifle On The Crossroad

「愛」ってなんだろうね。
私は、よく、考えるよ。
過去のいろんな人を思い出して、いろんなことを考えるけど、
結局「愛」ってなんだろうな、て思うよ。

滅多に会うことはないけれど、私はそれでいいと思ってる。
だって、あなたはきっといつも懸命に生きていて、
私も、自分の場所で懸命に生きることが、
いつからか私たちの自然な友情の形になっているよね。

メール、ありがとう。
私は、あなたの人生の詳細を、少ししか知らない。
でも、それで十分なくらい、あなたの痛みと苦しみが分かる。
忘れられないね。
高校時代、あなたは拒食症で生きるか死ぬかを彷徨ってた。
毎朝一緒に登校しながら、私にあなたは見えなかった。
幼稚園の頃から、女子同士の馬鹿げた友情ごっこがつくづく嫌になって、
高校生の私は、これでもかっていう程乾いてて、何もかもどうでもよくて、
友達はいたけど、全部褪めてた。
同じように褪めてたNと、授業中抜け出して、よく遊びに行ったっけ。
Nとは、もう会ってない。
あなたとは違う理由。
多分、自分をドライに保つことに必死で、お互いを見てなかった。
その傍らで、あなたは一人ノートを広げて、ずっと何かを書いてた。
棒のようになってしまったやせ細った手で、
クラスメートたちの馬鹿騒ぎの声の中、静かに静かに座ってた。
全部褪めてたのに、よく覚えているよ。

卒業してから、私が大学に行くまでの数ヶ月、
あの年は、ひどかった。
阪神大震災で、クラスメートたちが家を失って、
学校の渡り廊下にもヒビが入ってたっけ。
あなたと私は、つかず離れず、不思議な縁がある。
あなたもときどき、言ってくれる言葉だけど。
小学校からずっと、なぜか同じ学校だった。

行きたかった大学に受かって、
茶番めいた学校の友人関係からも開放されて、
私は初めて、枯れ枝のように、やせ細ったあなたが見えた。
ずっと目の前にいたのにね。
物凄く驚いた。
見えてなかった自分って、悪魔か何かじゃないだろうか、て思った。
自分のことだけに手いっぱいで、きっと私はあの瞬間まで、
あなたと友達だったけど、友達じゃなかったんだ。
私は乾ききっていて、誰も信用していなくて、
理想ばかりこねくりまわして、
反吐が出るようなキレイな言葉をノートに書き綴ったりしてた。
でも、あなたが見えてなかった。

私は、たまらなくなって、あなたに手紙を書いた。
毎日毎日、書いた。
そのうち、あなたから返事が来るようになって、
そうしたら、私はあなたの返事が怖くなった。
あなたが私宛に吐露する内容は、
あなたと同じ年なのに、私には衝撃だった。
あの頃、私はまだ離人症の真っ只中にいて、
そのことにも気付いてなかった。
生きているようで死んでいて、爪の先まで乾ききっていたから、
血が脈々と流れるあなたの叫ぶような手紙は、
私を慄かせた。

私は、私がここで逃げたら、あなたが死んでしまうと思った。
おこがましい感情だと思いながら、でも、そう信じた。
あらゆる本を読んで、死にたいというあなたに、
伝えるべき言葉を探した。
毎日毎日、24時間、考え続けた。

手紙は結局、何通になったんだろう。
内容も、もう覚えてないよ。
ただ、必死だった。
私が生まれて初めて、他人のことを考えて考えて、
自分にできることがあるんじゃないか、
ここから逃げたら私は本当に駄目な人間になってしまうんじゃないか、
あなたにかける言葉を探しながら、
私は自分の中を探って探って、意外に空っぽなことに気付いて、
物凄く焦った。
「優しさ」だとか「愛」だとか、言葉にすれば一瞬だけど、
中身は何て複雑で、実行は困難で、努力しても努力しても遠くて、
私は自分自身まで、なんて遠いんだろう、と思ったし、
あなたまでも、なんて遠いんだろう、て思った。


あなたが今生きていることが、私には重要だよ。
しょっちゅう飲みに行ったり、仕事の愚痴を言い合ったり、
恋愛話したり、子供の話したり、そんな関係じゃないけど、
なぜかあなただけは、私の分身のように思えていて、
だから、あなたがどこかで、確かに生きていてくれたら、
それだけで私にとって、私の人生の一部を担ってくれる。


だけど、今、あなたは、また死にかけてる。
「愛」ってなんだろう、て、
この世で一番の難問に、殺されかけてる。
命じゃなく、あなたの心が最初に死にかけてるよ。
あなたの体を、あなたの心を痛めつける敵を、私は憎まずにいられない。
あなたの敵は、私の敵。
これは、共依存でも何でもない。
あなたは、私の戦友だから、あなたが戦場で倒れて血を流して、
戦えなくなっている時は、
私がかわりに銃を取って、あなたのかわりにあなたの敵と戦うよ。
敵って、彼のことじゃないよ。
多分、誰と結婚したって、同じことなの。
あなたの中に敵がいて、あなたがあなた自身を殺そうとしてる。
彼は、かわいそうな人で、彼は、何も悪くない。
だけど、何も悪くないかわいそうな人が、あなたを殺そうとしている。
心も、体も。
命を、心を、殺そうとする奴は、いれものがどんな形をしていたって、
いれものを愛していたって、あなたに毒しか飲ませてくれないよ。
かわいそうな人だから、毒しか持ってないんだよ。
毒で体が満杯なんだよ。
本当のかわいそう、てそういうことだと思うんだ。
誰も近づけない。
近づいちゃいけない。
彼も、苦しむから。

「愛」を都合よく操る悪魔に踊らされて、
本来愛し合うべきあなたたち二人は、二人で殺し合いをしてる。
祈ることなんて、後でやればいい。
生きるか死ぬかなんてときに、祈りは届かないよ。
既にあなたは、数人の命を背負わされているじゃない。
体に命を宿したこと、その命を断たなければならなかったこと、
被害者でありながら、加害者であること、
罰を受けたのに、罪をなおも背負って生きていくこと、
全てにあなたは殺されかけてる。
不必要な苦しみや怒りや悲しみや、罵倒、暴力、
取り返しのつかない過去であなたを追い詰める人間とは、
執着で繋がることは出来ても、「愛」で繋がることは、
哀しいけれど、幾ら祈っても祈っても、不可能なんだよ。
彼は、可哀想だけれど、ただ、可哀想なんだよ。
それ以上でも、以下でもない。
同情と共感は違う。
執着と愛情は違う。
暴力と愛情も、違う。
私もあなたも、よく取り違えてしまう。
でも、哀しいけど、違うんだよ。
孤独だけど、寂しくて死にそうになってしまう真実だけど、
でも、違うよ。
祈りなんて届かないところに立っているのに、
祈ろうとするから、余計苦しいんだよ。


離れて、それぞれの場所で生きてきた私とあなただけど、
あの大震災の年と同じように、
今、あなたと私の人生が、久しぶりにクロスしている。
十字路で、あなたは血を流して倒れていて、足も撃ち抜かれ、
出血でどんどん体温を失い、意識も朦朧としている。
あなたの腕の中には、
二人の可愛い可愛いあなたの愛する子供たちがいて、
あなたは、敵が見えずに、自分の武器も見当たらず、祈りの言葉を呟いている。

私は、銃をとるよ。
あなたが、また立ち上がって戦えるようになるときまで、
あなたの敵と、私は戦うよ。
あなたは、私の誇らしい戦友。
昔から、元気でない時も、元気なふりをするのが上手いよね。
周囲を気遣うあまり、豪胆さを装って、
たまに半ば自暴自棄で自分と周囲を、陽気な空気で押し流してしまう。
母親であること、生きていくため苦渋の決断をしたこと、
骨を断つような決断をして、
その末にいまだ人生にかじりついて、這いずってでも、
確かに懸命に生きているあなたが、私は誇らしいよ。

私に、「書くって才能があってよかった、て思った」て書いてくれた。
才能なんて、ない。
全ては、あの震災の年に始まった。
あのたくさんの手紙がなければ、私は多分、何にも書けなかったよ。
あなたのおかげで、今の私がある。
色んな優しさを模索してきたけれど、私はスタイルにこだわらないことにした。
手紙でもメールでもブログでも、直接会ったって。
救えるなら、何でもいい。
私は、あなたと共に戦いたい。
あなたの敵は、私の敵。


私は出番が来たんだと、思ったよ。
私は、あなたと共有できる能力がある。
祈りの言葉は、残念ながら私は放棄した。
そのかわり、目を手に入れた。
あなたと私の共通の敵を、正しく見据える目だよ。
今、私には見えるから、あなたも勇気を出して目を開くときが来れば、
必ず、見えるよ。


私とあなたは、死ぬまで友達でいるだろう、と信じている。
今だけじゃなく、これから先も、何度かクロスするだろうな、て思う。
交わった地点で、私たちは互いを支え、人生を生きよう。
今まで、そうしてきたよね。
これからも、同じことだよ。
何も変わらない。
ただ、それだけ。


誰のためでもない。
ただ、人生がクロスしている。
私ができること、何度目かには出来ること
最後までできないかもしれないこと、
とにかく何でもいいから、戦いたい。
あなたが戦えないときは、私が戦う。
そのうちあなたは、必ず立ち上がる。
それまで私が、引き受ける。


私は、戦うよ。
弾倉に、弾をこめて、敵が見えたら、迷わず撃つよ。
私たちの敵の眉間に、弾丸を撃ちこんでやる。
あなたの敵は、私の敵。
私たちの心は、決して殺されちゃいけない。
だって、私はこんなに懸命に生きていて、
あなたは、そんなに優しいじゃないか。
私たちは、殺されちゃいけないんだよ。



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美鳥さん、こんばんは。
私にも美鳥さんのような友人がいます。…目の前で、何度も何度も涙を見せました。何度も何度も笑顔を見せました。共に、闘ってくれました。いまでも、その繋がりを尊いと感じられています。
実際にあっていなくても、いつも心の片隅に応援が聞こえるのは、きっと…。
美鳥さんの文章が私は大好きです。
また、お邪魔させてください。

2008/01/10 19:03 | だいず [ 編集 ]


>>だいずさん 

だいずさん コメントありがとう!
人生に戦友がいること、とても心強くて励まされますよね。だいずさんにも、そんな友人がいらっしゃるんですね。
友達はたくさんいても、一緒に戦ってくれる人に出会うのは、奇跡のような確率だと思います。だいずさんも私も、幸せですね。
そんな友人が今、苦しんでいて、私には何が出来るだろうか、と考えながら書きました。
調子が良いときには、ブログを見てくれているようなので、彼女に届きますように、と願っています。
私の文章を大好きだとおっしゃってくださって、すごくすごく嬉しいです。ありがとう。
だいずさんも、書くことをとても大切にされていますよね。私は持っていない言葉をだいずさんがたくさん持っていて、だいずさんの記事を読む度に、心がほっとなります。
また、ぜひ遊びに来てください。

2008/01/10 22:33 | 美鳥 [ 編集 ]


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プロフィール

美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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