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2010/11/18 (Thu) バナナを使って解離を説明してみた ? 解離性同一性障害 ?

すっかり外出できなくなっている今、外から客がやって来た。ケースワーカーの家庭訪問だ。
私は、私担当のこのケースワーカーが初対面から苦手で、苦手っていうか正直嫌いであった。初めて会ったときの印象が悪かったのだ。私の精神状態もあまり好ましくなく、卑屈な気持ちが多分にあった時期だから、時が変わればもしかしたら好きになれるかもしれないと思い、顔を合わせる度にイメージ修正しようとしたが失敗し続けていた。嫌いなものは、嫌いなのであった。

そのケースワーカーが自宅に来る。前回は、私は歩けない状態で室内で松葉杖をついていたから、玄関先での立ち話だけだった。今回は、そうはいかない気がした。何かとお世話になっている。それに何より、今のぼーっとした状態では刺激がないので、あちらから刺激がやって来きてくれるのは良いことかもしれないと思った。

部屋を片付けようとしたが、相変わらず意識がアレなので一向に進まない。考え事もあったので、ますます進まない。早々に諦めた。座る場所があれば良かろう。

ダンスレッスンに行くときにはシャワーを浴びることができなかったのに、なぜか今回はシャワー完了。入浴恐怖も波があって、全然読めない。


予定より少し早くにケースワーカーが到着。部屋に通して、世紀末のように散らかっている部屋の真ん中で1時間ほど話した。1時間のうちに、私はケースワーカーの人柄を勘違いしていたことに気づき、やっと自分の心の眼鏡が曇っていたことに気づいた。
彼女(ケースワーカー)は私に性格が似ていて、はっきり物を言わないと気がすまないし、相手が子供だろうが権力者だろうが関係なく自分の筋は通しますという、まさに私とそっくりな性格の持ち主だった。同族嫌悪から、いけすかないやつだと私は感じていたのだ。

まずはケースワーカーが調査票のようなものを取り出してペンを握り、私に幾つか質問してきた。
体調はどうかと訊くので、「健康です。元気です」と答えた。「じゃあ精神状態は?」と訊くので「悪くないです。元気です」と答えた。「でも、解離が酷いので生活状況はボロボロです」と続けたら、紙に走らせていたペンを止めた彼女は、意味が分からないという顔で私を見た。

彼女は解離性障害、特に解離性同一性障害を持った人を担当するのは初めてのことらしく、本で勉強するのが嫌いな性格で、すべてフィールドワークでしか身に着けたくないタイプだ、だから知らないことが多い、話して欲しいといわれた。

何でも答えますと言うと、まず人格の数について訊かれた。
とある理由で、このブログでDID(解離性同一性障害)の「交代人格」とか「マッピング」とか「内部構造」に詳しく触れるつもりがまだないので今回ここで明らかには書かないけれど、人数を答えたら「そんなに!?」と驚かれた。でも、当事者にとって「多い、少ない」という感覚は全くないので、どう返したら良いのか困った。


それから人格それぞれの年齢や何かについて訊きたがったので、分かる範囲で答えた。でも、すべてを把握しているわけではないし、何よりもさっきから人格についてしか訊かれないのが気になった。慣れてはいるけれど、「DIDです」というと、即ビリー・ミリガン、その次に人格それぞれについて知りたがる人が多い。実際に私が困っていること、苦しんでいることはそこではないから、ズレた質問ばかりに答えるのに疲れてきた。

私から話の方向を変えた。
まず、DIDの人格だけではなく、それらが存在する「内側の世界」があることを話した。彼女は、「その世界はどこにあるの?人格はどこにいるの?脳にいるの?」と訊いてきた。

これだ。最初に人格について。次に、どこに世界や人格は存在するのか。よくある質問の2つ目だ。
用意しておいた説明の出番だ。
「当事者の感覚は脳にあるというような感覚じゃないです。例えば、今私が「バナナ」って言いますよね?ほら!今あなたの頭にバナナの映像が浮かんだでしょ?味も知ってるでしょ?浮かんでいるのは脳の中じゃないですよね?そこらへんです。その場所ですよ!」
我ながらうまくたとえたなぁと思った。

「そうか!」と、ケースワーカーは心得たようだったけれど、次のセリフは、こうだった。
「じゃあ、思い浮かべると、その人格の子が出てくるのね?」
「や・・・ちがいます・・・そういうふうに出てきたりはしないし、部屋があって、入れたり入れなかったりするし、部屋も消えたり場所が分からなくなったりするし・・・うーん・・・・」
やはり説明に困ってしまった。

こういう話をしてみたのは、実はDIDについて調べれば調べるほど、文献・書籍の類は殆どが当事者の実際とあまりに掛け離れていることに気づいたからだった。
まるで、日本語には存在しない表現を持つ外国語を無理やり日本語に翻訳したような違和感が拭えない。健常者の感覚で健常者の表現で解離性障害を説明するから、当事者の感覚との齟齬が生じるのだと思った。(今のところ1冊だけ、これだ!という本には出会っている)
だとしたら、当事者である私はどこまで自分の感覚を伝えられるのか。本当に注目して欲しいこと、困っていることサポートを必要としていることは「人格」にまつわることではないのだと、どう身近に感じてもらえるか。最近、このブログ記事でも試行錯誤している。前回の詩めいたものは、その一つだ。

思ったことは行動に移して確認しないと気がすまない性格なので、今回ケースワーカーに試してみた。バナナという譬えで途中まで非常にうまくいった気がしたけれど、やっぱり敢え無く失敗した。

去年は同じパターンで、「精神疾患者であるということを、全く無知な人に説明したらどう伝わるのか」を実践してみたこともあった。その時の相手は、たまたま電気の点検に来た普通のおっちゃんであった。面白いやりとりになったのだけど、そういえばこのブログに記録していない。もったいないことをした。


ケースワーカーに感覚を伝えることは諦めて、実際に生活で困っているひとつひとつを具体的に伝えていった。
今一番困っていることといえば、予定がことごとく無駄になること。それでもまた予定を立てる。立てなければ、ただ生き長らえているだけになってしまうから、自分らしい時間を作ろうと苦慮している話をした。
「カレンダーに書いていたらどう?」と提案される。
「書いてます。スケジュール帳にも書いてます。でもこの間それを開いたら、予想外にプレッシャーで過呼吸起こして嫌になっちゃいました」と話した。ケースワーカーは、絶句した。

その他にも、金銭管理の面、突然のフラッシュバック、唐突にやって来る体調不良、物の紛失、物の増殖、ダイエットなんて無理なこと(交代している間に菓子など食べられてしまう)、解離が酷くなると翌朝生きているのはラッキーだということ、幻覚幻聴の疲労は著しいこと、たまに世界が同時に4つに割れてそれぞれが稼動し続けること、あれやこれやと思いつくまま話した。
引ったくりも解離の最中にやられたし、でも数ヶ月に渡って後始末をしたのは私だった。部屋を大掃除していても、気がつくとバラッバラになっている。また後片付けから始める。そんなことも、ざらだ。

人格の○○ちゃんがいてどうのこうのなんて話、当事者にしたら、それどころではない。DIDにもタイプが分かれるようなので一概には言えないし時期によって症状の出方が変化し続けている。私の場合は、とにかく生活を維持できないことに困っている。

ケースワーカーは、しきりに「大変やなぁ」「それは苦しいなぁ」と言った。私は、まったくピンと来なかった。というのも今の私は物凄く元気だ。数年前に、毎日どうやって自分をとことん殺してやろうかと考えていたり、失声症になったり、大量無差別殺戮衝動で頭を占拠されたり、共依存でのたうちまわったり切腹の真似事したりリストカットしたり、貧し過ぎて飢えてたり、そんな時期に比べたら奇跡的に安定している。
「いやいや、すごく楽です。本当に過去に比べてびっくりするくらい楽ですよ」と話したら、余計に痛ましい目で見られてしまった。よほど過去が酷かったのだなと察してくださったらしい。

今は今で解離状態が深めなので、自分の苦痛などには鈍感な時期かもしれない。だから、今言ってる私の感想もあてにはならないんですが、と一応付け加えておいた。


そこから先は、ケースワーカーが、今の仕事の愚痴(老若男女、あらゆる人たちと会う仕事で、垣間見る人間のド汚さと素晴らしさに翻弄される毎日らしい)や、彼女が児童保護施設や知的障害者施設で働いていた時期のことをたくさん話してくださった。
人間について興味がある私にとって、初めて聞く話ばかりだった。耳を疑うような残酷な話、私などが想像もつかない現実、厳しい環境の中でも必死で生きる人たちの姿、さまざまな話を聞いた。

「人間が好きなんですね」

思わずそう訊いたら、ケースワーカーは言葉に詰まった。
「うーん・・・・」
と、唸った。
「好きなんかな・・・興味はあるけど・・・好きなんかなぁ・・・子供は大好きやで。人間が好き・・・?うーん・・・」

私は、人間不信だけれど人間に興味がある。普通興味を持たないようなところにまで踏み込んで、人間について知りたい。でも、好きかと真っ直ぐ問われると、やっぱり彼女のように言葉に詰まる。人間の素晴らしさと狡さの両方を幾つも幾つも見ていると、即答できなくなる。私は人間が大好きだけれど、人間不信だ。アンビバレンツ。本当は言葉では表現できないグレーゾーンの只中にいる。ずっとここに立ち続ける気がする。ここに立ち続けることが、私が私であるスタンスのように思えてきている。


玄関まで見送って、声をかけた。
「ずっと引きこもっていたから、生身の人間に会って対面で話すのは久しぶりでした。お陰で元気が出ました。ありがとうございます」
「また時々来るよ」

次に会えるときが来るのが、楽しみになった。


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Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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