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2007/10/02 (Tue) 感情の双子

私の両親は、物を捨てられない。
何でも、ないよりはある方がいいという考えで、
倉庫は奥から入り口まで隙間なく天井まで物が埋まっていて、
何も取り出せず、巨大なゴミ箱になっている。
しかもそんな倉庫が4つ、庭を占拠している。
室内も、どこも物で溢れている。
生活の場というよりも物置き場だ。
母などは、「片付けたい」と言う。
でも、一切物を捨てない。
畢竟、どこにもしまう場所がない。だから散らかる。
そしてまた「こんな家嫌。片付けたい」と言うのだ。
片付けたいけど物は捨てたくないらしい。

そんな親なので、子供の頃「片付けなさい」と言われても、
私は片付け方を知らなかった。
私も片付けられない人間だった。
つい数年前まで、必要なものが1割、ゴミが9割の部屋に住んでいた。こんな部屋に住みたくない、きれいにしたい、と思いながら、
ゴミは増えていく一方だった。
必要なものと不要なものの区別がつかなかった。
物に言い訳し、物への情にほだされ、
捨てる罪悪感に勝てず処分を先送りする誘惑に負け続けた。
必要とする理由は幾らでも見つかるのに、
不要だと敢えて捨てる覚悟を持つのは、とても難しい。


以前の私は「過去」を捨てられなかった。
楽しい思い出も苦い思い出も思い出したくない事も、
私はどれも手放したくなかった。
思い出が自分の在処を示す唯一のコンパスのように感じていた。
新しい未来のために、
正しく動かなくなったコンパスを捨てる勇気を持たなかった。
思い出が物に宿ると「愛着」と呼ばれる。
「愛」と称しながら、物を愛さず物にしがみついている自分がいた。
物は私にとってただの物ではなく、
何かを与えてくれる、自分に何かを教えてくれる、
どこかへ導いてくれるコンパスだ、そう信じていた。
私がしがみついていたものは、物に限らなかった。
過去、友人、家族、宗教、恋人。
いいものも悪いものも、何もかも。


鬱や対人恐怖、ノイローゼ、パニック障害は、死を想起させる。
症状が悪化し、思考できなくなり苦しみの感情だけになり、
自分が生きているのか死んでいるのか分からない状態になっても、
死がしんと静まり返って自分の隣に確かに座っている、
その感覚だけは変わらない。
この世のもの一切に、愛情も執着も持てなくなった。
対人恐怖で一歩も外に出られなくなり、
金は底を尽き、
一日に三分の一の食パンと水だけで一週間をなんとか生きていた。
眠っているとき以外の全ての時間は、
泣き喚き床をころげまわり頭を打ちつけ、
自身と世界へ憎しみと絶望を抱くのみだった。
ひと時狂気が静まったときには、床に横たわり、
窓から空と向かいのビルを、よく眺めていた。
あのビルへ上り飛び降りれば、多分全ては数分で終わる。
電車に飛び込めば、数秒で全ては終わる。
数秒、数分で人は死ぬことが出来る。
死ぬことは、なんて簡単なんだろう。
誰にも予想できない、誰も止める事が出来ないくらい、
あっという間に人は死ねる。
どれだけ大事に抱えようとも、死ぬときには、
愛情も執着も何もかもを死神が持ち去っていく。


その頃から、私は自分の人生を、
無意識に数秒や数分で区切るようになった。
限られた数秒数分を、何をして誰と過ごし、何を持って何を使い、
どんな時間を作り出すのか、考えるようになった。
生きていくのに、余分な物はいらない、と思う。


愛情と執着は、良く似ている。
物に対しても。
人に対しても。
愛し守り育て戦う愛情に対し、
執着とは、縛り留め迷わせる。
祖母の不思議なほど穏やかな死を見届け、
尚更、生きていくのに余分なものはいらないと思う。
あたたかい愛情があれば、それだけで生きていける。
人への愛情、物への愛情、人生への愛情。
世の中は、本来はとても清らかで、
結局は愛なのだ。




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美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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