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2012/06/30 (Sat) 悪食の好物

2012年7月16日(月曜・祝日)東京講演の参加お申込み受付中です。詳細・お申し込みは、こちらをどうぞ⇒◇講演会「両目を開いて生きる」2012年7月16日開催(お申込み先着順)




多数派に適応できればと憧れて生きてきた。
感覚も考え方も行動様式も「普通」には育たなかったから、劣等感の強さだけ「普通」に憧れた。
真似られないか無理もしてきた。滑稽な努力もした。挫折して諦めた。それでもまた憧れた。
ひたすらに苦しいのがもう嫌だった。楽に呼吸してみたかった。


いまの私は、劣等感や寂しさ、無力感が矯正すべき感情だとは思わない。
マジョリティへの適応が「正常」「生き易い」とされてる治療者側の論理が、私はどうしても好きになれない。
楽じゃないし、苦しいし、大勢の中にいれば必ずといっていいほど孤独を感じる。
けれど、それが私。だからこそ、私。異常だろうが生きづらかろうが、これほどに私らしい私はいない。

私は、戦場で殺したり殺されたりして生きてきた。虐待も虐めも泥沼の共依存も振り回し振り回される恋愛も、どれ一つ取っても安心して夜眠り、清々しい気持ちで朝を迎えたことはない。朝は戦いの始まり。夜は戦いの前夜。朝も昼も夜も、息つく暇なく戦っていないと生き延びられなかった。

大勢で楽しく一緒になって騒いでいても、ふと傍から見ているもう一人の自分に気付く。彼女は、輪に入れずに、ぽつんと立っている。その姿を見ると、本当のことを思い出す。私は、心の底から楽しんでいない。私の心は戦場に慣れている。平和には慣れない。今笑っていても、明日は笑えるのか分からない。輪の中に馴染めない自分の心そのものが、異質だと感じる。私は永久に輪に溶け込めない。


真っ当な自尊心が育たなかったからなのか、人の顔色ばかり窺ってきた卑屈な生き方のせいなのか、人間不信だからなのか、頭が悪いからなのか、人とうまくやれないからなのか、警戒心が強いからなのか。
私は、劣等感が強い。
自分に落胆ばかりしている。
一週間に一度は、心底自分を殺したくなる。嬲り殺しても足りない憎しみを感じる。人間的感情を持ち合わせているが故に、劣等感で身動きが取れなくなる自分を憎む。


それでも、劣等感を解消したいとは思わない。乗り越えようとも思わない。巷では、劣等感や無力感を乗り越えてこそ成功するものだとされているようだけど。私はそう信じて、長い長い間自分の駄目な部分と戦ってきたけど。
いまの私はそんなものに興味が無い。

劣等感を乗り越えた人間だけが、ありのままに生きられるとも思わない。ありのままに生きている人間が、劣等感を克服したとも思わない。人間の感情は、生きている限り百色に色を変え続けている。克服できる感情なんて、この世に存在しない。遠ざかることはできても、無縁にはなれない。乗り越えた気になっても、また立ちふさがる。それは自分自身だからだ。

すっきりと整わない単純ではない一筋縄にはいかない自分、即刻抹殺したい自分を敢えて肯定も否定もしたくない。劣等感は、感情だ。感情と戦っても絶対に勝てない。立ち向かった時点で負けている。
感情にジャッジは要らない。ただ、受け入れるだけだ。諦めて諦めて打ちのめされて諦める。自分は駄目なんだと徹底的に諦める。その姿勢自体は到底前向きではないし、積極的とも言えない。ただ劣等感に対し何の手も講じることのできない自分の無力を味わうだけだ。舌を差し出すだけで良い。馬鹿になって味わえば良い。

人間ってやつは、正しくなかろうが不都合だろうが醜かろうが自分の感情を大事にせずにいられない生物だと思う。

例えば自分が自分を駄目だと思ったら、駄目だと思う感情を大事にしたくてたまらないのだ。悲嘆に暮れて、絶望して、慰めを欲して、投げ出して、地団駄踏んで、手離しで泣いて、そんなふうに感情をありのまま排泄したいのだ。排泄する悦びでしばらく恍惚としていたいのだ。自らの排泄物に塗れて我を忘れたいのだ。
それは不自然なことじゃなく、不健康なことじゃなく、心が自然に当然だから抱くありのままの生理だ。

生理を認めることすらできずに、劣等感さえなければ自分は萎縮せず伸び伸びと振舞えるのになんて知ったように考えていた。だけどそれは誤魔化しだ。自分の核心に触れるのが怖いだけ。だらだらと終わりのない焦りや屈辱が通奏低音のように流れ続けるだけ。明日も明後日も鈍痛は続く。感情は、受け入れるまで差し出され続ける。


私は「ありのまま」を自分に課している。ブログを始めてずっと、貫いている。
少しでも大袈裟に書こうとしたり、自己欺瞞が混ざってきたと感じると、下書きを書いている途中で丸ごと捨てる。
感情は、ありのまま全部味わい尽くしたい。
生き延びるために殆どを取りこぼして生きてきた。だから、これからは味わい尽くす。甘いものも苦いものも腐ったものも酸っぱいものも、到底飲み込めないものも、全部味わい尽くしてやる。

私は、楽して生きたいわけじゃない。
苦しみたくないわけじゃない。
苦しんでから、報われたい。苦しんだ上で報われるという恍惚を味わいたい。
劣等感も無力感も、全部味わう。味わった後の自分など知ったことではない。乗り越えようが乗り越えまいが、どうでもいい。全部心に任せる。逃げない覚悟だけしていたい。屁理屈も言い訳も自己弁護もなけなしの自尊心も全部捨てて、馬鹿みたいに舌を差し出す。それだけでいい。それだけが難しいから、それだけに全力を注ぐ。


私の心は卑しい。
苦しみ悶え、苦しみに耐えられず死を願っても、頭のどこかで起死回生の恍惚が訪れるのを待っている。
私は適応に興味はないし、輪に加われなくても構わない。劣等感は解消できなくていい。
舌先でほんの少しばかりの劣等感を舐めて、自分と向き合ったような気分になるのは御免だ。そんな誤魔化し、自分が一番よく見て知っている。
私は、私の弱さと対立する。
自分の感情から逃げない。ありとあらゆる感情を貪欲に舌で全部舐め取ってやる。


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2012/06/26 (Tue) ☆★ライブ放送MitorixTV Vol.14配信のお知らせ★☆

2012年7月16日(月曜・祝日)、東京にて講演会を開きます。詳細・お申し込み受付中!詳細⇒◇講演会「両目を開いて生きる」2012年7月16日開催(お申込み先着順)




MitorixTV Vol.14   27日(水)22時~放送します。
番組ページはこちら⇒http://www.ustream.tv/channel/mitorixtv


今回の番組内容は、こちら↓の予定。
どうでもいい雑談混じりゆるーく放送します。

☆★☆★☆★☆★ Mitorix TV Vol.14 番組内容予告 ★☆★☆★☆★☆

▼ みとりの大阪自宅から関西弁生放送
▼ 講演参加申込み開始。お寄せ頂いたご質問やメッセージの一部にお答えします。
▼ 前回の講演に来てくださった方々のご感想を紹介
▼ ブログの過去記事あれこれ
▼ 歯医者と眼科の雑談
▼ 今日のおやつ⇒お抹茶をたてる

募集◆当ブログの過去記事で印象に残った記事があったら、教えてください

   ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

番組アドレス→ MitorixTV  http://www.ustream.tv/channel/mitorixtv


はじめての方も、ぜひお気軽にのぞきに来てください。チャットはガンガン何でも書き込み大歓迎。
では! 
MitorixTV Vol.14  27日(水)22時~
で、お会いしましょう。


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2012/06/21 (Thu) この世で一番簡単なもの、セックス。 - 境界性パーソナリティ障害 -

2012年7月16日(月曜・祝日)、東京にて講演会を開きます。詳細・お申し込みは、こちらの記事をどうぞ⇒◇講演会「両目を開いて生きる」2012年7月16日開催(お申込み先着順)



境界性パーソナリティ障害者として、苦しんできた。
記憶では、この記事を書いた頃、境界性パーソナリティ障害の患者としてドキュメンタリーの取材を受けないかという話が来た。
毎日通いで取材に来たディレクターN氏と、境界性パーソナリティ障害(当時はまだ「境界性人格障害」と呼ばれていた。以下、ボーダー)について、取材中色んなことを話した。
当時、ボーダーは病院でも匙を投げられる病気だった。ボーダー患者を取り巻く現実は、今もそう変わらないだろう。
この記事を書いたときの私にも、殆ど希望なんてなかった。克服したと思っていたのに、状況が変われば簡単に自分は壊れた。自分の醜態に自分が一番ショックを受けた。
番組が放送されて、私は一患者としてモザイクなしで出た。自分のことはどうでもよかった。ボーダーについて理解が広がるなら、撮られたくないものは何もない、プライバシーは要らないと言った。あの気持ちは、今でも忘れない。今でも変わらず持っている。

毎日、ボーダーという悪魔と手を取り合って、もつれた足で無理やりダンスを踊らされる日々。
生き延びるためには、自分の腕ごと切り落とさなければならない気がした。だけど、その勇気がなかった。躊躇っているうちに、色んな人を傷つけた。傷つけた分、自分も傷ついた。
私は誰とも深く関われない。
関われば、悪魔と心中してしまう。

そんな数年前に書いた記事。
全文、引用。

=======================
◆Sweet Poison Juicy Syrup


この世で一番難しいもの。
言葉。

この世で一番簡単なもの。
セックス。


言葉は、気持ちのどこまでも一つ一つ拾い上げても、
真実の欠片も語りつくせない。
いつも、口にした瞬間に、そうじゃない、とどこかで思う。


セックスは、何もかも、ごちゃ混ぜにする。
お互いの隙間もすれ違いも誤解も何でも、
快楽だけはシンプルで分かりやすい。
快楽を感じないセックスも、シンプルで分かりやすい。

言葉は、いらない。

言葉を失って赤ちゃんからやり直した。
セックスに溺れて、セックスでいつも体を壊し、気絶を繰り返した。
リストカットは、いらなくなった。
切り刻むかわりに、全身をサンドバックにすることにした。
セックスは、いつも痛くて気持ちよくて乾いていて生々しい。
言葉よりナイフ、ナイフよりペニス。
自傷の道具は、シンプルさを極めていった。

道具がシンプルになればなるほど、混乱して壊れていった。
殴り続けて踏み躙りすぎた脳と体と心は、ぐちゃぐちゃになった。
脳も臓器も痛みも悲しみも怒りも喜びも快楽も、
ペニスでぐちゃぐちゃにミックスされて、どろどろのジュースになった。

純度100%ミックスジュース。
いつでも躊躇わず飲み干した。
胸につかえているイガイガした言葉が、
どろどろのジュースと一緒に、するりと融けて胃に落ちる。
だから、今日も生きられる。
味わいたいものも、味わいたくないものも、全部混ぜてしまえばいい。
甘いような苦いような味がする。
まるで子供の頃にのんだ、風邪薬のシロップ。


=======================


つまり私は、私をお姫様のように甘く大切に扱ったかと思うと、サンドバッグのように無慈悲に足蹴にし、殴りつけ踏み躙る人間が必要だったのだ。その両極で自分を引き裂き続ける痛みが必要だったのだ。

それは、愛じゃない。
それは毒。
それは刑罰。
それは残虐。

たとえどんな理由で望む残虐でも、引き裂かれて痛くない人間はいない。

愛情とは一貫して揺らがないから強い。
強いから信じられる。
信じられるから、あたたまる。
あたためられるから、また生きてゆける。

だけど、愛情を求めながら引き裂く人間を求めずにはいられなくなることがある。求め始めたら、止まらない。出口が、ない。

当時の苦しみを、まざまざと思い出す。
私は自分が子供の頃から飲まされた毒を、他人に飲ませたり飲まされたりして、愛情ごっこがしたかった。
ごっこ遊びに命を懸けて、あと少しで壊れてしまう心を懸けて、全身全霊で愛情を探した。真っ暗闇の中、死に物狂いで、手探りで。

だけど、毒を煽った目で耳で声で腕で探したって、そこに温かい腕はなかった。
傷だらけの体と傷だらけの心が残った。
瀕死の体と心では、私はどこにも行けなくなった。


◆関連記事
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2012/06/20 (Wed) きたない子

2012年7月16日(月曜・祝日)、東京にて講演会を開きます。詳細・お申し込みは、こちらの記事をどうぞ⇒◇講演会「両目を開いて生きる」2012年7月16日開催(お申込み先着順)




私には、嫌いなひとが、いない。
たまにひどいことを平気で言うひと、人をバカにするのが楽しくて仕方ないひと、平気で嘘をつくひともいるけど、皆悪いひとたちじゃない。

みんなには背景があって、理由があって、悪気があるわけじゃない。

ひとの悪いところを探すより、良いところを探しましょうって、先生もお母さんも言ってた。I先生も言ってた。ひとには皆ほとけの心があるんです、て。

私も、そう思う。

だって、私は良い子じゃない。私の悪いところを探すひとは、怖い。私だって、良いところを探してもらいたいから、ひとも良いところを探して欲しいはず。

だけど、そういえば私の良いところって、あるのかな。私がひとの良いところを見つけられないのは、きっと心がせまいからだ。自分に良いところが見つからないから、誰かの良いところを見つけたら、自分がみじめになってしまう。だから、ひとのことを認めることができない。私は心がきたない。


私は、みんなを好きにならなきゃいけない。

一緒にいて楽しくないのは、私が良いところを探せないから。良いところを探せない私は、心がまちがってる。どうして私はいつもまちがったまま、自分を変えることができないんだろう。

私のことをいじめるひとも、私以外のみんなとすごく仲良しだ。
私はみんなと仲良くできない。時々仲良くできても、心の中でびくびくしてる。いつ嫌われるんだろうって、怖くてしょうがない。

そうしたらやっぱり、なにか失敗してしまう。なにを失敗したのかは、いつもよく分からない。一生懸命がんばるんだけど、うまくやれてないみたいだ。

心がやさしいひとは、なにも言わずにあまり口をきいてくれなくなって、遊びに誘ってくれなくなるから、にぶくてもやっと分かる。

元気なひとは、みんなの前に私を呼び出して、私の嫌なところを言う。そうしたら、みんなも私に我慢してたことがいっぱいあるんだって、色んなひとが私に色んな嫌なところをあげていく。中には私がやったことじゃないことも混じっていて、でも私に怒ってるその子は思い出したら悔しいって泣く。泣く子をみんなが慰めながら、私を睨んで口々に許せないって言うから、私は何にもいえなくなる。よく分からないけど、そこまでひとに嫌われるような私は本当にきたないなと思う。

私はそんな自分が恥ずかしくて、家に帰っても友達がいっぱいいるふりをしてしまう。家族はみんなだまされてしまって、私の話を信じてしまう。私は、うそつきだ。きれいな心にならなきゃと思うのに、なぜかいつもうそつきだ。私は、だめな子供だ。


寝るとき真っ暗闇が怖いから、コンセントにたぬきのオレンジ色の豆球をつける。おばあちゃんが買ってくれたやつ。
部屋の隅っこでぼんやり灯る電球の明かりを見ると、今日いちにちがやっと終わったんだなと思う。

でもふとんの中に入ったら、体の真ん中がざわざわしてくる。手のひらに乗るくらいの大きさの虫がいっぱい体の中を這い回る。虫には目も鼻も口もなくて、ウニみたいな黒いトゲがいっぱいついてる。トゲは硬くないから刺さらないけど、柔らかくもないから、何十匹もの虫たちは体の中をいっぱいかき回して胃のほうまで、はい上がってくる。

明日がくる。今日がやっと終わったのに、もう明日が来てしまう。
私は全然良い子になれてない。誰のことも本当には好きになれない悪い子だ。なのに明日が来てしまう。私はまた同じように、悪い子のまま、知らないうちに嫌なことをしてしまって、またみんなから嫌われる。
なのに明日がまた来てしまう。


だれかたすけて。

自分が悪いのに、私は泣いてしまう。
たくさんの黒い虫が私の中を這い回ってる。一匹一匹が、一つ一つセリフと映像を持ってくる。

きたないものを見る目で私を見下ろした先生の目。

私のうざいところって言って、たくさんたくさんあげるあの子のとがった甲高い声。

その隣の子が泣きながら言ってたうそ。うそだよって思わず言ってしまった私にみんなが一斉にあげた声は、何を言ってたのか聞き取れなかったから、虫も音を持ってない。
だから、映像だけ私の体内に注入する。真っ黒なコールタールみたいな液体が沁みてきて苦しい。

どうしよう。私はもっときたない子になる。涙が止まらない。

斜めや真正面から私をにらんで、みんなの顔の筋肉がひきつってる。笑ってるみたいにも見える。楽しく遊んでるときにあんな顔見たことない。私がみんなにあんな顔をさせてる。

私はなにをしたんだろう。一生懸命みんなの話を聞いて知ろうとするけど、たくさんあるみたいでわからない。私は頭が悪いからぼんやりしてしまって、どうしてもわからない。泣き出した私を見て、どうしてみんな笑ったんだろう。

いっせいに笑ったから、きっと何か本当に面白いことがあったんだろう。私はいつも、そういうことが分からない。私は、みんなといっしょにうまく遊べないし、みんなが当たり前に共有してるものに近づけない。近づこうとしたら、みんなが遠ざける。それもどうしてなのか、わからない。私は、頭がわるい。勉強はできるけど、勉強ができるのは頭がわるいからだ。


私は、みんなを好きにならなきゃいけない。
好きになってもらうためには、自分が嫌いになっちゃいけない。
自分から変わりましょうって、先生もお母さんもI先生も言ってた。

私も、そう思う。

そう思わないと、また同じ明日が来てしまう。

明日が来るよ、明日が来るよ、明日が来るよ。
たくさんの黒い虫が私の内臓をざわざわなでまわして、私は怖くてふとんの中で何回も何回も寝返りをうつ。
涙が出る。私はすぐ泣くからだめなのに、がんばってもがんばっても涙が止まらない。


ひょっとしたら私が、すごくひどい病気になって、すごくかわいそうになったら、みんな好きになってくれるかもしれない。風邪を引いたときにもらったクラスメート全員の手紙みたいに、あんなふうにみんな優しくなるかもしれない。
みんなが優しくなってくれたら、私はみんなが大好きになれる。
心がきたない私でも、いっぺんに変われそうな気がする。
すごくひどい病気にならないかな。

だけど、私は元気に学校に通わなくちゃいけないんだった。学校は休んじゃだめだって家族みんなが言う。大人は仕事、お母さんは家事、お前たち子供の仕事は学校にいくことだ、学校にいかないでごはんを食べるのはごくつぶしだ、てお父さんは怒鳴る。


家族はみんな寝てしまって、私は世界中でひとりぼっちだ。
耳を澄ませても、外の音も聞こえない。ここはどこなんだろう。
みんなの中で一生懸命がんばってるときの私の中みたいだ。真っ暗で静かで、何にも怖くない。だけど、時間がどんどん過ぎて明日がどんどん近づいてくるのだけ、はっきりわかる。怖いことには、足音がない。だからよけい怖い。


泣きながらふとんの中で、私は手をあわせていっしょうけんめいお祈りする。

もっとみんなの良いところをちゃんと見つけられる子になりますように。
すぐ泣かない強い子になりますように。
みんなに好かれますように。
ひどい病気にかかりますように。
早く死にますように。


お祈りが終わっても、たくさんの黒い虫がたくさんのトゲで私の身体に真っ黒な声と映像を流し込んでる。お祈りのとき、いっしょうけんめい目をこらして見てる光の上を、たくさんの真っ黒な虫がはいずり回ってる。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

きっと真っ黒い虫たちは、私の中にいつも潜んでる。みんなはきっと、こんな怖くてきたない虫は持ってない。私がきたないから、きれいな光にも毒が注入されてしまう。だからお祈りはどこにも届かないのかもしれない。

私がきたないことを、みんなもこっそり知ってるのかな。だから私が近づくと嫌がるのかな。私はきれいなものを汚してしまうのかな。楽しいことは楽しくないことにしてしまうのかな。私はみんなに仲良くしてほしいけど、そんなふうに思うのがみんな嫌なのかもしれない。


真っ黒い虫たちのトゲの先にたくさんの歯がついてる。真っ黒になった私の身体の内側にいっせいに小さい歯を立てて、噛みつこうとしてる。

声を出して泣けよと噛み付く。
お前はうそつきできたない子だと噛み付く。
もっともっと自分を嫌いになれよと噛み付く。

いたいよ、いたいよ、くるしいよ。
だれかたすけて。
声はでない。涙がでる。
だれにも気付いてもらえないけど、きたない私はみんなから見えないところにいたい。
私は弱虫で、きたない子。


私には、嫌いなひとが、いない。

ひとの悪いところを探すより、良いところを探しましょうって、先生もお母さんも言ってた。I先生も言ってた。ひとには皆ほとけの心があるんです、て。

私も、そう思う。

だけど、私はきたなくて、うそつきだ。真っ黒な虫がいっぱい住んでる。
どうしたらいいのか分からない。だれかたすけてって言えない。苦しくて涙が出る。でも、明日がきたら明日もまた学校に行く。きっと口からも耳からも鼻の穴からも、真っ黒い虫があふれ出て、こぼれ落ちて、私は明日も色んなものを台無しにしてしまう。



私は、私が大嫌いだ。


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2012/06/15 (Fri) ☆★ライブ放送MitorixTV Vol.13配信のお知らせ★☆


MitorixTV Vol.13
東京講演申込み受付前夜の放送 大阪の自宅から生放送 16日(土)21時~


久々にUstream放送やります!叫びたくなるほどに!久々です!
ぜひぜひ見に来てください!

7月16日、東京品川きゅりあんで開催することになりました私の講演会。
その準備に追われて、ブログ更新なかなか成らず。
日曜日には、講演参加申込み受付を開始できそうなので、今スタッフの皆と作業の追い込みかけてます。

私の体調は相変わらず乱高下。
でも、そんな中でもどうにか立て直し、休み休みのろいスピードながら、やりたいことをやっています。
薬を一種類断ったのを契機に再発したパニック障害は、当初ほどではないにしろ、まだまだ治まってくれません。久しぶりにこの発狂寸前の苦痛を味わうと、懐かしいやら死にたくなるやら、あらためてパニック障害で苦しんでいる当事者の方々に思いを馳せています。
その他、解離性障害の変則的な症状に苦しんでいます。
さらには、過去のトラウマが無意識に蘇る場面が増えて、やや足を取られ気味です。過去が、なかなか過去になってくれない。不自然に生々しい過去が現実の足を引っ張っているのを自覚すると、本当に悔しいです。


Twitterのタイムラインでは、生活保護の話題や精神薬害の話題などでにぎわっています。そちらに関して発言したいことも多々あれど、なかなか記事にできないのでTwitterで独り言のようにぶつぶつ呟いています。
しかし、本当はそんな暇などないのでした。道草ばかり食っているので、作業締め切りが悉くギリギリなのでした。現在進行形なのでした。

作業が順調に進めば、6月17日(日)には、講演会の正式告知、前回同様ちらしも公開。
そして、同時に参加申込み受付も始めます。
前回、多くの心あるブロガーさん達が、ご自身のブログで講演告知にご協力くださいました。
そのお陰で、沢山の方に来ていただくことが出来ました。
今回も、ご協力頂けたら嬉しいです。ぜひぜひよろしくお願い致します。こちらは、後日あらためて記事にしてお願いしたいと思っています。
また、既に私のTwitter @mitorin での講演告知やUstream放送予告情報をRTしてくださってる方々、ありがとうございます。言葉に尽くせぬ感謝です。

そして、私の講演関連情報を流すTwitterアカウントができました ⇒@notion914
7月16日の講演に関する情報以外に、このブログの過去記事を1記事ずつ紹介したり、Ustream放送の予告、その他いろいろ情報発信する予定です。
ご興味ある方、ぜひお気軽にフォローください。

今回の番組内容は、こちら↓の予定。

☆★☆★☆★☆★ Mitorix TV Vol.13 番組内容予告 ★☆★☆★☆★☆

▼ みとりの大阪自宅から関西弁生放送
▼ 7月16日品川で開催する講演会の内容、参加申込み方法、裏話などなど
▼ 多くの精神疾患は脳にあるんじゃない、人と人の間にある。と、思う。
▼ 駐輪場のおっちゃん
▼ 今日のおやつ⇒あずき茶 と すてきスイーツ

   ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

番組アドレス→ MitorixTV  http://www.ustream.tv/channel/mitorixtv


では! 久々に視聴者の皆さんと楽しい時間を過ごせるの楽しみにしてます!
MitorixTV Vol.13
東京講演申込み受付前夜の放送 大阪の自宅から生放送 16日(土)21時~

で、お会いしましょう。


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2012/06/06 (Wed) 帰ってくる小鳥の名前 - 解離性同一性障害  -

20120606.jpg

あの身の捩れるような熱情も、温かく滑らかな肌に触れる指先も、深い安堵の溜息も、小鳥のように一斉に羽ばたいてどこかへ消えてしまった。
大阪に戻ってきたらスイッチがぷっつりと切れるように、安らぐ私ではなく常に張り詰める私になった。これが今までずっと生きてきた今までどおりの私。安らぎよりも、孤独に馴染む。
私は今、ひとりだ。
ひとりでも、全然平気だ。寂しいなんて感じない。


目の前の環境をやり過ごすために、荷物になる感情を自動的に破棄するのかもしれない。
解離性障害の私は私の意識や感情を連続して維持できない。
私が思っているよりも、私はひとりであることに恐怖しているのかもしれない。だから感情を排除しようとするのかもしれない。生きることは、戦うこと。死なずに今日を越えるには、やっぱり私は戦わなくてはならない。弱いままでは戦えない。寂しがっていたら戦えない。

OFFになった感情は、点滅すらしてくれない。


あなたに抱いていた特別な感情がどこかへ消えてしまって、私はまるで別人のようになってしまった。
リハビリの帰り、そんなふうに正直に話したら、受話器越しの拓海は穏やかに「そうか」と言った。
日が暮れかけた大阪の空は、桃色やオレンジに染まって美しい。空気に夜の匂いが混じり始めて、肌がうっすら冷えていった。
どの季節の夕焼けが一番美しいんだっけ?
夕空を眺めながら、そんな話をした。私も拓海も、空に詳しくないから答えを知らない。拓海の半ば苦し紛れの提案で、「夕焼けは、いつの季節のどの夕焼けだって美しい」ということにした。


私は、意識と感情を維持できない。連続した時間から唐突に放り出される。そうしてまた、ふいに戻される。ひょっとしたら戻ってこないかもしれない。何の保証もない。ただ、いま私が私としてここにいるという事実だけがある。
私が忘却しても、私の人格が揺らいでも、記憶が飛んでも時間が飛んでも、大事なものが抜け落ちても、
「そうか」と、ただ一言だけ彼が打つ穏やかな相槌は、私の事実に対する覚悟のようなものであり、期待のようなものでもあり、信頼でいて、願いでもあるのだと思う。

私と拓海は別々の人間だから、私が所有する感情の小鳥を逃がしてしまっても、私は私の分を失うだけだ。それらは勝手に逃げたのか、それとも私が逃がしたのか、私にも判別がつかない。そうして私は、行方を探そうとも思わない。

いつの間にか夕焼けは消え去って、空は夜に変わっていた。家に帰るのが何となく惜しくて、帰路の途中で通りかかった階段に腰掛けて、色んな話をした。どの話をしても、私は大切だったはずの感情を思い出せない。
私の元から飛び立ってしまった小鳥の名と、拓海が大切に慈しんでいる小鳥とは、同じ名を持つのだろうか。もはや手元にない感情を声に織り込むことは、私には出来ない。だから別人のような今の私の声は、彼の耳には少し冷たく響くに違いない。

「それは、やっぱりとても悲しいよ」
寂しさを隠そうともせず、拓海が言った。私に置いてきぼりにされた胸の痛みを押し殺すような、吐息混じりの声だった。その声に胸が痛まないという事実に胸が痛んだ。その時はじめて、私は私から去った感情が早く戻ってくればいいのにと願った。


私と拓海は別々の人間だから、私が所有する感情の小鳥を逃してしまっても、彼は彼の分を守り続けるだろう。
またね、と笑って電話を切ったのは、覚悟のようなものでもあり、期待のようなものでもあり、信頼でいて、願いでもある。
気まぐれで正直で自由で傷つきやすくて、どこへでも行ける。それは温かい小鳥のようだ。
もし手元に戻って来たなら、今度こそ両手で大事に温め守ろうと思う。

そんなふうに思う私は誰なのか分からないまま、不確定な夜を越える。



私の講演会「両目を開いて生きる」2012年7月16日(月祝) 品川きゅりあん にて行います。今週末から、参加申込み受付開始予定です。お会いできること楽しみにお待ちしています。
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2012/06/05 (Tue) 苦しみを隠す

久しぶりに健常者のふりをして出かけねばならない日だった。
少し前に帰宅したけど、へとへとに疲れている。

最近再発したパニック障害を抱えて外出するのだけでも強い不安を覚える。
加えて、同行者に不調を悟られないように振舞うのは神経を使う。
頑張ろうとすればするほどプレッシャーが重荷になって、余計に体調が悪くなる悪循環な1日。

ほんの一言でいいから自分の状態を伝えられたら、気が楽になって体調不良も吹き飛ぶのかもしれない。
だけど、言い出す機会が見つからない。
では言い方を変えてみようかと考えてみたけど、全身の痛みと呼吸困難、パニック障害独特の炙られるような焦燥感で頭がまわらない。
そうしている間にも、待ち合わせ場所に到着し、顔を合わせ、店に行って飲みたいもの食べたいものを注文して、飲んで食べて喋って喋って。半分解離を起こしていたのかもしれない。問題なく乗り切った。

楽しかったと思ったけど、帰ってきて今考えてみたら、よく分からない。
ただ、強く強く「ああ、いやだなぁ」と思ったことがあった。

別れて電車に乗るなり、また全身痛と呼吸困難とパニック障害の予期不安に襲われた。そこに、今日会ったそれぞれから「ありがとう」のメールが来た。
調子が悪くて返信できないなんて言えない。こういうメールはすぐ返さなくてはならない。
そう思って、機械的に返信を打った。
本当はもっと気持ちをこめたいのに、体調の悪さを隠して早く返信することを優先すると我ながら心底つまらないメールになった。ざっくばらんな口調で書くビジネスメールだ。
受け取る相手はそんなものだと気にしないかもしれない。でも、私はなんだか嘘をついているような気がして、心が小さくささくれ立った。

内心の抵抗を無視して、私の指は送信ボタンを押した。
自分の体調や心のペースに合わせていたら、社会人のテンポから外れてしまう。
じっくり書いて送るよりも、すぐに返すことを望まれている。だから、これがベター。ベストじゃないけど、ベターなはずだ。
送信した後から、さらに身体の痛みが増して、今日何度目かの痛み止めを飲んだ。痛みの原因は相変わらず分からない。

安心感が体調に与える影響は大きい。
体調の変化を隠さなくても良い場面では、私は比較的元気に過ごせる。
健常者のふりをしなければならない場では、皮肉なことにはかったように具合が悪くなる。
個人的に、障害を隠すのはベターではあるが、ベストではないようだ。


皮肉だ。
本当に、皮肉だ。


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美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

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