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2009/06/08 (Mon) ヴァージンの犬 ? SM ?

※6月9日 22時30分 全文加筆修正

20090608.jpg


久しぶりに、このカテゴリーの記事を書いてみよう。
<SM algolagnia>
訳すれば、疼痛性愛と呼ぶ。

SMとも言うが、残念なことに一般人には誤解されて定着してしまった。いや、最初からこれが本物のSMですとは出回っていないので仕方ない。
以前記事として書いたかもしれないが、SMにおいて主導権を握っているのは実は「満足の」Mであり、サディストは「サービスの」Sに過ぎない。プレイは、SとMの共同作業だ。プレイにおいてSとMは人間として平等である。主従関係という形を維持するにしても、Mの協力なしには成立せず、Sの自負と知恵なしにも成立しない相互関係だ。

サディストに力がなければ、心優しいマゾヒストは嬉しくもないのに喜んでいる演技をする。これは、サディストの力量不足を証明している。
嘘がつけないのが、SMという遊戯だ。マゾヒストが全てをつまびらかに曝け出すと同時に、暴くサディストも同等に試される。

人の心を扱うには、知性が要る。慎重さも要る。敬意も払う。
女王様の人間性がM男より格下であれば、SMはすぐに茶番劇に成り下がってしまう。逆に上質であれば、一生を変え、支えていくだけの感動を生む。


一度片足を突っ込んだ世界からは、なかなか抜け出せない。私は、SMの世界が好きだ。
どうか私を調教してください、あなた以外では考えられない、私をあなたの犬として躾けてください、私をあなたの手で女の子に調教してください、と私の前に身を投げ出す男性が現れた。


聞けば、彼はM男としてヴァージンだった。調教経験は、一度もない。SMクラブにも行ったことがない。しかし、憧れが止むことはなく苦しい。
何故なのかと訊けば、複数の答えが返ってきた。

自分の願望を否定しなければならないという理性が一つ。金を払う関係では、満たされないだろうという見立てが一つ。職場、家庭などに万が一ばれてしまえば、人生一貫の終わりだという至極全うな感覚が一つ。

要するに、彼は常識や理性や環境に雁字搦めで足掻いて苦しんでいる。自分自身について苦しめるということは、一つの才能だ。自分の本質と向き合わざるを得ない人間だということだ。誤魔化しがきかない人間だということだ。
私は、内心で彼に満点を付けた。


彼は、真剣に悩んでいる。
非常識で変態な願望は、幾ら打ち消しても彼の頭から離れることがない。誰か壊して欲しいと願ってしまう。こんなことに憧れるのは異常だ、変態だ、危険だ、駄目だ、と幾ら打ち消しても打ち消しても、ふとした拍子に考える。ああこのまま叶うことなく自分は死んでいくのか。この願望は満たされないまま、自分は嘘の顔をして生きていくしかないのか。誰にも言えない。妻にも勿論言えない。
欲望と理性の狭間で、彼は引き裂かれ続け、虚しさと絶望を抱いている。
裏の顔がありながら、表の顔ばかりで生きなければならない日々が、彼をじわじわと苦しめている。
彼の鬱屈は、私にはよく理解できた。


彼は私という存在を知り、少し話すなり、私との確実な連絡方法を知りたがった。彼が、出会うべき主と出会ったと直感した瞬間だった。
調教してください、あなたの犬にしてください、あなたしかいない、と彼は言った。私は何も言わないのに、身分を正直に明かした。正直であるということがSMではまず大前提であることを、初手の彼は既に直感していた。
良い素質を持っている。彼を調教することに興味を持った。しかし、敢えてその場での答えは保留にした。一人の男の調教を請け負うことは、重いことだ。軽々しくは決められない。


ところで、私は悪食なのか、容易く理解でき、容易く支配できるマゾヒストには興味がない。
社会的地位や、見識、年齢、あらゆるものが私より上回れば上回るほど、プレイは楽しくなる。数いるマゾヒストの中で、私の目に適うM男は稀だ。ただ欲望を抱えているだけの男に興味はない。欲望の傾向にも興味はない。知る価値のある人間についてだけ知りたい。

サディストの種類に比べ、マゾヒストの嗜好パターンは無限だ。マゾヒストの願望にサディストの欲望が常に制限を受けるという、SMの基本構造がそうさせているのかもしれない。マゾヒストの世界は人間の欲望と業の数だけ存在し、人間そのものの多重性、肉体と精神の関係を面白いくらいにありのまま見せてくれる。

私はサディストでありながら、いつもマゾヒスト男性の嗜好には、何故そんなことにそこまで興奮するのか?と首を傾げることから始る。否定するためではない。あるがままを認めるためだ。

例えば、調教志願の今回の彼は、どうあっても男性であり、社会的地位もあり、結婚している。妻とは、ノーマルなセックスが可能だ。にも関わらず、「女の子になりたい」という願望を捨てられずにいる。その願望は、何故か彼の性的興奮と密接に結びついている。それどころか、ノーマルなセックスでは決して満たされない自己の存在意義にまで及んでいる。
彼は、なぜ「女の子にしてください」と私の前に平伏すのか。
マゾヒストの数ある嗜好の中でも、彼は何故そんな突飛な幻想を抱くようになったのか、興味を魅かれる点だ。
私は、相手の嗜好がどれだけ突飛で変態であっても、スカトロ以外なら針でも鞭でも相手が悦ぶなら何でも出来るので、問題はない。相手が悦ぶなら、私も悦ぶ。
この「相手が悦ぶなら」という点が前述のサディストが受ける制約というやつだ。プレイがうまくいけば、制約は枷ではなくなり、逆に妙味を引き立たせるスパイスとなってくれる。


私の調教を受けたいと懇願する男性は、礼儀も言葉遣いも心得ており、会社でもそれなりの地位にある。結婚し、家も持っている。
ひとつ何かストレスはあるかと訊ねると、会社で部下を叱ることが、苦痛でたまらないという。立場上叱らなければならないからしていることだが、相当なストレスだという。彼自身、自分は繊細で神経質な性格だ、と自己分析した。

私の経験上、こういったM男はプレイ中に叱ってやると悦ぶ。優しく叱るのも、厳しく叱るのも良い。ただし、全て相手の予想を裏切り、虚を突いて叱る。なぜ叱られるのか考えさせ、彼が答えを考えている間に彼が答えるであろう答えを先読みし、答えには正解を与えてやらない。その一等上の淫靡な答え、過酷な答えを与えてやると、また悦ぶ。
人間の心とは、こんなふうにできている。SMという遊戯の枠内であれば、叱られることも叱ることも、極上の遊びに変わる。不思議だ。


プレイの質は、サディストの知性と勘と即座に物語を組み立てる能力、マゾヒストの抑圧と信頼と葛藤と快楽と恐怖をありのまま曝け出す覚悟、両者によって上下する。
人間として引き出しの多い者ほど、サディストにとっては面白い。
引き出せそうなものをどれくらい持っているのかは、M男によって違う。感受性と理性と知性が高ければ高いほど、引き出しは多い。そして、彼らは自分自身の精神の深淵を覗き込むことに躊躇し、同時に恋焦がれている。直感的な恐怖を等しく持っている。この世界に踏み出してしまったら、もう二度と自分は元には戻れないことを知っている。だから恐れる。
恐れを飛び越えるために、サディストが手を貸してやる。導いてやる。抑圧も解放も、引き出すのはサディストたる私だ。残さず引き出してやる。

調教志願の彼は、SMの世界に踏み込むことを恐れている。しかし、本当は更にその先にあるものにこそ覚悟が必要だ。それを彼は知らず、知っているのは私のみだ。


一度SMの世界に足を踏み入れれば、二度と戻れないなどという曖昧な観念は吹っ飛ぶ。これまでの曖昧さが嘘のように、身体と精神はぴったりと結びつく。自身の精神を知るには身体に訊ね、身体を知るには精神に訊ねれば分かるようになる。あるがままでいいのだ、と自己肯定できるようになる。他者からの承認を受ける、まして生涯隠しておきたい程の自分の恥部を曝け出し承認を受ければ、精神は味わったことのない安定を得る。ただし、主の前でだ。誰を自分の主人と選ぶかで人生が変わる。調教を受けたことのない彼は、憧れだけを持っている。しかし、精神的に主人を持つということが、どれだけ慎重を要することか彼は知らない。

プレイの回数は、関係ない。上質なプレイであれば、一度で肉体も精神も変化を遂げる。以後、プレイで得たあらゆる感覚は、ずっと死ぬまで彼の身体に刻み込まれるだろう。刻み込めるようなプレイしか、私はしない。
勘の良い良識あるM男性ほど、主人となる女王様の人間性を知ることに重きを置く。彼は、私の人間性を知りたがった。私から短時間で彼が学んだものは多かった。彼は、願望を満たすことが精神の安定に繋がることも、薄々気づいている。一人ではなく、主を必要としている自分にも気づいている。
素質がある。
彼の目に適えば、私への忠誠は深いものとなるだろう。私も、手間を惜しまず可愛がることが出来る。
彼が、切実にSMを必要としている事実。
これこそが、サディストの私にとっての稀なる素材だ。強烈に興味を魅かれる。


私なら、彼を彼が今想像している以上の世界へ導くことが出来るだろう。私もまた、彼という素材を前に、彼の嗜好の発端を見つけ出すという胸躍る観察実験ができる。彼が自覚しているよりもはるか前に遡り、幼少期のトラウマまでもプレイの俎上で解体し、詳細に調べ、彼に最高の悦楽と安堵を与えられる。
SMカウンセラーになれますよ、と彼が冗談なのか本気なのかそう言ったが、あながち的外れではない。プレイ中に私が考え続けるのは、相手の心理のみだ。抑圧と解放について考え続けている。抑圧を解除してやり、安心を与え、全てを暴き出し、解放し、相手のすべてに承認を与えてやる。その瞬間に、私もまた最高の悦びと充足感に満たされる。

私のようなサディストと彼のようなマゾヒストが出会えば、少なくとも彼が想像している以上に世界は質量を増し、制御しがたい遠心力が生まれる。彼は、そのことをまだ知らない。
私が、最初に想定し、考慮し、決断するべきことだ。
彼の調教を引き受けるべきか、迷っている。


関連記事
<SM algolagnia>


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SM algolagnia | comment(18) |


2008/02/05 (Tue) 雨ふり のはら

一週間ほど前に、Rからメールが来た。
私からの連絡が絶えて、寂しそうなメール。
なぜ連絡が絶えたのかすら、訊かないR。
忠実な私の可愛い可愛いペット。

私は、あなたの飼い主なのかな。
でも、あなたは人間なんだよ。
なのに、どうしてそんなに私に懐くの。

答えられずに、一日一度はRのことを考える。
Rのこと、詩に書いてみた。
詩の中の私は、Rに、ばいばい、と言っている。
でも、アップできない。
きっと、さよならしたくないんだ。
永遠に、保留にしておきたい。

Rって、私のなんなの。


私の<取材>は、終わってしまった。
多分。
私は、サディストにもなれるし、マゾヒストでもある。
そして、セックスが好きで、セックスが嫌い。
心の交流は愛せるけれど、体の交流は怖い。
SMが必要で、愛を拒否したがっている。
寂しいけれど、孤独でいなきゃと思っている。

浮気も不倫も興味はなくて、人を、愛を、取材したいだけ。


友情でも愛情でも性愛でもなく、
Rは、一体そんな私の何を喚起させるんだろう。

Rの短いメールが、せつない。
ひとことだけのメール。
あれから、すごく時間が経ったのに、
まだ私を覚えてくれている。
悲しく鼻を鳴らして泣いてる犬みたい。
ごめんね。ごめんね、R。
送ることのないメールを、心の中でずっと書き続けている。



R、元気にしてるかな。

私もあなたも人間だけど、
私は今、人間じゃないふりをしているよ。
あなたは変わらず、人間で、私のペットでいるみたいだけど、
何にも変わらずそうしていられる、あなたのバランス感覚が、
私は、本当は羨ましくて羨ましくて仕方ない。


女であることに誇りを持ちたい私とは正反対の、
男でいることを誇りにしている男性だからなのかな。
だから、私は、Rといると楽しいのかもしれない。
自分が女でいられて、あなたは男でいられる。
女性に甘える男性でいられる。
あなたは、本当は誰かに甘えたがってる。
家庭も家も持って、仕事も精力的にこなして、
友人もたくさんいて、明るくて面白くて、人を元気にする力を持っている。
でも、あなたは誰かに全てを赦してもらって、甘えたいんだと思う。
私には、それができるものね。


あなたは、性欲の表出に無造作だ。
そんなあっけらかんとした欲求を、
素直に私に見せるあなたが好き。


恋愛でもない、友情でもない。
取材。
取材という言葉が一番あてはまるけれど、
あなたと交わした、たくさんの言葉や快楽や、狂おしい感情を、
私は、どうしても忘れることができない。

でも、恋愛でもない。友情でもない。
私にとっては、不倫でもない。
あなたにとっても、不倫じゃないんだと分かっている。
あなたって、本当に生き方が巧い。
自分の価値観に真っ直ぐで、
あなたが奥さんに罪悪感を全く持たないのは、本当だと思う。
女である私には、理解できない。
でも、あなたを知る私には、理解できる。
あなたは、本当にいい意味でも悪い意味でも男性なんだ。


あなたにとって私は、どんな存在なんだろう。

今まで考えもしなかったし、考えるだけ無駄だと分かっていた。
遊びには、意味なんてない。
意味を見出そうとするときが、重大な何かが始まる予兆。

私は、何も始めたくない。
あなたの中では、既に何かが始まった。
情が深いあなたは、始めてしまう。
家族と性愛、恋愛を完全に分けている、R。
でも、そんなに都合良くいかないことを、私は知ってる。
あなたも、前の不倫相手との別れに傷ついて、知ってるのにね。
あなたは、私より年上で、自分を装うのが巧い大人。
私もRも、不倫ってものを経験して、ちゃんと全部分かってて、
あなたは完全に馬鹿なふりをしてみせるけど、
私は、そんなあなたも分かってた。
分かるから、余計に愛しいのかもしれない。


不倫なんて、切り身で自分を売るのと同じ。
私は、お頭つきで売り出すことにしたの。
自分の体と時間と気持ちを、
相手に合わせて切り売りするのは、やめたの。
だからね。

あなたにとって私は、どんな存在なんだろう?

ふと疑問が、この胸をよぎったときに、
あなたとはもう多分、会うことはないだろう、て思った。



私は、ときどき私じゃなくなる。
あなたは、何ひとつ知らないことだけど。

あなたは何にも変わらなくて、あなたは何にも悪くない。
そのことだけでも、あなたに伝えられたらいいのに。
つかみどころのない愛着に、私は一番弱いんだ。
どうしていいか、分からなくなる。
愛しくて慈しみたくて。
でも、一つのメッセージも送れずに、私はここで沈黙している。
黙ったままで、あなたを毎日思い出す。


毎日一度は思い出す。
恋でも愛でもないのに、思い出す。
ちょっと涙が出る。
友達を失ったときと似た痛み。
恋人を失ったときよりは、全然痛くない痛み。
日によって、すごく悲しくなる。
でも、あなたが結婚してなかったらいいのに、とか
そんなことは全く思わない。
嫉妬もないし、むしろ、
奥さんともうちょっと頑張ってみなよ、
Rなら大丈夫だよ、て、いつも思ってた。


あなたが可愛がってるカブトムシの幼虫たちは、
まだ、あなたの家の玄関で眠ってるのかな。
そろそろ起きだす頃かな。
今年も、カブトムシ増えるといいね。
卵を見つけて、あなたは笑顔ではしゃぐだろうな。
あなたの笑い声が、私は大好きだよ。
子供たちは、元気かな。
Rみたいなパパに遊んでもらって、楽しく過ごしてるだろうな。
奥さんと、ちゃんと話してる?
のみすぎは駄目だよ。
一人で夜中に寂しいのは分かるけど。
あなたは、お酒で身を持ち崩すと思う。
あなたが、私に求めてる言葉じゃなかったから、
言ったことはないけれど。
元気でいてね。


charaの”Duca”を聴いてると、
あなたのことばかり思い出す。
あなたのことも私のことも、悲しくて泣いてしまう。

コンクリートの道もいらない こんなひももね
”本当にゴメンネ” 
”大人になるとさびしいの?Duca?”



あなたは、ミトリのペットじゃない。
あなたも、とっくに知ってるくせに。


ああ。
「知ってるくせに」て、あなたの口癖だ。
言われる度に、私は笑ってたね。
知ってるよ、て心の中で呟いて、
Rが可愛くてたまらなくて、笑ってたんだよ。



明日、連絡するのかもしれない。
永久に、連絡しないかもしれない。


でも、どうか。
元気でいてね。




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SM algolagnia | comment(23) |


2008/01/20 (Sun) あなたは、あなたの美しさを知らない。 side A

※ この記事は、性的・SM描写を多分に含んでいます。
未成年の方、嫌悪を抱かれる方は、閲覧をお控えください。
コメント(誹謗・中傷以外)歓迎です。

関連記事 (はじめに、こちらをご覧ください)
□<あなたは、あなたの美しさを知らない。 Introduction>



youdontknowA.jpg

<あなたは、あなたの美しさを知らない。>




Rが射精管理に耐えた。
何日も耐えた。
辛い、辛いと何度もメールが来た。
私は、Rの限界が何日間か、把握している。
今日も駄目、今日も駄目、と彼を追い詰め、
限界の倍の日数、耐えさせた。
彼は、夢精した以外、最後まで耐えた。


かわいい かわいい
あたしのペット


慈しむように撫で、それから爪を立ててやると、
Rは、私の指の動きを見下ろして、喘いだ。

ミトリ ミトリ
ミトリの指
細くて長くて白くてきれい


Rは、私の指が好きで堪らない。
爪の形まで、好きでたまらないという。


悪いこ
そのきれいなあたしの指を汚してる
これは誰のなんなの
言ってごらん


ああ ミトリ だめだよ
だって だって だめだよ

Rは答えないんじゃない。
興奮しすぎて、答えられないのだ。
証拠に、Rの体液が粘りを増して私の指に絡みつく。


だって何?
きかれたことに答えなさい


私が指を離すと、Rは、せつなく息を吐いた。


だってミトリ ミトリの指が 
ミトリの指が きれい きれい
俺おかしいよ
ミトリのせいじゃないか


私は、思わず笑ってしまう。


なんでもあたしのせいなのね
傲慢な赤ちゃんR
あたしのきれいな指が汚れるのは
あなたのこれが 
だらしないからだけでしょう

ごめんね ごめんねミトリ


Rは、「ミトリ きれいだ きれいだ」と呻きながら、射精した。
私は、Rの苦しげな声と、あられもない性器と、
そこから迸る体液が、きれいで、いとおしいと思う。

私が命じるままに従う自分に、
「ああ 俺はなんでこんなこと」
「やばい 俺なんでこんなことしちゃうんだろ」
Rが「どうしよう」というたびに、私の背筋を寒気のような熱が走る。
Rは、うわ言を口走りながら、
私に身体を操られ、恍惚として、陥落し続ける。


かわいい かわいい ペットのR。
赤い縄で縛られて、膝で立たされたまま動けない。
彼の目の前で、
足を組んでソファに座った私の脚は、ブーツに包まれている。
ファスナーの音を、わざと立てるように、ゆっくり脱いでやった。
Rが、食い入るように見ている。
私の脚は、黒い網のストッキングに包まれている。
その足を、Rは見つめる。

蒸れた女の匂いが好きなんて。
まったく私の趣味じゃない。
私がMなら、こんなプレイ、何にも感じやしない。
だがRは、こんなふうに虐められるのが、大好きなペットなのだ。
手が、かかる。


私のつま先で身体を辿られ、うめき声をあげて悶えるR。
猿轡をかまされて、やめてほしくても、言葉にならない。
言葉なんて、いらない。


言いたいことがあるなら 目で言ってみなさい
そしたら なんでも言うこと聞いてあげるから


私は、できもしない無茶を言う。
彼は、潤んだ目を羞恥で伏せ、
躊躇うように私を見上げ、
許しを乞うように首を振る。
無意識に私へ突き出されたRの性器が体液を零す。


卑猥で生々しくて、なんて素敵。

そんなにあたしの脚がすき?

彼が呻く。悲鳴のように呻くから、
ソファから立ち上がって、猿轡をといてやる。

ああ ああ 好きなの 好きだよ
ミトリのその脚で俺の顔を撫でて


必死で私を見上げて懇願するから、
そんなことしてあげない、と笑った。


望みどおりには してあげないよ
あなたが想像できるような 
安い責めはしないのよ
これから Rがあたしに何をされるか分かる?


彼は、分からない、と何度も答える。


教えて 教えて 教えて ミトリ


私は、身をかがめて彼の男らしい喉を片手で掴む。
きれいだ、と彼が言う私の指で、彼の喉と性器を掴む。
悲鳴のような嬌声をあげ、身を捩るRを押さえつける。
押し付けた私の体を薄く覆ったベビードールの裾が、
とめどなく溢れる彼の、生ぬるい体液で汚れる。
喉から優しく手を滑らせて、彼のかたい髪を撫でてやる。

耳元に唇を近づけただけで、また悲鳴をあげるR。
ろくに話しかけられやしない。


ねぇ R ?
よく覚えておいてね
あなたがどんな予想をしても
私の命令は絶対読めない
あたしはいつもお前の予想を裏切るの
予想できないから不安でしょう?
でも しってるのよ
それが気持ちよくて仕方ないのよね R


ああ そんなのがいい
そんなのがいいんだ ミトリ
それがいい いいよミトリ


Rが呻く。
私は、喉で笑う。
「いい」と「ミトリ」しか言ってない。
脳まで犯されて、彼は他の言葉を忘れたみたい。
耳朶を甘く噛んでやると、Rは、また悲鳴をあげる。


ほら、と血のように赤いレースの裾を捲くりあげ、
ストッキングを見せてやる。
黒いガーターベルトを外してみせる。

Rは、目を見開いて苦しげに息をつく。


きれいだ きれいだ
ああ ミトリ


Rは、馬鹿になってしまった。
何をされても同じことしか言えないR。
吠えるしか能がない犬みたい。


Rの口で 脱がせてごらん
できたら ご褒美あげてもいいよ


Rは、鍛えられた体を真赤な縄で後ろ手に縛られ、
腿を固定され、体中を縛られて、
膝立つことしか許されていない。
自由がきかない身体で、私にいざり寄る。
目の前に立つ私のストッキングを
口でくわえて一生懸命脱がせようとするRの瞳は、
羞恥と劣情で濁って見える。
光彩が妖しい光で満ち、瞳孔が開く。
ストッキングの黒い網目が、Rの綺麗な白い歯に絡みつく。
肉に喰らいつく飢えた獣のようだ。
荒い息とクンクンと犬のような、こもった嬌声が響く。

Rのかたい顎が、何度も私の太ももを擦る。
私は、快感で瞳を眇める。


へたくそ!
もっとうまくできないの?
立ってるあたしが疲れちゃうじゃない
早くしなさい


わざと苛立つ声をあげてやると、Rは、哀しげな声で鳴く。
大好きな私の足で、足蹴にされて、よろめきながら恍惚と鳴く。


ごめんね ごめんね ミトリ
がんばるから
俺がんばるから
ああ きれい
きれい きれいだよ ミトリ


Rは、額に汗を滲ませて、性器を硬く突き上げ、
息も荒く、喘ぎ続け、
私よりよっぽど疲れているように見える。



狂ってるね R
もっと壊してあげようね


頭を撫でると、Rは私の足に頬をすり寄せ、
甘えたように、うっとりと呟く。


ねぇ 俺はミトリのペットだよね?
じゃあ俺は ミトリの犬なの?


さあね?
どうかなぁ


私は、答えをあげない。
犬かどうかは、これから決める。
私が、Rの全てを決める。



Rが、やっと脱がせ終えた。
褒めてもやらずに、
私はRが口にくわえたストッキングを乱暴に取り上げる。


ねぇ R ?
目隠しでも猿轡でもない
Rは そんなものじゃ満足できないでしょ?


ストッキングや下着、女性の匂いが大好きなRは、
大好物の餌を主人に取り上げられて、切なげに鳴く。


お前が大好きなことしてあげようか
Rをもっと壊してあげようか
壊されたい?


何をされるか予想もつかないRは、私を見上げ、
観念したような、怯えたような、
それでいて深い崇拝をこめた眼差しをしている。
こんな目、そうそう見れるもんじゃない。


この

かわいい

変態め


私は、取り上げたストッキングでRの頭部を縛る。
彼は、必死で抵抗する。
恐ろしいのだ。
構わず私は冷徹に彼を縛る。
さっきまで、私の足を薄く覆っていた繊維が彼の口と鼻をふさぐ。


瞬間、呻いて彼は射精した。
縄で固定されたRの
かたい筋肉で覆われた体がしなり、
赤い縄がRに食い込む。
痙攣し、のたうって、Rは溢れるままに声を迸らせた。
生臭い、男の体液の匂いが、鼻をつく。
射精している彼は今、私の匂いしか感じていない。
羞恥と自身を貫く快感に、Rは目をかたく瞑ったまま。
彼自身すら、彼の姿を見ていない。
私だけが、見ている。
私は、至福のため息をつき、
熱で潤んだ両目で、Rの卑猥な一部始終を眺める。


いくときは、ちゃんと言いなさいって言ったでしょう
どうして いくって言えないの?


荒い息をつきながら、
Rは焦点の合わない瞳で、声を上擦らせる。


ああ ミトリ ごめんなさい
だって こんなのだめだよ 
無理だよ
がまんできない


体を震わせながら、Rは切れ切れにすすり泣く。
快感に最も正直な器官の先端からは、
まだ濁った体液が、糸を引いて床に滴り落ちる。


そんなにあたしの匂いがすき?
こんなことでいっちゃうなんて
とんでもない変態ね R


ああ ミトリ ミトリ
好き 好き
どうしよう
ああ ミトリすごいよ
すごいよ
俺 こんなんでいいのかな
俺 すごいことしてる
やばいよ どうしよう
どうなっちゃうんだよ


Rの声は、既に悲鳴だ。
なんて心地良い響き。
もっと泣け。
もっと叫べ。
もっと喚け。


壊れていいよ
壊してあげる
もっと壊れたいくせに
もっと壊されたいくせに


Rは、一度射精すると、頭が跳んでしまう。
クリアにならない。
どんどん頭が快感で濁る。
熱に浮かされた病人と、まるで同じ瞳になる。


ごめんね ほんとごめんね
こんな俺でいいのかな
俺こんなんで ミトリ ひいちゃうよね


どうしてそんな心配するの?


だって俺こんなの変だよ
おかしいよ


私がRをおかしくしてるのよ
お前は余計なこと考えなくていい
もっともっと おかしくしてあげる
Rの頭の中を 犯してあげる


Rは、私の言葉を聞いただけで、既に喘いでいる。
私に頭の髄まで犯されたくて、犯されたくて、
既に思考のほとんどを、私に明け渡している。


それともいや?


いやじゃないよ
いやなわけない
いやじゃないって知ってるくせに
知ってるくせに ミトリ


知ってるわよ お前のことなんて
Rはあたしのペットだよ
Rのからだはミトリのなに?


おもちゃ
おもちゃ
ミトリのおもちゃです


私が教えた通りに、Rは答える。
賢い犬。


いい子ね
そうだよ お利口さん
鳴いてあたしを愉しませる
お前はそれだけでいいの
Rが泣いても喚いても
何度射精したって
あたしが飽きるまで放してあげない


ああ そんな
そんな ミトリ


いやなの?
じゃあやめようか
ミトリに弄ばれて可哀想なR
かわいそうだから やめてあげようね


Rの顔が、悲痛に歪む。

私は、そんな顔が見たい。
もっと泣いて。
もっともっと叫んで。
お願い。お願い。もっと見せて。


あーあ 泣いちゃった
泣くくらいいやなら やめてあげるね


意地悪く笑う私に、
Rは、許しを請うように、
俯いてすすり泣き、熱で枯れた喉で囁く。


やめないで
やめないで ミトリ

かわいそうな俺を見て 
かわいそうなのがいい

お願い 俺の全部

ミトリ ミトリ
かわいそうな俺を見て


おねがい おねがい

俺を見て ミトリ

きれい きれい

ああ ミトリ



私なんかより、
私の前にすべてを曝け出すRの方が、ずっとずっと綺麗だけれど。

教えてやらずに、私は全てを見ていてあげる。


(了)



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SM algolagnia | comment(6) |


2008/01/19 (Sat) あなたは、あなたの美しさを知らない。Introduction


この記事は、性的・SM描写を多分に含んでいます。
未成年の方、嫌悪を抱かれる方は、閲覧をお控えください。
コメント(誹謗・中傷以外)歓迎です。


後ほど更新します記事
<あなたは、あなたの美しさを知らない。sideA>
について。


次回記事は、SMの世界を綴った、
現実をもとに構成されたフィクションです。



普段は、主に心の病気について書いている当ブログです。
カテゴリー<algolagnia(sm)>は、たまにしか更新しません。
唐突にSM世界を描いたエントリは、配慮を要すると思い、
当記事を書きました。


読んでくださる方で、
SMを経験されたことのない方に、
私のSM観をお話したいと思います。
食べ物の嗜好などと同様、人それぞれですが、
以下は、SM愛好家の世界では、極一般的なSM観です。


SMは、現実から切り取られた、ひとつの世界です。
奇妙さと、滑稽さと、愛おしさと、狂おしさ、
アイデンティティの崩壊と再構築、鏡を覗きこむような無邪気さ。
全てが混然となって快楽となる遊戯を、SMと呼びます。

SMの世界では一般に
「Sは、サービスのS。Mは、満足のM」といわれます。
Sが鞭を振るおうが、Mが満足しなければSはMを打てません。
人間だから、当然です。
Mもまた、ろくでもない人間から鞭打たれれば腹が立ちます。
Mを鞭打っていいかは、Mが選び出したSだけです。


SMを経験してみたいという人に、私はよく言う言葉があります。
「人の頭を踏みつけるところを想像してみて」
誰もが、想像しただけで精神的衝撃を受けます。
怖い、できるかどうかわからない、と答える人が多いです。
それが、当然です。
SだMだといっても、普通の人間です。
鞭も縄も針も拘束具も使わない、
ただ、足で人の頭を踏みつけるという行為。
その行為にかかる、精神的負荷。
これをSとMの両者が、敢えて乗り越えた先に、
繊細で互いを癒しあうSMプレイがあります。
この抵抗を乗り越えなければ、味わえない快楽がSMです。
快楽の度合には、常に対価が求められるのです。


人を支配すること、支配されることは、
相手の心が傷ついたときにも受け入れる覚悟が必要です。
プレイ中では、嫌でも引き受けることになります。
Sがリードするでもなく、Mがリードするのでもありません。
Sの感性とMの感性が、即興で創りあげる奇妙な世界です。
精神的にも肉体的にも危険が伴うため、
閉塞された空気の中に、
互いへの濃密な信頼と不安が息苦しいほどに満ちています。
素晴らしいプレイを体感すると、SもMも感動して泣きます。
Sは、よく頑張ったね、とMを抱きしめて泣き、
Mは、嬉しい幸せだ、と泣きます。


SMプレイを望む人たちを、私は滑稽に思うことがあります。
切実過ぎて、滑稽だと思うのです。


分かりやすい例として、縛りを挙げたいと思います。
例えば、縄で人体を縛るには、頭がよくなければ無理です。
有名な亀甲縛りなどありますが、
あれは無数の縄を使っているように見えて、
実は縄は、一本か二本しか使われていません。
一本数メートルもあるので、扱うだけで大変です。
手ほどき本や、ひたすら縛りだけをレクチャーするDVDが出ているくらい、
知識と涙ぐましい陰の努力が必要です。
危険を考慮して、Mの体調が悪化したときなどに備え、
すべての結び目を記憶し、すぐに解けるように縛ります。
しかし、恐れてゆるく縛るとMは不満を持ちます。
絶妙な力加減と、
相手によって変化させられる鋭敏な感覚が求められます。


吊り上げる場合は、
人体の重心がどこにあるのか知り尽くさなければ、不可能です。
気管や血管の場所も把握して、危険を避けます。
勉強会があれば、プロの方や極めたい素人は、出かけていきます。
麻縄を使う本格的な縛りの場合には、植物でできているため、
日ごろからの縄の手入れが必要です。
例えば、縛りが下手なSは、
ハイレベルなプレイを望むMからは下に見られます。
逆に、ただ自分の満足ばかりを追求したがるMは、Sに嫌われます。
かといって、自分に媚を売るMも、Sは嫌います。
常に、自然なMの反応を見たがるのが、Sという人種です。
Sは、常にMの満足を求め、Mは、常にSの満足を求める。
そして、同時に快楽を共有しようとする。


上記以外にも、医療プレイなどを専門とするSは、
数限りない知識を要します。
それらの知識は、大概Mに隠れて懸命に勉強し、
そして披露するときには、
何の苦労もないかのような涼しい顔をしていなければなりません。
表情一つでも間違えれば、それを目にしたMが不安になり、
プレイが楽しめないものに一変するからです。

蝋燭プレイなど、大概のSが、Mに施す前に自分で試しています。
Mを傷つけないためです。
力加減を知るために、Mに施す前に自分で試すSは、多いです。


そんな数え切れない負担と手間をかけてまで、
SMプレイを愉しもうとする貪欲な人たちは、どこか滑稽です。
そして、切実です。
そこまでして、彼らは何を得ようとしているのか。
問いは、私自身にも同時に向けられます。
私は、なぜSMを必要とし、その行為から何を見出しているのだろう。


次回のエントリは、
私の現実をもとに創作したフィクションです。

プレイそのものの1シーンを切り取り眺めることで、
SMの世界、サディストの感性と内面を描き出したくなりました。


パートナーとして登場するRは、38歳。
普段は、建設関係の営業職、仕事にも熱心な二児の父親であり、
社交性があり、スポーツ万能で、
明るく裏表のない、ごく普通の男性です。
常に人を笑わせる機転とユーモアを持っています。
少々、寂しがりやなところがあります。
私と出会った当時、
彼は、自分の嗜好は変わってはいるが、Mではない、と言いました。
どちらかというと、今まではSだと思っている、と。
男性は、大概そう思っています。
大概の男性が、
ノーマルなセックスでは、リードする立場にあるからです。


彼の性的嗜好は、少々変わっていました。
羞恥、匂いに対するフェチズム。
とにかく女性のあらゆる部分の匂いが大好きです。
世間で言うところの”変態”です。
自分の嗜好に戸惑い、恥じ、妻に隠していました。


私の感性でも、理解が難しい嗜好でした。
しかし、私は、彼をMとして育ててやろうと考えました。
飛びぬけて肥大した不安や罪悪感、背徳、羞恥を持つ人間は、
うまく育ててやれば優れた感性のマゾヒストになる、との確信を、
私は、彼で試してみたくなったのです。
私の感性が、彼をどれほど変容させることができるのか、
自分の力に興味がありました。
私は、彼の前では、サディストであることを選択しました。
Rも、Mである自分が見てみたい、と言いました。


これは、過去のお話です。
今現在の私は、SでもMでもなく、またMでありSであり、
人という業深い生物を愛でる遊戯、SMを好みます。
ノーマルなセックスも好きです。
多分、何でもいいのです。
興味を惹かれる誰かと、
深く心を通い合わせることができるなら、
きっと私は、どんな手段であっても構わないのです。


こんな世界もあるんだな、と
楽しんで読んで頂けると、幸いです。



□あなたは、あなたの美しさを知らない。 side A




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SM algolagnia | comment(4) |


2007/12/16 (Sun) LOVE TRADER

私が振った男、サディストのLからメールが来た。
前日貰ったメールが私の記憶と携帯から消去されていたので、
どうやら消えたみたいなので再送してください、とメールしたのだ。


毎日君のことを考えていた。
時には逢いたくて切なくて自分の気持ちを抑えるのに苦労した。
君と私は、距離の縮め方が違うだけではないのかな。
私はちゃんと君と向かい合ってなかったかな。
確かに臆病かもしれない。
遅いのかもしれない。でも向き合っていたよ。
あれだけのことを書いたのだから、君はもう決めてしまってるんだろうな。
でも私は幸せな時間をもらいました。
ありがとう。


そんなメールだった。
最後には、HNと共に本名が書かれてあった。
何にも始まっていないのに、会ったこともないのに、
電話でしか話したことがないのに、
彼は最初から私のことが好きでたまらないようだった。
「育ちの良い筋金入りのエロ」が彼の理想で、
私はその条件に適ったというのだが、
それだけでいい年をして人を愛せるものか。


私にも、そんな時期はあった。
会ったこともないのに恋をしたり、
少し良い顔を見ただけで恋をしたり、
相手を見ているようで、自分の中の妄想に恋していた。
恋愛していたのではなく、恋している自分自身に恋していた。
私より10も年上の彼が、
なぜ今だそんな幼稚な感情に留まっているのか私には分からない。


今、私は、居丈高で高慢な、嫌な女になっている。
彼のメールを読むと、会ったこともない彼に、
言ってやりたいことが山ほど出てきて、苛々している。
ついこの間まで彼に「傷つけてごめんなさい」なんて
殊勝なことを思っていた私が、
彼のメールの一文一文を蹴りつけたい位、腹を立てている。


私は、こんなときの「ありがとう」が大嫌いだ。
何にも始めようとせずに、「君はもう決めてしまってるんだろうな」
なんて独り言を私に向かってそれとなく呟き、
「距離の縮め方が違うだけではないのかな」
「私はちゃんと君と向かい合ってなかったかな」
と後ずさりながら、まだ独り言のように私にそれとなく呟き、
私が認識を変えて、自分を追いかけては来ないかと窺っている。


「ありがとう」って何だよ。
私は、あなたをいわば拒絶したんだから、
「ありがとう」なんて言われる筋合いなんてない。
「?かな」「?かな」じゃなくて、
距離の縮め方が違うだけだ、
俺はちゃんと向かい合ってたんだ、
だけど君に伝わってないんだ、と言い切ればいいじゃないか。
そんなに私のことが好きなら、否定でも何でもして、
「臆病かもしれない」と今の自身を評するのなら、
今度こそ私に対して真っ向から向き合ってみてもいいじゃないか。


私から終わらせたことなんて、本当は一度もない。
皆、自分で線を引いて、恐れてすたこら裸足で逃げていくのだ。
私も、人のことを言えた義理じゃないが、
関係性の終結を相手の意志に委ねるのは、ずるいと思う。


無理だと思ったら自分で決めればいい、決めたなら、
相手の顔色を窺うことなく真っ直ぐに気持ちを伝えればいい。
まだ続けたいんだと思うのなら、そう決めればいい。
そうしてくれて初めて、
完全に拒否するか継続するかを相手と対等に決められる。

これじゃ、私は最初から最後まで置いてきぼりで、
だけど私が全て決めてしまった、みたいに見えるじゃないか。

でも、これ以上を求める私にも問題があるんだろう。
彼が後ずさるのは、私を恐れたからだと思う。
私の彼に対する柔和さが、欠けていったのかもしれない。


まだ何も始まってはいないのに。
振るも振られるも、まだ何にも始まってないのに。
一般論に逃げ込んで、私の前から去って行ったのはL自身だ。
だから「あなたは自分から去ろうとしているよ」と伝えた。
伝わったのか、伝わってないのか、こんなメールじゃ分からない。


彼のメールの文からは、自己陶酔は見えても、
生きている私に対する言葉は、一つも見つけられなかった。
ドラマみたいな台詞やシーンには、うんざりだ。
相手が涙を流して走り去って、数秒後に自分の気持ちに気付いて、
やっぱり相手を追いかけるだとか、
泣きながら走っていたら、図ったようなタイミングで、
ものの見事にすっ転んでしまい、
好きな相手に偶然気付いてもらうだとか、
なんかそんなのが人の心を打つとか、
なんかかっこいいとか思っていて、
実際にやる人間がいるのだから、私は本当に驚く。


大量生産された愛の言葉、告白、さよなら、ありがとう。
本当にそれが贈りたい言葉?
届ける前に、届かないと諦めて、自身を惜しみ、
安物のそこらの山積み商品から、
適当に見繕って相手に渡しておいて、
それでいて一点もののオーダーメイドの愛を欲しがるのは、
虫が良すぎる話じゃないのか。


ここでまだ終わっていないと思う私が、おかしいのかもしれない。
でも、なぜ人は自分で区切りをつけておきながら、
逆らえない流れがあった、仕方なかった、と諦めたがるのか。
自分が決めていることなのに、いつだって自分が決めることなのに。


捨てることも壊すことも逃げることも終わらせることも、いつでも出来る。
でも、いつも同じ場所で終わらせていたら、
それじゃいつまで経っても前には進めない。
私は、いつでも待っているし、逃げないでいようと思う。
動かず、ここにいる。
ここにいる私で、話している。
でも、どうしてそんな素っ裸で裸足で慌てて逃げていくの。
そんな姿、哀しすぎる。


でも、哀しいのは私の姿だ。
哀れなのは、私じゃないか。
会ったこともない男なんて、本当はどうでもいいはずだ。
私が蹴りつけたいのは、私自身だ。
畜生、畜生、死んでしまえ!と自分を罵っている。
愛して欲しいように愛されない自分を、
死んでしまえ、と呪いの言葉で切り刻んでいる。
生きてる価値あるのか、お前?と自分を蔑んでいる。


一度見てしまったら、私は彼の情けない背中を消去できない。
幾ら彼がどんなに手入れの行き届いた縄で私を巧みに縛っても、
あらゆる道具を駆使して拘束しても、
私の体を自由に弄び、快感と苦痛で何度失神させようと、
私の心は、永遠に彼に寄り添うことは出来ないだろう。

Mほど、Sの心を見通せる。
Mほど、Sの弱さを見ているものだ。
どんな技術を持ったサディストであっても、
自分の弱さを恐れ、私を恐れながら、私を支配することは出来ない。


誰か私を愛してよ。
愛してください。
護ってください。
何千回、何百回、幼い頃から私の中で大量生産されてきた欲求。
決して叶いはしない。
反吐が出る言葉だ。
フェイクだ。
本物を真似た偽物しか私は知らない。
私は、人を愛し愛される資格がない。
今のところ。
こんな日は、もう何だっていいのだ。
愛して。愛して。愛して。
誰でもいいから私を愛して。
誰でもいいから傍にいて。
プライドをかなぐり捨てて、叫んでやる。


でも愛ってなに?
愛されるってどういうこと?
分からない。
分からない。
分からない!


チープなのは私だ。
フェイクの私は、本物に触れたことがないもの。
大量生産でも二流品でも何だっていいから、
一度でいいから窒息するくらい埋もれたがっているのは私だ。
こんな気持ち、しばらく襲って来なかったのに。
薬漬けの毎日が、チープな今の私には丁度いい。


死んでしまえ。
死んでしまえ。
即刻死ね。私。



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SM algolagnia | comment(0) |


2007/12/15 (Sat) 乾いた殻

いつもと違う様子の私に、どうした?とRが聞くので、
少し落ちてるだけだ、と言った。
Rは、それはだめだよ! そんなの駄目だよ!
心配になるから 
無理して俺と遊んでくれなくていいんだよ?と言った。


どうした?と訊くので、人を振ったのだと答えた。
Rは、そんなことで落ち込んでちゃ駄目だよ、
人を振るくらいの魅力的な人じゃなきゃね、といつもの調子で茶化して言った。
私は、とても虚ろに、そうだねと答えた。
それから、Rに訊いた。
振られることと振ること、どっちが多かった?どっちが辛い?
Rは、半々だし、どっちも辛いなぁ、と かみ締めるように言った。

そこで、話をやめた。
Rが、そんな話は駄目だと言ったのだ。
ミトリとの関係は、非日常、現実はそれぞれ勝手に悩めばいい、
俺も色々悩んでるけど、今はミトリのことしか考えないから、と言った。

その通りだと思った。
それでこそ、Rとの関係に意味がある。
一抹の寂しさは、不要な感傷だと分かっている。
いつの間にか私も、清濁あわせもつような大人になっていたらしい。


Rは、ミトリの気分が乗らないなら俺は嫌だ、と言ったけれど、
大丈夫大丈夫、楽しくぱーっとやろう、と
酔っ払いか馬鹿みたいなセリフを吐いて笑い飛ばし、Rに体を任せた。
私は、とてもじゃないけれど淫らな気持ちにはなれなかった。
でも、Rの調子に合わせて演技していたら、
そのうち何だか全てがどうでもよくなった。
Rに任せていたら、全然私の嗜好とは合わない。
でも、私はRの人柄と、意外に繊細な襞を持つ心が好きなので、
さほど無理なく楽しんだ。


いつものように、Rは色んな話をしてくれた。
Rは、話をするのが上手い。
メガネを一週間で二度買い替えるはめになった話、
徹夜の話、最近Rが病院を転々とした話、
互いの年齢の話、奥さんの話、
色んな話の、どれも面白くておかしくて、私は大笑いした。
Rも笑った。
私は、Rの笑い声が好きだ。
とてもおかしそうに笑うから、私まで幸せになる。


Rは、
そうやってミトリがコロコロ笑ってくれるから、俺楽しいよ、と言った。
かみさんとは、そんなに話が続かないからなぁ、と言った。
私は、自身の心の中をこっそり確かめたけれど、一切嫉妬はなかった。


二人の子供の話を、自分から彼に訊いた。
彼は、話してくれた。
子供のイタズラの話にも、彼らしく
子供にとってはきっと悪気はなくてただ楽しかったんだよ、
と目線が優しい。
彼の家族の話を聞くと私は、まるで自分が満たされるような気がした。
私には手に入らない幸せな家庭、家族、子供、夫。
まるで私が大好きな小説「真珠のカケラ」の主人公そのままじゃないか。
不倫しながら、相手の家族の幸せな様子を相手から聞いては、
自分のことのように幸せになる。
悲しくて、悲しくて、ただ悲しい生き方。


前回は、Rに救われたが、今回は駄目だ。
たくさん笑ったのに、体で遊び何度もいったのに、
私は全く乾いていて解離したまま戻って来ない。
ありがとう、とRがまた優しく優しく本当に感謝をこめて言ったから、
私も虚ろながら努力して、ありがとう、と返した。
Rは、気持ちがこもってない、と言った。
今日のミトリのありがとうは適当に言ってる、とすねた。
彼の鋭さには、ときどき驚かされる。


あの人から電話が、かかってきた。
私は、出なかった。
ショックで言葉も出ない。
そう彼がメールしてきたのは数時間前なのに、
私の気持ちも全く冷静にはなれていないのに、
感情に任せて電話してくる彼の性急さに、
Rと居心地のよい時間を過ごした後の私は嫌悪を感じた。
Rは、今まで女性にもててきただけあって、
さらりとしていて心得ている。
かといって、思いやりがないわけではない。


感情的な男性は、暴力を振るうことが多い。
安い昼ドラの安いシーンをそっくり真似たような、
馬鹿げた茶番に付き合わされることが多い。


今度は、何通もメールが来た。
夜中の2時過ぎなのに、構わず電話とメール。
読んだけど、内容を忘れてしまった。
何だか、私のことを愛して愛して、
どうにかなってしまうんじゃないかと思う位愛してたんだ、とか、
切ないとか、会いたいとか、きみを愛せてよかった、とか、
あと色んなことが、ドラマチックな言葉で書かれてあったと思う。
私の何をそこまで気に入ったのか、私には全く分からない。
自己陶酔型だと思う。
演出過剰な男性は嫌いだ。
粘着質なのも嫌だ。


それとも、恋愛とは常に陶酔しているものなのか。
乾いた私には、全く理解できない。
私は「あや」という人格と共に、とっくに死んでいるのだと思う。
今の私は、空っぽで人格がない。
愛らしく純粋で無邪気だったあやを殺したのは誰だ。



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SM algolagnia | comment(0) |


2007/12/14 (Fri) アフリカ恋愛寓話

恋に発展するかと思われた関係が、数度話して壊れそう。


彼は、私に「寂しい?」と訊く。
私は自分の胸に問いかけて、
寂しくないので「寂しくないよ」と言った。


次も彼は、私に「寂しい?」と訊いた。
やっぱり「寂しくないよ」と私は言った。
嘘はつけない。


彼は「いつでも連絡していいからね」という。
私は「うん。ありがとう」と答えるけれど、なぜか普段彼を思い出さない。
それから何度も電話をかけてきて、彼は必ず口癖のように、
美鳥さんが、寂しくなくてよかった、苦しんでなくてよかった、
安心したよ、と言う。

私は、自分の病気のことも、何も彼に話したことはない。
話すことも、ないと思う。
1人で立っていられる私に魅かれてくれるひとに、
愛され、愛したいと思う。
私の弱い部分を曝け出すのは、いつでもできる。
最初から、しなくてもいい。
私は、こんなに弱いから傍にいてね、優しくしてね、
行かないで、行かないで、と
相手を繋ぎとめる卑屈な恋は、もうしたくない。


寂しいのは、彼自身だと思う。
私が寂しくなくてよかった、というけれど、
彼は、私が寂しい方が良いのだと思う。
私が苦しんでいる方が良いのだと思う。
寂しい女性しか愛せないのだと思う。
彼自身は、気付いていないけれど。
とても優しい人だけど。
傷つきやすい感受性の持ち主だけど。

必要とすることと、愛することは違う。
必要とされることと、愛されることは違う。
寂しいときは、どんな人だって素晴らしい人に見える。
人に囲まれ、1人で立っているときにこそ、
愛すべき人は見つかるのだと思う。
1人で立てるからこそ、愛すべき人に欠点を見出しても、
寛容に愛を持続できるのだと思う。


彼は、女性を好きではないようだ。
女性を尊敬していると言うけれど、
尊敬は恐れに近くて、扱いきれずに理屈をこねる。
男性とは、女性とは、と一般論を話したがる。
会話をしている間は、彼と私しかいないのに。
彼と私の話をすればいいのに。
彼は誰を見てるんだろう、と不思議になる。


彼が、戦国時代の側室制度をはじめ、
アフリカの話を持ち出して、
能力のある男は一夫多妻でもいいんだと言った。
それが、男女の究極の平和な関係だと思う、と言った。
表向きは、そんなふうに見えるだけだ。
裏では、掴み合いと血みどろの歴史が存在する。
彼ほど頭脳明晰で博識な人間が、なぜかそれを度外視する。


アフリカなんて遠い国の話、私には、どうでもいい話だけれど、
彼は、相性の合う女性と恋愛して、結婚したがっている。
誰かを愛したがっている。
愛されたがっている。
女性としての私にとても興味を持っている。
生きている私と向き合うSMを望んでいる。
セックスを望んでいる。


なのに、私にアフリカの話をする。
アフリカに行けばいいのに、と私は思う。
いや、俺は一夫多妻なんて無理だよ、と彼は言う。
そんな能力はないから、と言う。
私は、じゃあなぜアフリカの話を彼がするのか分からない。


男は、量を求めるが、女は量と質の両方を求める。
どんなに能力が高い男でも、身はひとつしかない。
なのに、自分を分割して与えても女が満足するだろう、とは
何て分をわきまえない男だろう、としか思えない。
女は能力ある男を独り占めしてはじめて幸福になれる、
贅沢な生物だということを、彼は知らないのだな、と
なんだか気がつくと私まで一般論をこねている。


私は、寂しい男が嫌いだから、彼を愛せない。
寂しい人は、最後はやっぱり自分のことしか愛せないから。


寂しい?辛くない?苦しくない?
好き? 愛してる? ずっと一緒にいたい?

質問は、いつだってその人の心の影だ。
彼に会ったこともないから、影しか見えない。
でも、影の形だけで見える姿もあると思う。


彼から、きみから電話が来ないから、
一言でいいから言葉が欲しいとメールが来た。
私は、なんにも言葉が出てこない。


だって、私は彼が望むような、さびしくて苦しい女にはなれない。
私が見ている影の形を、彼に伝える気にもなれない。
彼が気付きたくないことなら、私も気付かないふりをするしかない。
彼を傷つけたくないし、彼も傷つきたくはないようだ。
傷つきたくないから、アフリカの話をするんだと思う。
だけど、せめて私がかけられる他の言葉を探してみる。
傷つけないための偽善なら、許されるのでは、と考える。


彼の影が私の前にちらついて、私はやっぱり言葉が出ない。



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SM algolagnia | comment(2) |


2007/12/04 (Tue) SMストライキ

Rのお陰で、あっさり解離していた私が戻ってきた。

きっかけは、分からない。
無感情な自分に疲れすぎて、もう眠ろうと思っていたら、
Rからメールが来た。
話せないかと連絡が来た。


Rの声は、酔っていて陽気だが、
私は、からっぽなので、ちっとも乗れなかった。
でもRの調子は、いつもどおりだ。
そしてなぜか、その日に限って、
M気のない普通の男性のような話し方をする。
私は、からっぽでない明るい自分を演じた。
空っぽなのにまるで自分がいるかのような演技は、
慣れている。


演技が、演技でなくなったのはいつだったのか。

二時間半、とにかく下ネタで盛り上がり、
Rが送ってきた彼のとんでもない卑猥画像をネタに、
2人でお腹が痛くなるまで、涙目になって笑った。
Rが、思春期に男友達と競争して樹立したという
いかにも体育会系な馬鹿げた「記録」を幾つも話してくれた。
中学生や高校生の男子の逸話は、
本当に馬鹿馬鹿しくて、でも笑える。
SとMではないけれど、奇妙で面白い時間。


Rとは、異性というより友人として気が合う。
裏表ない素直な性格で、理屈っぽくなく、
常に楽しむことと笑いを忘れない精神、
気遣いができる社会性、仕事に向上心を持ち、
社交的で熱中できる趣味を持ち、
子供好きで、学歴とは無関係に頭の回転が速い。
そんなところは、私の好みに適っている。


だが、彼の経歴は私が今まで縁のなかったタイプだ。
彼は、やったことのないスポーツは、ほとんどない。
生粋の体育会系。
私は、剣道を少しかじった程度で、どこをとっても文化系。
最初は、彼のあけすけな性的表現に不愉快さを感じたものだが、
その言葉遣いは私には不愉快だよ、と何度か伝えた後は、
なぜか気にならなくなった。
逆に、体験や環境の違いが、面白いと感じるようになった。

違う部分も大きいが、同じ部分も大きい。
同時に同じことを考えていることが、多い。
面白い、と感じるものが性的なものに留まらず似ている。




子供の頃から父親からのセクハラが日常だったためか、
私はある年齢になるまで、性的なものを嫌悪してきた。
嫌悪するからこそ、性的なものへの関心が高かった。
こんなに苦痛で厭らしい行為や衝動に
人が突き動かされるのは、
根底に何かあるのだ、その理由を突き止めさえすれば、
私は、か弱い被害者としての受動性ではなく、
嫌悪をコントロールできる能動性を手に入れられると思ってきた。


そんな経緯を辿ってきた今の私は、多分、
たまにはこうやって男同士のような感覚で、
普通に下ネタで笑ったり、
性的なことを共有したりする時間が欲しいのだろう。
開放的な性と、閉塞された性、どちらをも往き来していたい。



おかしな関係だ。
私は、RとはSMを放棄しても構わないや、と
大分前から思い始めている。
Rとは、SMで愉しむことはあっても、主従関係にはならない。
恋愛にも発展しない。
不思議と<不倫>という感覚もない。

Rとは、たとえるならば、男同士の友情に似ている。
少なくとも、今はそう思う。



Rが、俺涙出るくらい笑ったー、と言った。
「いいね?一日の最後を笑って終われるのは」
話している間に、アルコールが抜けたRが、どこかしみじみとそう言った。
笑うことの大切さを知るRの存在が、とても愛おしい。
私の存在そのものが素晴らしい、とRは
その日も口癖のように何度も言った。


通話時間は、2時間半。
妻とも一週間でそれほど会話をしないという。
でも仲は悪くないし、彼は父親業もきちんとこなしている。
そんなまともなところを持っている彼が、私には重要だ。
不倫なのに、「愛してる」と言われる関係の方が、
虚飾と欺瞞に満ちていて、
私をどんどん消耗させていったものだ。
自ら不倫し、
俺は家族を守るだなんて言っておきながら、
自分自身の決意を裏切り、
「家族を守る」と言った同じ口で私に、
「愛してる」なんて平気で口にする男は、不要だ。


「実はヘコんでたんだよ。Rが話したいって言うから、
うわーやめたい、て思ってた」と、少し心の内を明かした。
Rは、理由をきいてくれたけど、私は答えなかった。
彼に話す必要はないし、既に私は立ち直っていた。
感じ取ったのか、彼はさらりと私を励ましてくれた。
背負うのも背負われるのも御免だと思っている今の私に、
とても居心地が良い空気だ。



通話を切る前に、同時に「ありがとう」と言った。
イントネーションが違う二つのありがとう、が重なった。
Rは、言葉の抑揚に感情を籠めるのが上手い。
私も、出来るだけ感謝が伝わりますように、と口にする。
互いに少し未練を断ち切り、通話を切った。


どういう作用かは、分からない。
ただ、私が戻ってきた。
明日も頑張れる。




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SM algolagnia | comment(3) |


2007/11/14 (Wed) 疼痛

2007.11.14_diary.jpg


Rと話すのが、日課になってきている。
彼が切り出すまで、至っていつも通りの軽い会話を続けた。
Rは、私が一向に切り出さないのを知って、
話を中断させて、自分の気持ちを語り始めた。
待っていた私は、感動した。
色々な話をRから聞いた。
私は、少し話した。
一歩、距離が縮まった。


Rは、不動産関係の仕事をしているので、
自らの携帯に私の番号を「○○建設」と登録している。
不倫経験者として、
名前をまともに登録されないことは私の古傷だ。
Rから聞く度に、面白くもあり、
過去の屈辱を思い出しチクリと胸が痛むことでもある。
けれどその痛みは、過去のものであって、今の私のものじゃない。
Rと関連した感情ではなく、間違いなくYと関連している。
登録名を知ってから、ある日、
「○○建設」を装い、彼に事務的メールを送った。
「日頃より格別のご愛顧を賜り、有難うございます」
で始まるそのメールを、彼はとても気に入ってくれた。
メールをもらって爆笑したよ、
自分にしか分からない面白さなんだ、
日常の中で、声を出して笑っている自分がいるんだよ、
これはすごいことだ、と彼は笑いながら言う。
セクシャルなものだけでなく、そんなことで笑いあえることも、
自分にとって物凄いことなんだ、と彼は言う。
私も、声を立てて笑いながら書いたメールだった。
共有できたことが、楽しい。


Rの家族の話を聞いた。
結婚してから、約50人ほどの女性と関係したことも聞いた。
最低だね、とは言わなかった。
それって楽しいの?と聞いた。
楽しくないし、印象に残らないセックスばっかりだよ、と彼は言った。
そんなものは、もういいんだ、と。
私は、人の業の深さを信じるから、もういいんだと言っても、
彼が二度とやらないとは思わない。
楽しくなくても、虚しくても、欲する病がある。
いつまで続くか分からない関係。
いつ切れるか分からない関係。
でも、何もかもが興味深い。


何だか私は、どこかが壊れてしまったんだろうか。
社会的に逸脱したことをやろうとしているのは、自覚している。
他人から、罵倒されるべき行為だとも分かっている。
最低な女だといわれても、私は何も言い返せない。
誰に理解してもらおうと思っても、無理だ。
世の中の道徳から、今の私は外れている。
大抵の人は、私を非難し責めるだろう。


なのに、ただ刹那的に生きるのでもない、
何か私なりの目的に向かって生きている実感がある。
また、後ろ指をさされるような生き方に戻るのか、
また、自分を安売りするのか、
と、自分に問いかけても、なぜか答えはNOだ。
私は、胸を張れるような気がしているのだ。
Rとの関係が、私の何かを補強しているような気がするのだ。


正論が私を救ってくれたことはない。
後悔だけはしないように、ただそれだけだ。
正道を歩こうとは思わない。
方角も、気にしない。
歩かなければ、死んでしまう。
生きながらに、死んでしまう。
とにかく歩きたい。
今、自分が立っている道の先を見たい。
私は私の正しい歩幅で歩けているのか。
そのことだけが、気に懸かる。




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2007/11/12 (Mon) mixture

Rに言った。
私はサービスのSじゃないし、あなたのお手伝いでもない、
緊縛だとかスカトロだとか方法なんてどうでもいい、
ただ私はあなたの中のMを見てる、
あなたを見てる私をちゃんと見て、と伝えた。


SMで主導権を握っているのは、いつだって本当はMだ。
Mの願望がなければ、SMは成立しない。
Sは、Mが満足して初めて満足出来る人種だからだ。
だからSは、Mを自分の意のままに足元に跪かせ、浅ましい姿を晒させ、
みっともない懇願をさせ、Mを踏みつけ、褒美を与え、女王と呼ばせても、
Mの願望からは、決してはみ出ることができない。
囚われているのは、SもMも同じ。
がんじがらめの不自由な世界で戯れている、滑稽な人種。


SがMに「見せなさい」と命じたとき、
それはSが「あなたを見ている私を見て」とMに懇願しているのと
同じ事なのだ。
うまく懇願しなければ、Mには伝わらない。
伝わらないからといって、MがSを見ないからと言って、
Mを責めても意味がない。
伝えられないSが、ただ自分をコントロールできないだけなのだ。


Rは、反省していた。
Mに反省させた時点で、私はSとして、とても到らない。
経験のないRには、知りようがないことを、
心のバランスを失った途端、Rに責任を転嫁した。
うまく育てて導くことが難しい。
申し訳なくて胸が痛んだ。

本当はあなたは悪くない。
私がマスターとして、未熟なだけだ。


心の隙間を埋めるように、サディストのLと連絡を取る。
数時間、SM以外の色んな話をした。
自分たちの現状を知らせ、生き方と死に方を話し、
物理学や恋愛観、仕事の話をした。
プログラマーの彼は、思考回路がMTに似ている。
私が好む、S男性特有の母性に似た包容力が心地良い。
Lは、沈黙を恐れない。
言い淀んだ私の言葉を、黙って待つ。
だから私もLの言葉を黙って待つ。
待った分、Lの言葉に深みが増して返って来る。
色んなことを話した後で、彼は、俺たちは似ている、と言う。
人間を見る姿勢、方法論がとても似ている、と。


セクシャルなものが一切含まれない会話の中に、
彼はまさにサディストらしく、
たわいもない言葉遊びや意地悪を仕掛ける。
見事に私の中のスイッチをオンにする。
彼は、まるで、最初からそこにスイッチがあることを当然知っていたかのように、
いとも簡単な造作でスイッチを入れる。
飽和しかけていた心が一気に溢れ出し、私は陶酔する。
深い安心感と守られているという実感、
受け入れてもらえるという期待、
心を支配される快楽、導いてもらえる感動、
深い関わりを望まれる誇らしさ、幸福感。
懐かしい。
この感覚が、相手への恋ではないことを、私はもう知っている。
私がただ、そんなふうに接されると幸福を味わうように出来ている、
ただそれだけのことなのだ。


けれど、この眩暈がする程の充足感。
こんなことに幸福を見出す私の感性とは、卑しくて醜いだろうか。
この方法でなければ、私はこれだけの安心感を覚えることが出来ない。
異常な習性なのだ。
この特異な感覚を、どうやって人生の普遍性に埋め込めば、
私は真っ当に生きていけるのだろう。


Rに対してはサディズムを、
Lに対してはマゾヒズムを。
対極のようでいて、同義。
私の心に穿たれた空洞が、まだ埋まらずにいる。
生育暦のせいだとか虐待を受けた者特有のリピート行動なんだとか、
色んな理屈は理屈に過ぎない。

誰が必要なのかじゃない。
SMが私には必要なのだ。
それだけ。





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美鳥(みとり)

Author:美鳥(みとり)
被虐待サバイバー。解離性同一性障害、うつ病、対人恐怖症ほか色々闘病中。境界性パーソナリティ障害寛解しました。毎日の光と影を綴ります。生育歴・来歴・病歴・活動はこちらをご覧下さい⇒<はじめに Profile>

講演活動・ユーストリーム放送しています。
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診断名の有無に関わらず、生き辛さを抱える方々と温かい繋がりを目指しています。ご感想ご意見など、お気軽にどうぞ。お待ちしています。

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